表コミ授業日記⑩ カードを順番に出すだけのワークでめちゃくちゃ色んなことが起こった話
こんにちは、いもいも表コミの古谷(あき)です。
表コミ授業日記⑩。最近できた「えほんかいはつぶ」というワークがとても良くて、いろいろな教室で行っています。
カードをつなげ!
「えほんかいはつぶ」は、名前の通り、新しい絵本のタイトルを作るワークです。絵本にありそうなワードが書かれたカードを順番に出していき、みんなで絵本のタイトルを作ります。
それぞれの手札の中から、1人目が「ひみつ」、2人目が「の」、3人目が「国」……という具合に出していき、できたのがこのタイトルというわけです。
何枚繋げるかもプレイヤー次第。今作っているタイトルにつなげるカードを出すか、終わりにして次のタイトルの最初の1枚を出すか、順番が来たプレイヤーが判断します。
非常にシンプルなゲームなんですが、これがまぁ面白い。素敵なタイトルに歓声が上がったり、まさかの展開に大爆笑が起きたり。
1枚出すごとにどんどん展開が変わっていきます。良さそうな雰囲気だったのが一気に台無しになったり、また急に素敵になったり、意味がガラッと変わったり。
たとえば、あるクラスで出来た、こちらのタイトル。
最初は「ゴーゴー」は「Go!Go!」の意味だとみんな思っていたのです。でも、「うるさい」の登場で一気に意味が変わりました。そして「びょういん」でギャップができてグッと引き込まれるタイトルに。
さらに続けた「おやすみ」は蛇足だったかと思いきや、「博士」で急に視界がひらけました。うるさい病院だからこそ睡眠について研究している「おやすみ博士」がいるのかもしれない。うるさい病院に勤めている睡眠不足の博士がようやく眠る物語なのかもしれない。人それぞれの解釈が広がります。
助詞や接続詞として入っていたカードが、別の意味を持つことも。
「○○さんち」「おばあちゃんち」という使い方を想定していた「ち」と接続詞の「から」が組み合わさって「ちから」になったり、
接続詞の「が」から始まったタイトルがちゃんと成立したり。
「がとおしごと」、僕は蛾が大好きな昆虫博士の話かと思ったのですが。
ある生徒はこれを「ガトーショコラ」+「仕事」の造語と捉えたようです。残業残業で疲れ果てた男が、帰り道にチョコレートを買って食べ、癒される物語なんだとか。
彼の中で青年漫画が出来上がっていました。序盤は1話完結のほっこりエピソード、3巻でほろ苦い恋の話が挟まれ、5巻で10年後の話になって完結するのだそうです。
カードを出すだけという手軽さでありながら、これだけ想像の余地があって、様々な受け入れ合いやコミュニケーションが生まれる。手前味噌ながら、ワーク開発担当のミトケンはいいワークを作ったものだと思います。
創作へ。
四ツ谷の土曜中学生クラスでやっていたときのことです。
他のクラスと同様、出来上がる数々の名(迷?)タイトルに盛り上がっていたのですが、ある女の子がふと立ち上がり、
「ホワイトボードある?」
と声をかけてきました。
何をするのか聞いてみると、「ちょっとストーリー書こうと思って。」とのこと。
ゲームを続けながら、ゲームで出来たあるタイトルのストーリーを書きはじめました。
片手間にカードゲームを続けながら、ホワイトボードにストーリーを書き出すその子と、そのことに特に違和感も持たず普通に続ける周りの子たち。この許容幅の広さがいもいもらしいところです。
そして出来上がったストーリーが……めちゃくちゃすごいんです!!
タイトルは「あそんでごきげんなおしゃべりベイビー」。
ぜひ彼女の直筆ホワイトボードでお楽しみください。
こんな素敵なストーリーを、ものの10分程度でサラサラっと書き上げてしまいました。すごすぎます。
みんなも集まってきて、「すごい!」「素敵!」「超いい!」と大盛り上がり。彼女は恥ずかしそうにしながらもとっても嬉しそうでした。
結局このクラスは、そんな彼女のクリエイティビティに触発され、翌週も同じカードで絵本づくり。タイトルを作る生徒もいれば、絵を書く生徒もいれば、ストーリーを書く生徒もいれば。色々な作品が出来上がりました。
体験でも。
ワークの手応えがかなりあったので、9月18日に行った東戸塚体験授業でもやってみたところ……小学生でも中学生でも大成功でした。カードを出す中で、出来たタイトルについて笑い合う中で、こんなストーリーじゃないかとワイワイ話し合う中で、自然とお互いを承認し合う空気が生まれていきます。
そして体験後……保護者の方から、こんなメールが届きました。
体験での出来事で、家に帰った後に猛然とカードを作るほど、彼女が何かを感じてくれたこと。そしてそれを、家族で共有してくださったこと。
とてもとても嬉しく思います。
ちなみに……彼女が作ったカードの中に「はたち」というものがあるのですが。
体験中、こんなタイトルが出来上がって盛り上がったのです。
「は」の後に「たち」を出したファインプレーが印象に残っていて、それで「はたち」というカードを作ったのだと思うと、とっても微笑ましいですよね。
しかも、「は」も「たち」も、この子自身が出したカードではないのです。
他の子達の、それもその日初めて会った子の出したカードを、自作カードに反映されるほど、「すごい!」と素直に認めて感動できる。素敵な子だなぁと思いました。
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