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あ~る

高校の入学祝いに買ってもらった自転車。レストアしながら、50を手前にしてまだ乗っている。
という話を読んでいただき、
「当然、自転車に名前はあるね?」
とご質問を頂戴した。

轟天号と言う。

即答できたわりに、ずっと忘れていた。

中学生の時に、ゆうきまさみ先生の「究極超人あ~る」という漫画にハマった。
主人公のアンドロイド(ロボットではない)、Rの乗っている自転車の名が、轟天号という。
元ネタは、当方が生まれる前の特撮映画らしいが、そちらは詳しく知らない。


「あ~る」は、ドタバタのコメディ漫画である。
ゆうき先生は、後に「機動警察パトレイバー」や「白暮のクロニクル」等、シリアス展開の作品も増えるが、「あ~る」の血筋はどの作品でもちょびっと感じられる。

「あ~る」は高校の写真部(光画部)が舞台だ。
中学生の当方にとって、高校はオトナな空間だった。まだ見ぬ高校生活に憧れたのである。
しかし、いわゆるスポ根部活系の漫画とも違うし、パンを咥えてぶつかって恋をするわけでもなく、無茶苦茶なことばかり起きる。
受験勉強頑張れ!と言われた挙げ句に、待っているのがこんな生活だったらどうしよう?と、子供心に思っていた。

「あ~る」の真似をして、クラスメイトと技術室の裏で捨て猫を飼ってみたりした。わずか2日で、自立していったようで、姿が見えなくなった。

光画部、という言葉も初めて知った。
しかし、写真を撮ってみようとはならなかった。今のように手軽に素人が撮影できる時代でもなかったし。
あの頃写真に目覚めていたら、今、ヘッダー探しに苦しんだりしてなかったかも。

文化部日常系漫画の草分け、と言われる「あ~る」。
ヘッダーは新装版だが、昔の版をブックオフで探し回っている。
転勤時代の引っ越しの度に、CDも本もかなり処分してしまった。己の愚行を30年経って今頃嘆いている。
この先は、お気に入りは死ぬまで手放さないと決めている。


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