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SDGs新規事業チームに所属した人がしてはいけない3つのこと(#1社内に仮想敵を作る)

皆さん、こんにちは。

今回から3回シリーズで【新規事業チームに所属した際に絶対にしてはいけないこと】を書いていきます。

今回は、第1弾「社内に仮想敵を作らない」ですね。新規事業開発にあたっては、まず社内にあるリソースを十分に理解することが重要ですが、社内に勝手に敵を創り出して否定的な理解しかできていないケースが非常に多くあります。それは、新規事業開発のチームに所属する人間の性格が悪いのではなく(いや、性格が悪いケースもあるのですが)、そうさせてしまうメカニズムが存在します。これを理解しておかないと、いつの間にか社内に敵だらけで事業が全く進まないということが起きます。

新規事業チームは会社からの信任を受けて誕生する(内的圧力)

新規事業の取り組みは、それがワーキンググループであれ、部としてであれ、会社からの信任を受けて誕生します。例えば、SDGsビジネスの事業開発を創るべしという経営層からの強い想いを受けてチームが組成される、などです。経営層からの強いコミットメントがあって、新規事業立ち上げの号令がかかります

新規事業開発は社会的要請も高い(外的圧力)

また、変化の激しい時代においては、既存事業からの脱却して時代にマッチした新たな事業領域をどんどん開拓する必要もありますので、外部環境による圧力によって新規事業開発の必要性が高まります。

内外圧力という免罪符を持つ新規事業チーム

経営層から新規事業開発に対する要請と、社会的な要請が相まって生まれる新規事業チームは、それらの要請を後ろ盾にして既存事業チームとの軋轢を生むことがよくあります。

例えば、既存事業のエース級人材を4名集めてきて新規事業開発の社長直轄チームを組成したとします。そして、初めての顔合せの場で社長から、こんな発言がある。

「当社のメインドメインであった事業Aは、過去には大きな収益源として当社を支えてくれたが、これからは縮小していくことが明らかである。そこで、各部署の精鋭である君たちを集め、新規事業を開発してもらいたい。その際には、既存事業には囚われることなく、新しい発想でどんどんとチャレンジしてほしい。期待している。」

これは、会社の既存事業を否定してでも、新規事業を開発してほしいという切迫した状況を受けての発言です。そこまで言われると、この段階で既に【既存事業チーム vs 新規事業チーム】という構図がなんとなく出来上がってしまう。これは本当になんとなく生まれるのです、恐ろしいことに。

そして、新規事業チームのメンバーから、こんなことがわんさか出てくる。

「既存事業チームでは、どうして粛々と縮みゆく市場におけるビジネスを行っているのか、どうして新しい発想で事業を生んでいかないのか。」

「そういえば、既存事業チームの管理職は事業を構想する力が弱いそうだ。」

「そうそう、あの人は何もしていないのに、偉そうにしやがって。」

みたいな。こういう議論って驚くほど生まれます。新規事業チームに所属したことがある人は共感をいただけるのではないかと思います。

社内外からの要請を免罪符にして、仮想敵を勝手に作り上げて、全然生産的ではないことに話しが向かいがちになるのです

どうしてそんなことになるのか

では、どうしてそんなことになるのか、それはいくつか可能性がありますが、その前提となるのは新規事業がすぐには成果が出ないということです。チームが組成されてすぐその直後に成果が出るようなことは、早々ありえません。事業構想にも相応の時間とお金がかかるし、実行しても売り上げ規模が十分なレベルになるのには、また相応の時間とお金がかかります。その上で、可能性として「どうして、仮想敵を設定するのか」と言えば、以下が思いつきます。

①仮想敵を想定することで、チームの一体感が生まれるから。

これは言わずもがなでしょう。

これ見てください。ある組織や団体の構成員の一体感を形成するために、仮想敵を設定するのは、ものすごく簡単な方法です。新規事業チームは組成当初は個人プレーがどうしても多くなります。社会課題解決型の新規事業であれば、なおさらです。以前申し上げた通り、自分の原体験や問題意識などの「自分起点」で構想するのであれば、余計に個人プレーであることが多くなるでしょう。

※「自分起点」については以下をご覧ください。

どうしても、希薄化してしまう新規事業開発チームの一体感を担保させるために、ほとんど無意識的に仮想敵を生もうとする、というのは1つの仮説としてあり得ると思います。

②仮想敵を設定することで、自分たちの存在意義を明確にできるから。

①にも記載の通り、新規事業開発はなかなか成果が出ません。ですから、その組織や自身の存在意義が常にゆるがせになります。また、すぐに成果が出ないために、周りからも「事業開発チームは何の成果も出していない、我々の収益を使って何を遊んでいるのか?」などという声も聞こえてくるかもしれません。

新規事業開発チームとして、またはそこに所属する個人のアイデンティティを確保するために、自分のポジションをバーサス仮想敵という構図の中に安易に当てはめてしまおうとしてしまう。社長直轄で、社長しかチームの存在意義を理解をしていない場合には、より色濃くこの傾向が出るような気がします。

③仮想敵を想定して、コテンパンに否定することで有能感や征服感を手に入れることができるから。

③は、人間の本能的な部分かもしれませんが、成果がなかなか出せないと②の存在意義がゆらぎ、つかの間の有能感や征服感を手に入れたくなります。そこで、既存事業チームをこき下ろすことで、それらを感じようとしてしまう。そういうメカニズムが存在すると思います。

新規事業開発は孤独な闘いである

新規事業開発ってああでもない、こうでもないを繰り返して事業の確度や熟度を高めていくわけなので、それはもう孤独な闘いです。社内でも浮いた存在になりがちです。ですから、きちんとすべての社員にその意義を繰り返し伝えていく必要がありますし、なかなか見えにくい成果や進捗を丁寧に社内に説明する必要があります

仮想敵は、あくまでも【仮想】です。そんな余計なことは考えずに、新規事業開発に精を出せるような環境を創っていくということが重要です。そうしないと、仮想敵がいつのまにか本当の敵となってしまい、社内リソースを使った事業展開の際に、リソースを貸してもらいにくくなって、事業開発のスピードが大きく遅れてしまうことになります。

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やまなかゆうた
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