オアシスのような「アオザイ博物館」へ。路線バスで行ってみた
ベトナムの民族衣装「アオザイ(Ao Dai)」。
特に女性を美しく見せてくれるといわれる、この伝統衣装の歴史を学べる博物館があります。その名も「アオザイ博物館(Bao Tang Ao Dai)」。
ホーチミン市中心部から車で約50分ほどの9区にあり、気軽にサクッと行ける感じではありませんが、逆にきっと小旅行気分が楽しめます笑
どこか中部ホイアンの旧市街を感じさせる庭園の景色は、写真を撮るのにもぴったり。館内でアオザイをレンタルして、癒しの庭園でくつろげば、慌ただしい日常を忘れるのんびりとしたひとときが過ごせるかもしれません。
博物館について
この博物館は、著名なアオザイデザイナーSi Hoang(シーホアン)氏のアイデアのもと、自身が所有する庭園に作られ2014年にオープンしたもの。
およそ20.000㎡の緑豊かな土地に、中部クアンナム省の伝統様式(Nha Ruong)で作られた建築と、池やボートなど南部河川地域のスタイルを融合させ配置。自然と古代建築が調和する詩的な庭園が広がります。
館内の展示では、時代とともに変化するアオザイの歴史を辿りながら、ベトナム各地の文化についても学ぶことができます。
アクセス
(長いので、不要な方は目次でスキップしてください。)
・タクシー(所要50分程度)
タクシーの場合は、下記のように行き先のメモを見せて乗車。到着後はタクシーにそのまま待機してもらうか、帰るときにチケットカウンターでタクシーを呼んでもらいます。
・配車アプリ(所要50分程度)
料金だけでなくドライバーの名前や評価が事前に分かり、より安心なのが配車アプリ。ベトナムでは「Grab」や「Be」「Gojek」が一般的に使われていますが、ここではとりあえずGrabの画面で見ていきます。
GrabのTOPで車のマークを選んで、行き先を「Bao Tang Ao Dai」と入力。
(グエンフエ通りの候補が出てくることもあるので「Q.9(9区)」と書かれたものを選択します。)
料金は、時間帯や天候によって変動しますが、目安としては大体片道30万vnd(約1810円)程度。(個人的にバイクは事故に遭った場合のリスクが大きいため、オススメしません。)
・バス(所要1時間20分程度)
路線バスを利用して、片道およそ40円で行くことも可能。
ベンタインバスターミナルから88番バスに乗り、博物館付近で降車して徒歩数分で到着です。
バスで行ってみました
今回は、バスで行ってみます。
まずは、ベンタイン市場(Cho Ben Thanh)から徒歩約5分のハムギー(Ham Nghi)通りにある「ベンタインバスステーション(Ben Xe Ben Thanh)」へ。ここから88番のバスに乗ります。
バスステーションの場所はこちらを参考に☟
バスステーションの近くには、ベトナム初のデパ地下を有する高島屋などもあるので、ついでに立ち寄ってもいいかもです。
基本的に時刻表の掲示はなく「待っていればいずれ来る」というスタイル。
88番バスはおよそ15分間隔で運行しているので、次のバスが来るまでこのレーンで待ちます。
いよいよ88番バスが来ました。
ここでただ「ああ、来たなー」と眺めていると、容赦なく通り過ぎるのがベトナムのバス。置いていかれないためには、乗りたい路線バスが来たら、すかさず手を上げて運転手に「乗ります!」の意志を伝えます。
すると、速度を緩めるとともにドアが開くので、車内の手すりにつかまりながら乗車します。減速はしても基本的にバスが止まることはないので、乗降時に転倒しないように、そして降車時には近くを通り抜けるバイクへの注意が必要です。(逆走あり)
…と、よくいえばハードなローカル旅が楽しめるバス。
庶民の足ということもあって、爆安なのもうれしい点です。
88番線の運賃はどこで降りても6000vnd(約40円)。
切符売りのスタッフに代金を支払い、その際に「アオザイ博物館に行きたいです」と伝えておくと(親切な人であれば)降りる場所を教えてくれます。
道中は悪路な箇所もありますが、1時間20分ほどかけて博物館付近に到着。
降車場所はこの辺りです → MAP
写真上の看板のある路地を入って、徒歩およそ5分。
不安になるほどの何もない道を行くと、ついに見えてきました。
博物館に到着
博物館に無事到着です。
本当に僻地にポツンとあります。。
まずはチケット売り場でチケットを買いましょう。
以前は入館料が大人10万vnd(約610円)だったのですが、大きく値下げしてからはベトナム人の来訪者も増えたようです。
マップには小さくですが英語も併記。
HPの地図ページからも館内マップがチェックできます(ベトナム語・英語)
そして、入口の看板には館内のルールが書かれていました。
(翻訳して抜粋します☟)
とのこと。果物…気をつけます笑
はじめに向かったのは、入口付近の建物。
博物館の主軸となる、アオザイの歴史に関する展示がされています。
土足禁止なので、靴を脱いで上がります。
300年以上前の1645年頃から現代まで、時代の変遷とともに移り変わるさまざまなアオザイを展示。海外の影響を受けて生まれたヒッピースタイルやフリル付きの西洋風などのアオザイもあり、言葉が分からずとも楽しめます。
