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遅延行為について

ImitationWorld開発者の加藤剛(カトウゴウ)です。先日公開したフロアルールについて、一般的なカードゲームなどとの差異についてお話したいと思います。
ルール解説というよりは、コラム的に読んでもらえたら嬉しいです。
今回は「遅延行為」について。
他のカードゲームで遅延行為についてもやもやされている方にも、ぜひ読んで頂ければと思います。


ImitationWorldでは、遅延行為対策として「ジャッジカウント」という制度をフロアルールにて設けています。

遅延行為の具体的な秒数を明文化。
ジャッジの権利を保持。

人員の確保が必要なため適用できるタイミングは限られますが、それでも無いよりは良いと考えて実装しました。
カードゲームとしてはかなり珍しいことだと思いますので、なぜこのルールを明文化するに至ったかを説明します。


2つの遅延行為

そもそも遅延行為には2種類ある、と私は考えています。

それは、「ルール違反の遅延行為」と「ルール違反でない遅延行為」とです。

そしてこの違反である・ないの線引きは、ルールによって判断されます。

ImitationWorldは、競技的であることを念頭に置いて制作しています。印刷したカードで遊ぶという気軽さと、対戦における競技性の高さで、スポーツとしての普及を目指しています。

一方、一般的なカードゲームはカードの販売により利益を得ています。この場合、ゲームのルール設定において重要なのは、競技性の高さよりも、いかに遊びやすくカジュアルであるかです。裾野を広くして、できるだけ多くのプレイヤーに購入し、遊んで頂きたいはずです。
ここで、遅延行為などのプレイヤーに一定の不自由を強いるルールの適用について、考え方の違いが生まれると考えます。

カジュアル路線なカードゲームにおいては、参入するプレイヤーの心理的ハードルをできるだけ低くするために、ルール上においても極力厳密さを減らしたい。自由度を上げたい。よって、遅延行為についての秒数の明文化などは避ける傾向があります。
運の要素をあえて大きくしているゲームも同じ理由ですね。強力なプレイヤーがずっと頂点にいるような競技は、新規参入の敷居が高くなりやすいです。

つまり、カジュアルなゲームにおいては、明確にどこからが遅延かという規定はないため、
「遅延行為と思しき行動は、それらすべてがルール違反である」
ことになります。
極端に言えば、
「遅延行為の許容範囲は無く、戦術としての時間稼ぎは1秒も認められていない」
と、言い換えられるかもしれません。
その場にいるジャッジに、それが遅延行為であるかどうかの権限をすべて委ね、判定してもらうシステムです。ジャッジとしては明文化した基準がないため判断が難しいですが、これも逆を言えば、「自分が間違えることはない」状況でもあります。なにせルールがないので、「ジャッジが間違えた」とはならないということですね(是非が問われることはあるでしょう)。

少し冗長になりましたのでまとめ。

「カジュアル路線なカードゲームにおいて、遅延行為と思しき行動はどんなに短時間であれすべてルール違反である」


では立場を変えて、より競技的なカードゲームではどうでしょう。あまり参考になるものが無かったので自作案になってしまいますが、私は遅延行為を一部のみ具体的に明文化することにしました。

さて、いざ明文化してみると、ゲームの中に
「明文化された遅延行為には該当しない遅延行為」
が存在することになります。違反的遅延行為の規定秒数に達しない場合がありますからね。
これが、「違反でない遅延行為」です。

14秒までなら考えてもいい、と読めます。
読む人が読めば、
「最終ターンは44秒まで時間稼ぎが許される」
「コストの設置とカードの使用で、毎ターン42秒
時間稼ぎができる」
と書いてあります(笑)

面白いですよね。
遅延行為を撲滅しようと秒数を定義したら、「許すべき遅延行為」が現れてくるわけです。
このあたりも、カジュアルなゲームが遅延行為を明文化しない理由になっているのでは、と考えています。
カジュアルなゲームほど遅延行為について厳しい態度を取っていることになるのは、中々面白いですよね。

ImitationWorldにおいて遅延行為の秒数を設定した理由は、もちろん競技性を高めるためです。しかし副次効果として、プレイヤーとジャッジを批判から守るシステムにもなっているのではないかと思います。ルールがあれば、多くの水掛け論が消えてしまう。これはとても良いことだと思います。
カジュアルなゲームにおける遅延戦術は総じて違反行為ですが、ImitationWorldではそれもまた戦術となります。種族や勢力感の闘争という世界設定的にも、「存亡をかけた戦いなのだから時間稼ぎぐらいするだろう」と腑に落ちやすいのも、ルールに組み込めた大きな理由ですね。

まとめ

遅延行為と一言に言えど、その実態は様々であることがご理解頂けたかと思います。競技とカジュアル、 どちらに優劣があるというわけではないので、プレイヤーにはそれぞれのルールに合わせた戦術を使用して、全力で推しゲームを楽しんで頂ければと思います。

次回はImitationWorld独自の「勝利条件」についてお話します。では。

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