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出前一丁のニセモノを食う(中国渡航日記)

しばらくの間中国に滞在していた。

渡航直前になって突然放射線がなんやらみたいな日中関係の不穏なニュースが日がな流れるようになってしまって、多くの人に心配されながらの旅行になったが、特に何事もなく無事に帰ってきた。

自分にとっては初の中国渡航だったため、多くの新鮮な出来事があった。土産に買った檳榔を噛みながらそれらを書き連ねていく。

・渡航

2023年現在、14日以内の渡航でもビザが必要なので、有明にあるビザセンターがパンクしている。ビザ取得の予約が一ヶ月先くらいまで埋まっていて、キャンセル待ちのために予約画面でF5連打しないと直近の予約は取れない。

心配な人は代理店に頼んだほうがいい。銀座にある華僑の団体は飛び込みでもやってくれるからオススメ。

最近入国前のコロナの自己検査が不要になったが、俺の場合空港に着いたと同時に名前を呼ばれてみんなと別ルートでPCR検査をやらされた。

飛行機で名前を呼ばれたのは俺含め2人だけ。おそらく非中国国籍か中国渡航歴のない人を呼び出している。この時点で何となく気づいたが、今の中国には外国人観光客がほとんどいない。

・路上にて

中国の路上は数十メートルにひとつはゴミ箱があり、ゴミ箱には必ず灰皿が付いている。が、多くの中国人はその辺に吸い殻を捨てる。使わないなら半分くらい東京に分けてほしい。

滞在日数のうち半分くらい天津にいたのだが、天津はとにかく露天商が多い。

蓮の花を売る露天商。食用らしい
犬猫がカジュアルに売られている。ここは歩道橋の上

道端で外国のタバコを売ってる人がそこそこいる。セッタ(セブンスター)を売ってる人もいた。値段を聞いたら30元(600円)だった。100円台でタバコが買える国でセッタは流行らないだろう。

あと、人通りの多い道には身体の一部が無い(おそらく退役軍人とか)の物乞いの人が結構いるのだが、天津の大通りで目が合った両手両足が不自然に切断されていた物乞いのおじさんが特に記憶に残っている。今は減っているみたいだが。

・コンビニ

街中の至る所に煙草と酒と日用品を扱う個人商店がある。24時間開いている店も多いので買い物には困らない。

そしてどんなに小さな店や路上の店でさえも必ずAlipayかWechat payが使える。基本的にクレジットカードと現金は使えないものと思ったほうがいいようだ。

しかし中国の電話番号を持ってないとエラーが起きる店もあるので、そういう時は店の人に頼んで個人送金させてもらうと良い。

店の人は基本的に英語が一切使えないがその分優しい人が多いので身振りとかで臨機応変に対応してくれる。

ちなみにセブンイレブンとかローソンとかの日本のコンビニは2kmに1店舗くらいあって、日本のもの(キリンの一番搾りとコロロが多い)や日本のものっぽいものが割と手に入る。

これはファミマっぽい店
剥がしたグミ。美味しかった

・人

良くも悪くも適当。

地下鉄の改札の前には必ず荷物検査とボディチェックがあるのだが、ゲートのブザーが鳴り続けていても誰も気にしていない。

職員の人はボディチェック用の探知機を手に持ってちょろっと動かしたりするが、本当に電源入ってる?って思うことも結構あった。

そして良くも悪くも人との距離感が近い。地下鉄で空席が見つからずにドア前に立っていたら、座っていたおばさんが「そこの席が空いたから座りなさい」と声をかけてくれたり。

自販機で水を買おうとしていたら向かいにあった商店のおばさんに声をかけられて同じ値段で水を2本売ってくれたり。

そのおばさんは急に「日本人か?」と尋ねてきてとっさに身構えたが、「旅行を楽しんでね」と言われただけだった。

ちなみに北京にも北京の訛りがあるので、簡単な語彙以外は半分も聞き取れない。

大学で学ぶ中国語の普通話は中国語のイデアのようなものなので、実際に運用されている言語とはかなり開きがあるということを痛感させられた。

・モノ

渡航前はせっかく中国に行くのでパチモンを探しに行きたいなと思っていたが、パチモンは思っていた10倍の物量であちらから迎えに来てくれる。

色褪せた萌えキャラのメリーゴーランド
北京石景山遊楽園にて
5体のロボットが合体してウルトラマンになるオモチャ
買った。
アングリーバードが変形してロボットになるオモチャ
露天商の靴
シューティングゲームのボスみたいなピカチュウのキーホルダー

・七宝一丁

載せきれないほど写真を撮ったが、特に気に入ったのがコレ。

見覚えのある金髪のキャラクターがあぐらをかいてラーメンを啜っている。

それ、岡持に入ってた出前用のラーメンだろ。勝手に食っていいのか。

このあとこっぴどく叱られるんだろうが、なんともお茶目な顔をしている。きっと店主もこの笑顔に免じて毎回許してるんだろう。

というわけで、出前一丁のニセモノを買って帰ってきたので食べます。

写真だと3元と書かれているが実際は2元(40円)だった。

広東省にある广东七宝一丁食品有限公司が製造している。香港では出前一丁が国民食と言われるほど人気らしい。昔大学の授業で使っていた広東語の教科書に出前一丁が出てきてびっくりした記憶がある。

比較のために日本版も買ってきた。100円くらいだったので価格差は2.5倍ほど。

なんか、古い油で揚げたみたいな色だ。
完成

スープの色が全然違う。七宝一丁は鶏がらスープの香り。

味は完全にブタメン。笑っちゃうくらい駄菓子の味がした。

作りながら思い出したが、これを買った店では大事MANブラザーズバンド「それが大事」の広東語版が流れていた。

いちばん大事なのは本物かニセモノかとかじゃなくて、その内に秘められた生命力の様なものなのかもしれない。

高価な墓石を建てるより安くても生きてる方がすばらしいってことで、みなさんもぜひ中国に行ってみてください。

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