嘘日記 5月10日
そういえば今日、家に帰ってくると件の少女が小生の枕を無表情でじっと見つめていた。小生が7年以上愛用していた枕だったのでなんだろう?としばらく様子を伺っていると少女は不気味な動作で小生の枕をこのような無残な姿に変えて見せた。
な、なにをするんだ!と小生は言ったが、少女からの反応は無い。ガン無視であった。初めて話しかけたのにガン無視されたのはそれなりにショックである。
思い返せば、日頃から目が覚めると首に痛みを感じていたし、最近になって腰にも痛みが出始めていた。日によっては頭痛さえ感じ、なにやらおかしいと考えていた矢先にこれだ。
丁度良い機会なので新しく枕を新調することにした。
早速近くのオーダーメイド枕の専門店へ足を運んだ。店に入ると店員さんのスムーズ過ぎる誘導でいつの間にか小生は店のベッドに横たわっている。どうやら小生に合った枕の高さを調べてくれるようだ。店員さんとはいえ他人の前で無防備に横たわるのはすこしはずかしかった。
無事測定も終え、ふと枕の値札をみると27000~円と書いてある。小生は枕など1万円もあれば買えると思っていた。どうやらこの店は小生が足を運ぶには幾分か早すぎたようだ。買えそうだったのは枕カバーだけであった。
枕カバーだけ新調してもどうにもならぬ。結局振り出しに戻ったのであった。
しかしどうしてあの少女はこんなことをしたんだろう。家に帰ってきて再び少女の様子を伺っていたが部屋の隅でじっとしているだけであった。
今日はタオルを重ねて枕代わりにしよう。自分に合った高さも分かっていたのでベストなタオル枕が完成した。今日はいい夢が見られそうな気がした。