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嘘小説

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2020年6月の記事一覧

嘘日記 5月10日

嘘日記 5月10日

そういえば今日、家に帰ってくると件の少女が小生の枕を無表情でじっと見つめていた。小生が7年以上愛用していた枕だったのでなんだろう?としばらく様子を伺っていると少女は不気味な動作で小生の枕をこのような無残な姿に変えて見せた。

な、なにをするんだ!と小生は言ったが、少女からの反応は無い。ガン無視であった。初めて話しかけたのにガン無視されたのはそれなりにショックである。

思い返せば、日頃から目が覚め

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嘘日記 5月2日

嘘日記 5月2日

昨日見た時に無かったはずのものが今日となってそこに在る。そんなことはこの世の中において、さして珍しいことでもないのだろう。例えば顔にできたニキビであったり、アスファルトにできたヒビ割れだったり、部屋の隅に現れた顔色の悪い少女であったり、それは如何様にも考えられうる。

ちなみに如何様と書いて「いかよう」と「いかさま」という二つの読み方ができるのをご存じであろうか。意味も全く違ったものになる。小生、

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嘘日記 4月26日

嘘日記 4月26日

今日の日記は4月24日の続編である。朝一番に警察から電話がかかってきた。消えた魚たちはどうやら誘拐されたのではなく殺されてしまったらしい。そんな気がしてはいたが実際に聞くとショックであった。

清少納豆は殺された三匹の内の一匹であった。彼氏に浮気されても結局最後には許してしまうような残念な女で、脳内は年中お花畑であった。

とはいうものの彼氏が浮気してから彼女の独占欲は人一倍強くなった。位置情報ア

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嘘日記 4月25日

嘘日記 4月25日

日中は陽気で穏やかな日々が続いてはいるが、夜はまだまだ外套が必要なようである。昼と夜との気温差は小生に月のそれを思わせた。聞くところによると月では昼夜の気温差が300℃にも上るらしい。ここが地球でよかったと安堵の息が漏れた。

夜の閑散とした街を歩いていると昼の雑多な往来が嘘のように思えてくる。コロナウイルスの影響もあって人はまばらであったのだ。

夜10時にバイトを終えた小生の腹はどうにも我慢な

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嘘日記 4月24日

嘘日記 4月24日

実は小生アクアリストである。水を愛し水に愛されこの世に生を受けた時から魚の声が聞こえた。左の手の平からはいつでも水を生成でき、この世の悪ともこの力をもって戦ってきた。

まあ結局何が言いたいのかというと趣味で家に水槽を置いて楽しんでいる。

我が家の水槽では今日も熱帯魚が優雅に泳いでいる。しかし定期的に何度か奇妙なことが起こっていた。

魚の数が一匹ずつ減っていくのだ。

当然すぐさま警察に捜索願

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