癒しの庭園へ
外に出て、湖のほとりに立ってみると、目の前に広がるのはここがホーチミン市内であることを忘れるような、癒しの光景。
博物館のほとんどの建築に見られる木工作品は、「キムボン大工村」の職人によって忠実に再現された伝統的なものだそう。キムボン大工村は、世界遺産の街として知られるホイアン(Hoi An)近郊にあり、館内に置かれた古い家具などもホイアンを擁する中部クアンナム省から集められたものだそう。
こちらの黄色い小さな建物では、ユネスコに登録されたベトナムの無形文化遺産14つの中から、現在は次の4つ「民謡Quan Ho」「民謡Ví – giặm」「Xoanの歌」「民謡tài tử」に関連するアオザイが展示されています。
チャンラック湖と名付けられた湖の上には、よく見ると水上ステージが。
共同住宅の庭をイメージして作られたこの水上ステージでは、イベント時に特別なパフォーマンスが行われることもあるよう。想像しただけで美しい光景です。
庭園を巡るように敷地内を歩いていくと、
アオザイの下に着る女性の下着についての展示(男性入場不可、撮影不可)や、こんな展示もありました☟
こちらは、東南アジア最古の陶器村といわれる、ニントゥアン省のバオチュック(Bau Truc)村で作られた、チャム族の伝統陶器。デザイナーSi Hoang氏のアートと組み合わせた作品が置かれています。
オススメは土日
平日は人が少ないので、ひたすら撮影に集中するなら平日がおすすめですが、友達や家族とのんびり過ごすなら、断然土日がおすすめ。
平日は、ドリンク数種とインスタント麺があるのみですが、
土日は、フードやドリンクの種類が増え、木造橋のたもとに即席屋外レストランが登場します。(〜14:00)
写真は、土日に行ったときに食べたベトナム版お好み焼き「バインセオ(Banh Xeo)」。このときはほかに揚げ春巻き(Cha Gio)やデザートのチェー(Che)などもありました。
通りに出たところにあるお店「Quan Co Ut」。
アヒル肉のブンやブンティットヌンなどもありました。
アオザイのレンタルも可能
館内にあるこちらの建物の2階で、アオザイのレンタルができます。
レンタル可能時間は、営業時間と同じ8:30〜17:30。
17:20までに返却すればOKだそうです。
料金は、アオザイの種類によって異なりますが、
一般的なアオザイは7〜10万vnd(約420〜610円)程度。
そこに、靴や小道具など(各1.2万vnd)を好みで追加します。
☟料金表はこちら
館内の若者を見ていると、人気なのはゆったりシルエットの「アオザイ グータン(Ao Dai Ngu Than)」10万vnd のよう。"5パーツのアオザイ" を意味するこの衣装は、落ち着いた無地の生地と幅広の袖が上品で高貴。男女のデザインが大きく変わらないので、ペアで合わせるのも良さそうです。
一番高価なのは、グエン朝時代の皇族女性が着ていた「アオ ニャット ビン(Ao Nhat Binh)」25万vnd(約1520円)。カラフルな袖や帽子のような髪飾りなど華やかさがあり、ウェディング撮影の衣装として人気です。
女性用のものがメインですが、男性用(7〜10万vnd)や子ども用(3万vnd)のアオザイも少しあります。
※男性用や子ども用は、靴などの小物を含め数が少ないので、持参してもいいかもしれません
時間がなければグエンフエで
9区は遠いし時間がない…という場合は、アオザイ博物館の縮小版「アオザイエキシビジョン(Ao Dai Exhbition)」へ行くのもあり。
中心部の歩行者天国グエンフエ(Nguyen Hue)通りにあるので、観光途中にで軽く涼みながら、アオザイについての展示を見ることが可能。
現在は、数は少ないもののアオザイのレンタルもスタートしています。(外出不可・その場で撮影)
詳しくは後日追記します。MAP
9区には蓮池も
アオザイ博物館と同じ9区のタムダー(Tam Da)通りには、水面に蓮の花が咲き誇るいくつかの蓮池があります。
田舎の1本道にあるどローカルな場所で、車での移動も必要になるため旅慣れた方向けですが、時間や気力に余裕があれば立ち寄るのもあり。(蓮は朝の時間帯がより花が開いています。)
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商業都市ホーチミンの発展を感じ、活気と喧騒にまみれてお腹いっぱいになったら、少し足を伸ばしてプチトリップ。
静かな庭園でくつろぐ午後は、また一味違うベトナムを感じさせてくれるかもしれません。そして、伝統衣装アオザイも。定番の形だけでなく実に多様なスタイルがあるので、見ているうちについつい着たくなってしまうかもです。
Bao Tang Ao Dai/アオザイ博物館
住 206/19/30 Long Thuan, Q.9, HCMC
営 8:30〜17:30
電 091・472・6948
休 なし
料 大人 5万vnd(約300円)、6〜18歳 3万vnd(約180円)、6歳未満無料
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