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雨粒を払う

いっちょまえに、低気圧にやられたりしている。


あぁ、天気が崩れるのだなぁ……と、事前に薬や気持ちを用意出来るようになったのは、ほんのここ数年だ。

頭痛を皮切りに機嫌を悪くし、家人に当たり散らすようなことをしていたのは、そういえば天気に左右されていたのかもしれない。

それに気づいたのは、同居の婆芋、別名を🦖と言う生物のおかげである。


この人の気分のアップダウンに振り回されるのが嫌で、上京したんだっけか………と思い出したのは、15年ぶりに同居を始めてすぐである。
自分の記憶力の無さに愕然とする。

親子の立場から、婆と母の立場に移り、更には昔と違って娘芋や相方芋も居る。

対等なオトナとなって、昔よりはわかり合えたり我慢できたりしているが、遠慮のない物言いに、本人と関係ない苛々までも増幅させる能力が、この🦖にはあるのだ。

流石、古代生物。


返す刀で取り返しのつかない暴言を吐く前に、愛車に逃げ込む。

エアコンの冷たい風を浴びれば、自分に着火させたのは彼女でも、火種は関係ない場所で燻っていた事に思い当たる。



子供のようなわがままと、気遣いと言う名の余計なお世話。

自分の嫌なところは、どちらも完璧に、この🦖の遺伝である。


(*´・ω・)(・ω・`*)ネー



フロントガラスを覆い尽くしていく水玉模様を、
ワイパーが乱暴にぶん殴る。
雨粒は悲鳴を上げながら、細いヘビになって逃げ回っていく。

ちょっとスピードを上げただけで水滴を吹き飛ばせるように、心の撥水効果を高める方法はないだろうか。



☆ヘッダー写真、お借りしました。いつもありがとうございます。

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