キーボードは時代錯誤か?【高級キーボードを導入した話】
もうすぐnoteを始めて1カ月になる。
本来ならここまでゲームに振り切ったものになる予定ではなかったのだが、自分にあるリソースを考えたとき、最も読み物になるのがAPEXの内容だったので、自然の成り行きだったと思う。
1カ月の投稿本数はおよそ20本強。平均2000文字なので少なくとも40,000文字を記事にしているわけだが、実際には推敲を重ねて何度も書き直しているため、タイピングしている数量はすでに10万文字に迫る。
私は昨年8月のゲーミングPC購入以来、「付属してきた安物のクッソ打ちにくいキーボード」と「付属してきた安物のクッソ使いにくいマウス」を使ってきた。
このPCは専らゲームをするために購入したものだったので、正直、noteを始めるまでは付属のキーボードとマウスで不自由を感じたことはなかった。
しかし、日に2000回以上もタイプしていると、安物のキーボードではめちゃくちゃ手が疲れることに気が付く。
「新しいキーボードが欲しい……」
noteを書くためだけに、とまでは言わないが、今回意を決して「高級キーボード」を導入することを決めた。
ここ1週間の記事はすべて、その新しいキーボードで書かれているのだが、まず結論を述べよう。
「QOLが劇的に向上するので、物書きはキーボードにこだわるべき」だ。
東プレ「REALFORCE」
購入したのは、高級キーボードとして界隈では名高い、東プレ製の「REALFORCE」(以下リアルフォース)である。
レビューは公式サイトでプロが行っていたりするし、様々なクリエイターが絶賛している記事をいくつも見かけるので行わない。
この記事は、このキーボードでいかに私の世界が変わったかを話す感想記事である。
キーボードに求めていた条件
キーボードを選ぶにあたり、自分に必要だと考えていた条件は以下の通りだ。
①しっかりとした打鍵感があるもの
②打鍵中に動かないもの
③文章を打つためのキーボードであること(=ゲームには使わない)
順を追って話していこう。
①しっかりとした打鍵感があるもの
中学生の頃、学校のパソコンルームにあったキーボードが異様に打ちやすいことをはっきりと記憶しており、そのキーボードに似た打鍵感のものをずっと探していた。
言語化すると「キー1つ1つが独立しており、奥まで押し込まれる感覚と、底打ち感があり、適度な打鍵音が鳴るもの」。
今まで様々なキーボードを打ってきたが、キーの1つ1つに独立感があり、適度な重さと手ごたえがあるものには出会うことができなかったため、理想の打鍵感を求めていた。
②打鍵中に動かないもの
これは主に、以前まで使っていたクッソ打ちにくいキーボードの問題点だったのだが、キーボード自体の重量が軽すぎるため、打鍵中にキーボードが動いてしまい文字が安定して打てなかった。
これがかなりのストレスで、いちいちキーボードの位置を直しながら長時間文章を打つのには無理があった。なので、いっそ持ち運びに不便なくらい重いものを選ぼうと思っていた。
③文章を打つためのキーボードであること
キーボードには様々な種類があるが、ゲーミングキーボードと呼ばれるものは総じて打鍵感が軽く、押し込みも浅い「メカニカルタイプ」であることが多い。
私にとってこの打鍵感の軽さは、タイピングに疲れを感じる要素であり、キーボードでゲームをする習慣がない私にとっては強いネックだった。それゆえ、長い文章を打つことを前提にしたキーボード選びをしたいと考えていた。
これらすべての条件を満足するキーボードが、今回購入したリアルフォースだったのである。
候補に挙げていたキーボード
最終的には、店頭で実機に触れなければ購入することはできないと思っていたので、購入時には1時間以上試打を重ねて熟考した(店員さん長居してすみませんでした……w)
店頭で実機に触れたいと考えていたのはリアルフォースの他にも、以下のものがあった。
・HHKB
・Maestro
・G913
いずれ劣らぬ面々だが、まずはなぜ選ばなかったかを端的に説明する。
HHKB
・唯一、実機に触れなかったため。
・軽量、小型で打ちやすいのが売りだが、そもそも持ち歩かない。
・重量に不安があった。
Maestro
・そもそもメカニカルキーボードで打鍵感が軽かった。
・試打ですでに打ち疲れを感じてしまった。青軸だったのが悪かったか。
G913
・無線&薄さ&打鍵感のバランスは最強。最後までこれと迷った。
・物が軽く、展示品の棚が斜めになっている程度で滑ってきていたので×
・ノートパソコンの構造に近く、キーの独立感に満足できなかった。
「リアルフォースを選んでよかった。」と断言する
リアルフォースが良いものだというのは、実際に使用している友人からも耳にしていて、その友人曰く「もうほかのキーボードは選択肢にならない」くらい、リアルフォースに惚れ込んでいるとのこと。
