方向音痴
先日、遠征の帰り道に迷った件を書いた。
元々、地図も路線図も非常に苦手である。
若い頃は、知らない場所に車で向かう時は、
「信号8つ目を右」「4つ目を左」と、いちいち停車して地図を確認しながら行ったものだ。
推し活師匠は昔の同僚だが、家族ぐるみで飯を食うほど仲良くなったきっかけが、当方の方向音痴であった。
町内会の子供会なるものがあり、バーベキューだのゴミ拾いだの、あれこれイベントがあった。
何も考えずに小学生の娘を放り込んでいたのだが、まぁ当然のように役員が回ってくる。
しまった、と思った時はすでに会長になっていた。
その夏は、遊園地で遊ぶこととなり、現地集合を決める。
決めたはいいが、当方。
街の南に位置するそのRという遊園地に、自力で娘を連れて行ったことがない。
社畜の相方は仕事でアテにできない。
ネイティブの住人は小さい頃から行き慣れているのだろうが、当方はヨソモノである。
主催者としては、早めに到着が必須であろう。
よし!下見に行っておこう。
娘を横に乗せ、車を南に向けた。
到着予定時刻。
地図を確認しながらたどり着いたのは、
真逆にある、北東の有名観光地である。
関東在住の方々には、練馬から横浜中華街を目指したのにひたち海浜公園の前に居た、と言えばイメージしやすいだろうか。
長い階段と玉こんにゃくがウリのその寺の麓で、当方は呟く。
あれ………◯寺?…………◯ナワールドは………?
慣れている娘は助手席で、
「おかぁ、また迷子」と呑気に言う。
と、いう話を職場でしたところ、件の男が見かねて道案内を買って出てくれた。
よほど娘が不憫だったのだろう。
丁寧にも、当方の自宅からここを曲がって、ここから入って……とルート確認に付き合い、せっかくの休日を費やしてくれた。
イベント当日。
彼が指導してくれた自宅出発ではなく、ラジオ体操に使った公園を出発点とした当方は、何故か(案の定?)迷って遅刻をした。
到着できただけ、華々しい成長が見られたと思っている。
あれから10年がたち、当方を反面教師に育った娘は、迷子になったとは一度も言わない。
都会で元気に暮らしているらしい。
当方は、すべてを諦め、人任せで歩くことに決めている。
毎日職場に辿り着き、自宅に帰ってこられれば、それで充分である。
☆ヘッダー写真、お借りしました。ありがとうございます。
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