夜を走る
帰宅時間は、とっぷりと暗くなっている。
早ければ20時。
遅ければ日付が替わってからだ。
昔は、夜道を運転するのが怖かった。
対向車のライトが眩しくて、何て危険なのだろうと思っていた。
それは、夜のうちでも早い時間で、交通量が多かったからだ。
と、真夜中に帰宅するようになって気がついた。
人っ子一人いない田舎道を、街灯に照らされながら走る。
行きは10分以上かかる道だが、車が少ない深夜は、深呼吸している間に自宅に辿り着く。
早く風呂に入って寛ぎたい気持ちと。
もう少し車を走らせたい気持ちとの、せめぎ合いである。
このまま、次の曲がかかるまで。
いや、いっそこのCDが一周するくらい。
夜が明けるまででも、いい。
推しの声を聴きながら。
夜を、走りたくなるのである。
☆ヘッダー写真、お借りしました。いつもありがとうございます!