「そこまで言うか?」と、実機を触りに行った時点では半信半疑だったのだが、実際に触ってみて、そして家に持ち帰って新品を打鍵してみて、その言葉が嘘ではなかったことを一瞬で悟った。
この打ちやすさを表現するためには私の語彙力が圧倒的に足りないが、先の3つの条件をいかに満たしているか説明出来たらと思う。
①しっかりとした打鍵感があるもの
これがこのキーボードを選んだ最大の要因である。実際に触ることができたすべてのキーボードの中で、リアルフォースの打鍵感が最も心地よかった。
打鍵音は「スコスコ」と表現でき、適度な底打ち感があるので「コツッ」という感覚もたまにある。
キー自体に安定感があり横ブレしないため、ひとつひとつがしっかりと独立している感覚があり、「キーを打っている」というよりも「小さな塊を押し込んでいる」というしっかりとした手応えをしている。
また、この打鍵感は余計な衝撃を指や手にかけることがないため、長時間のタイピングでもかなり疲れにくいことを実感した。
②打鍵中に動かないもの
このキーボード、重さが1.5㎏もある。実際、キーボードを持ち上げて動かそうとするとものすごく重い。欠点ですらあるほど重い。
しかしこのおかげで、私がタイピング中にキーボード自体の位置を調整し直すことは全くない。キーボード自体が定位置からズレないというのは、指を動かす位置が変わらないため、タイピングの精度も向上させた。
上述したキーの安定感も相まって、文章を長く打つにあたってものすごく快適なキーボードであることを感じている。
③文章を打つためのキーボードであること
このキーボードの欠点をあげるとするならば、キーそのものの独立性が強いため、真上からひとつずつ押さなければならないという点にある。
ノートパソコンのようにキー同士の天面がフラットではなく、指を滑らせるように移動させることはできない。しっかりと指を持ち上げてタイピングしなければならないのだ。
最初、指の持ち上げが足りず、押したキーの隣のキーに指が引っかかてしまって、スムーズにタイピングできなかった。しかし、1週間もすればその感覚にも慣れ、打ちやすさの方が圧倒的に上回ることになった。
1日に数千回キーをタイプして分かったが、このキーボードは「文章を書くことだけに特化した、物書き用のキーボード」であることがわかる。
キーボードを打つことへのストレスを極限までなくし、キーボードに触れたいがために文章を打ちたくなるような、そんな魅力を放っている。
実際リアルフォースを導入してからというもの、タイピングしていたいがために執筆時間が長くなり、文字の分量が増えすぎてしまうため、推敲する時間が長くなっているのは間違いない。
文章を書く、という体験の貴重化。
今回リアルフォースを導入して感じたことは、手に触れるものを変えると生活の質が向上するということだった。
インターネットは今やライフラインのひとつになり、中でも「文字を書く/言語を話す」ことで文明を築いてきたヒトの特徴を、現代版に置き換えたものがキーボードである。
しかし、仕事や必要書類以外のプライベートで、文字を書く/打つ機会はそうあるものではない。今は日記を書くという人も珍しいレベルになってしまっているし、手書きで文字を書く習慣は私にもない。
また、スマホやタブレットなどタッチパネル式の入力が急速に普及する中で、キーボードを購入するというのはむしろ、時代の流れに逆行した行為ともいえるだろう。
それでも私は、「今回リアルフォースを購入してよかった」と断言することができる。
私は文字を書くこと/文章を作ることしか、自己表現の手段を持たない。喋りも上手くないし、絵も描けないし、動画編集もできない。当然、文才もない。
その自己表現の手段のために必要な道具をよりよいものにするというのは、表現することへのハードルを格段に下げてくれるものになった。
キーボードを打ちたいから、文章を書く。
動機としては不純かもしれないが、私が自己表現する機会をリアルフォースが増やしてくれたのは間違いない。
SNS文化で文字を読む機会は圧倒的に増えているが、自分で数万文字の文章を、あるテーマに沿って書くというのはそもそも得難い経験で、文章を書くという体験は現代において貴重なものになっていると感じる。
私がnoteを始めたきっかけは「受信するだけの人間になりたくなかった」からで、その発信を大きく支えてくれるこのキーボードには感謝の念すら抱いている。
こうして発信を続けることで自分の世界は変わってきているし、文字を打つことで新しいコミュニティにも参加したいと思うきっかけにもなりつつある。
本格的に物書きが趣味になった方は、ぜひキーボードにこだわって欲しい。生活の質、ひいてはQOLが簡単に上がるライフハックだと思う。
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