見出し画像

居心地抜群。古アパート内のカフェ 「Bang Khuang Cafe」

初訪 2015.12  更新 2023.05.18


日本人街とも呼ばれる「レタントン(Le Thanh Ton)」通り周辺に、1940年頃に建てられた一軒の古アパートがあります。

場所は、タイヴァンルン(Thai Van Lung)通りと、グエンシウ(Nguyen Sieu)通りの角。地上階には、平日昼どきに混み合うローカル食堂が数軒あり、建物内にはカフェが2軒ほど入居しています。

今回は、そのうちの一軒「Bang Khuang Cafe(バンクアンカフェ)」。
もともとは、ベトナム戦争中の1967年。「離れ離れになった友人や家族の再会の場所を作りたい」と、中部高原の都市バンメトート(Buon Ma Thuot)で開業した老舗のカフェで、ここホーチミン市のお店は、2013年にオープンしました。
(バンメトートのお店は、記事の最後に載せています。)

カフェの入口は、タイヴァンルン通り沿い。写真中央の入口から入り、階段で2階(日本でいう3階)まで上がります。

最上階のカフェに到着。
よく見ると、壁に描かれた猫は地上階にも。カフェへと案内してくれているようです。

入口のドアには、かつての住人の名前も。
建物の歴史を感じます。

落ち着いた色合いの店内は、居心地よくくつろげる雰囲気。お喋りに華を咲かせる人あり、読書や仕事にふける人あり、長い年月を経た古アパートだからこそ出せる趣きが、心和らぐ空間を作り出しています。

アンティーク家具と窓の緑も心を静めてくれるよう



メニュー

メニューは、コーヒーやジュース、スムージーなどのドリンクがメインですが、チャーハンやグリルチキン、バインカンやブンなどの麺類もあります。

☟ 外国人とわかると英語メニューを出してくれることも。

種類豊富なドリンクメニュー

値段表記は下3桁のゼロ(000)を省略してあるので、「40」→「40000(4万vnd)」の意味。ドリンクメニューはほぼ5万vnd以下(300円以下)で注文できます。

こちらはフードメニュー
写真で指差し注文もOKです


料理

ドリンクをいくつかピックアップしてみました。

濃厚でパンチのある「ベトナムコーヒー(Vietnamese Black Coffee/Ca Phe Den)」3万VND(約180円)
「練乳入りベトナムコーヒー(Ca Phe Sua)」3万5000VND(約210円)も定番人気です。

コンデンスミルクの甘みにライムの酸味がキリッと効いた、中部フエ スタイルのヨーグルトドリンク「スアフエ(Condensed Milk With Lime/Sua Hue)」4万VND(約240円)

ウーロンミルクティー

「コンデンスミルク入りウーロン茶(Oolong tea with Condensed milk/Tra Sua Oolong)」4万5000VND(約260円)

「オレンジピールとディルのほろ苦アイスティー(Orange Peal with Dill Leaves Tea/Tra Vo Cam Thi La)」5万VND (約290円)

写真はバンメトート店で撮ったもの

濃厚なベトナムコーヒーにバニラアイスをあわせた「ケムカフェ(Coffee with Ice Cream/Kem Ca Phe)」5万5000VND(約320円)


このほか、マンゴーやパッションフルーツなど南国フルーツを使ったスムージー(Sinh To)も揃っています。

バンメトート生まれのカフェということで、フードメニューをよく見るとバンメトートの名物料理も。

つみれものって食べ応えあり

「バンメトート風エビ出汁トマト麺(Red Vermicel Ban Me Thuot Style/Bun Do Buon Ma Thuot)」6万vnd(約350円)

干しエビの出汁とトマトの甘み、酸味がバランスよく合わさった一杯は、湯通しされた野菜を入れながら食べると、歯ごたえも楽しくて後味さっぱり。
北部で親しまれるトマトとカニ出汁の麺「ブンリュウ」にも似ているこの料理は「バンメトート風ブンリュウ(Bun Rieu Buon Ma Thuot)」といわれることもあるそう。
紫色をしたエビの発酵調味料「マムトム」と一緒に食べるのが定番ですが、かなりクセの強い香りなので慎重に。入れなくてもおいしくいただけます。

現地バンメトートでは、「ダクラック博物館」周辺にこの料理「ブンドー(Bun Do)」の専門店が数軒集まっていて、夕方〜夜にかけて営業しているほか、ナイトマーケット(An dem cho Buon Me Thuot)でも食べられるそうです。


近くのオフィスワーカーで賑わう平日のお昼どきは、ランチセット「Daily home cook meal(Com Nha)」4万vnd(約230円)もあり。

たまに、
客「今日はなに?」
店員「鶏の生姜煮(Ga Kho Gung)だよ。」
客「やったー。」
という、微笑ましいやりとりも垣間見えたりします。


ーーーーーーーー

新しいカフェができたかと思えばいつのまにか消えてしまう、入れ替わりの激しい "カフェ激戦区" のホーチミン市。
たとえば "ガーデンカフェ" や "ミニマルデザイン" など、カフェシーンからもそのときどきのトレンドの波を感じますが、変わらない空間で迎えてくれるこんなカフェも魅力的。

「戦争で離れた人の再会の場所」として始まったカフェのメッセージには、こんな言葉が書かれています。

「1週間だけ訪れる人もいれば、数年間通う人もいます。交流を保つ人もいれば、そうでない人も。ただ、バンクアン カフェでの再会の思い出や笑いの波、そして("ベトナムのボブ・ディラン"といわれた作曲家)チンコンソンのメロディはずっと生き続けます。」

個人的にもベトナム生活の喜怒哀楽とともに過ごしたカフェ。
これからもいろんな場面がここから生まれそうです。


バンメトートの1号店

バンメトート旅行に行ったときに、1号店にも行ってみました。

Bang Khuang Cafe(バンメトート店)
 176 Phan Boi Chau, TP Buon Ma Thuot, Dak Lak
MAP

1967年に創業した状態からはリノベーションされていて、あまり老舗感はありませんが、半屋外の開放的なローカルカフェといった雰囲気。

2階建てで席数が多く、このお店ものんびりと過ごせそう。
近くには、バンメトート最大規模の寺院「カイドアン寺(Chua Sac Tu Khai Doan)※MAP」もあるので、ついでに立ち寄るのもよさそうです。


ちなみに店名の「Bang Khuang」は、ちょっと小難しいですがベトナム語で「概念的思考(本質を抜き出しそれが何かを捉える深い思考)」のような意味だそう。
落ち着いた空間は、そんな思考に浸るように言語化できないもやっとした悩みや考えを整理するのにもぴったり。もちろん友達とのお喋りにも、ローカルランチにも、オールマイティに使える一軒です。


Bang Khuang Cafe/バンクアン カフェ
  2F, 9 Thai Van Lung, Q.1, HCMC
  090・3878・667
  8:00〜22:00
FB



もし、この記事の内容がいいなと思われたらで大丈夫ですので、サポートしていただけたら嬉しいです。いただいたサポートは大切に、リサーチや移動費などの経費として使わせていただきます。