#18 瞬間、心、重ねて エヴァンゲリオンとクルーズ
みなさんおはようございます。
フィリピンでの船員トレーニング、バーバートレーニングを終えた筆者のケントです。
長かったマニラ滞在の最終日。
なんとダイヤモンドプリンセスが寄港!
日本から新しくマーケットが切り替わりオーストラリアへ向かう航路の最中、この船とはやはり縁がある模様。
久しぶりに見たらちゃんと大きい。
初めてこの船を見たのは横浜の大さん橋だったな、、など初心に帰るいい機会でした。
心の中で呟くボン•ボヤージュ。
マニラではもう一つおもしろい出会いがあった。
滞在していたのは8人部屋のドミトリー。
満員になることはなくとも毎晩ののように入れ替わる。少し話す人もいれど通常全く声をかけないままいなくなる。
ある日、船員学校から帰ると部屋には中年の女性が1人いるだけだった。
大半の時間を部屋で過ごす謎めいた印象。
簡単な自己紹介とスモールトークでごあいさつ。
彼女はトルコ出身だった。
そして何をしているのか、なぜマニラにいるのかを聞くと思わぬ答えが。
I AM THE CAPTAIN OF THE SHIP.
なんと船長!!!
まさかのブリッジ(操舵室)にいる人でした。
そしてやっぱり転職のタイミングでのトレーニングが理由らしい。
急に上下関係が出来てしまった。
世界的にも数少ない女性の船長。
トルコ系のカーゴシップの船長をしているそう。国内ではちょっと有名なのよと自分が出演した動画や広告を見せてくれた。
超絶かっこいいではないか。
残念ながらマニラで足を怪我してしまい痛みが引くまでは部屋にいるとのこと。
宿でまさかの船トークが弾む不思議な展開。
ここにも船の縁が。
いつか日本に来たら案内しますよと口約束。
何があるか分からないですね。
いざ出国。
深夜便のジェットスターがなかなか飛ばない。待つこと3時間、成田に降り立ったのは朝8時をまわっていた。
そして直面する受け入れ難い現実。
「マニラの方が涼しい」
もちろん日本の方が空気はいいけれど、日焼け防止のため結局マスク。
9月半ば…これまで約30年間を通して培ってきた季節感を疑う残暑。
マクドナルドをはじめ各カフェやベーカリー、レストランのメニューが秋めく中、夏はもう少しかまってほしい模様。
新たな旅路まで残り2カ月。
ラスボスの中国ビザ取得のためオンライン申請は完了。
あとは東京の有明にあるビザセンターに突撃するだけといったところ。
突撃!!
そういえばこの数ヶ月、エヴァンゲリオンにどハマり。
アニメから最新映画まで一通り見終えた感想から今回は書いていきたい。
壮大かつ難解な世界観をさらにおもしろくするのがエヴァとパイロットたちの関係性だ。
エヴァをクルーズ船に脳内変換し感情移入するとどうも他人事ではなくなってくる。
言うまでもなくパイロットではないし14才でもないんだけれど。
ともかくアラサークルーの胸にすっと入ってくる言葉の数々。
エヴァに乗っていないと自分に価値がないと思うシンジの気持ち。
なんか分かる…
それはきっとクルーズ船に乗っている方がいつも以上に輝ける気がする感覚に近いのでは?
一度は拒絶しても自分の意志でまた戻ってきてしまうもの。
「私には他に何もないもの
もしエヴァのパイロットをやめてしまったら私には何もなくなってしまう」
綾波レイの本心が垣間見え涙。
別れ際にさよならなんて悲しいことは言ってほしくない。
大勢の中から選ばれ(結果的に)
クルーズ船のクルーになり世界を旅して
それでみんなに認めてもらえたら最高に幸せ。
アスカの強い承認欲求が痛いほど分かる。
褒めて欲しい、認めて欲しい。
そして居場所を与えて欲しい。
自分が自分でいられる場所…
それはもしかしたら船なのかもしれない。
旅が好きというシンプルな理由で踏み入れたこの業界。
辞める人は早々と陸へ戻る中、コントラクトを重ねコロナ期間も耐えた。
ワーホリでニュージーランドにロングステイするつもりだったけれど半年で船カムバックを決断。
なぜ船に戻ってきてしまうのか。
続く自問自答。
自分の真価が問われるのは船の上なのか?
答えの一つは世界を旅する楽しさにある。
ヨーロッパクルーズを知ってしまった今、またあの地に戻りたいという一心でカムバック。
拠点となったホームポートはイギリス南部の港町サウザンプトン。
乗客の7〜8割がブリティッシュ、イギリス人で残りがアメリカンよいった割合。
英語が喋れないとただのお荷物でしかない環境。
待望の完全海外マーケットに心踊る。
イギリスから縦横無尽に1〜2週間クルーズ。
フランス、スペイン、カナリア諸島、ジブラルタル、ポルトガル
アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、エストニア、フィンランド、ポーランド、ドイツ、イタリア…6カ月半で15カ国。
訪れた寄港地は50以上。
その大半で下船し街ブラを満喫。
中でも春先のリスボンで過ごした時間は忘れられない。
街の中心部が港に面した最高のロケーション。
温暖な気候と太陽が生み出す明暗。
見渡す限り続くタイルの道と建築。
ヨーロッパにいながらどこか落ち着く坂のある街並み。
市場の新鮮な食材、ふんだんに使われる魚介類とお野菜。
カフェでエッグタルトにエスプレッソ。
バーではビール、サンドイッチ。
物価もユーロ圏内ではちょっとだけお安い。
もう最強である。
地中海をさらに東へ航路を取ればギリシャやアテネ、クロアチア、トルコ、エジプトが見えてくる。
もしくは季節の変わり目、大海原から陸を目指す大西洋横断クルーズのパターン。
カナダ、アメリカ東海岸経由でマイアミから常夏のカリブ海へ。
クルーズの醍醐味アラスカ、大航海時代に思いを馳せる南アメリカ大陸。
オーストラリア、シドニー発着のニュージーランド、オセアニア。
世界中には夢のある航路が無数に存在する
次のコントラクトはほぼ日本なのだけれども侮るなかれ。
奄美大島や長崎の五島列島など楽しみで仕方ない島バイブス。
長い目で見れば、来年以降また世界を旅するチャンスが周ってくるだろう。
船上のバーウエイターからバリスタを目指す大冒険。
30代が見えてきたこの頃、人の夢は終わらない。
本日、とあるブックオフBAZAARで発見したTシャツ。
アメリカのノルウェージャンクルーズ、その名もエスケープ。
現実からの逃亡、日本語だとどこかネガティヴなニュアンスに。
国内外セカンドショップでスリフト(古着ハンティング)してる筆者。
セレクト系の古着屋よりリサイクルショップが好きなのはこういった出会いがあるから。
いつも探しているのはまさにこういった品。
基本的に船でしか買えないクルーズ関連グッズ。
誰かがどこかの航路でクルーズの旅に出て船内ショップで購入したであろうこのシャツ。
それがどういうわけか日本に流れつき今、元クルーの手に渡った。
そしてまた船旅に出るのだ。
こういった世界のクルーズ関連グッズを集めたセレクトショップはどこかにないだろうか。
もしないなら、願わくば作りたいもの。
コインランドリーにカフェを付け足して。
その実現ため、あと何年かは船に乗り海に出よう。
世界は広い。
逃げちゃ駄目だ。
きっとやれるはずだから。
最後まで読んでいただきありがとうございました。