イメージソース×HISTORY®︎ 対談インタビュー!CITIZEN PROMASTER 『Save the BEYOND』クリエイティブの裏側
こんにちは、イメージソース広報の中丸です。
今夏、CITIZENのスポーツウオッチ「PROMASTER」のグローバル・キャンペーン『Save the BEYOND/VOICE OF THE DEEP』のスペシャルサイトが公開されました。イメージソースでは、昨年より2期連続で『Save the BEYOND』のクリエイティブワーク全般を担当。ブランドの世界観を表現しご好評をいただいたクリエイティブが叶ったのは、まさに同志のような協力企業・人の存在がありました。
本記事では、映像を中心とした素晴らしいコンテンツの企画/制作を担った、世界200カ国以上の地域で様々な映像コンテンツを提供するグローバルメディアカンパニー「A+E NETWORKS®︎」が擁する歴史&エンターテインメント専門チャンネル「HISTORY®︎」のシニアディレクター・金澤剛(かなざわたけし)さんと、イメージソースのアートディレクターでデザイナーの圓島努(まるしまつとむ)の対談をお届けします。
▶︎インタビューメンバー
金澤剛/シニア ディレクター セールス&パートナーシップ(A+E Networks Japan G.K)
圓島努/アートディレクター・デザイナー(イメージソース)
▶︎Save the BEYOND/VOICE OF THE DEEP(2021)
▶︎Save the BEYOND/CONNECTING 8 OCEANS(2020)
共通する志は、“本物を目指す” こと
金澤:「PROMASTER」はその名の通り、過酷な環境下でも耐えうる信頼性と機能性を兼ね備えたプロフェッショナルスポーツウオッチです。Marine/Land/Skyと様々な環境下での具体的な行動を想定し、身体的、精神的にも自身の限界に挑む人たちが使用可能なプロダクトとして、誕生から30年以上、未知の領域への憧れや夢の実現を応援し続けているブランドです。2019年、その「PROMASTER」が30周年を迎えた節目からグローバルキャンペーン『Save the BEYOND』がスタート、我々HISTORY®︎はそのコンテンツ企画/制作を担当しています。キャンペーンサイトでは、失われゆく自然の現状と、自然を守るために立ち向かうプロフェッショナルたちのリアルな物語を動画や記事でご覧いただけます。46億年かけて築き上げてきた美しく尊いこの大自然がいま非常に危機的な状況にあり、それを守るべく最前線で活動される方々を世界各地で取材し、真実の物語を伝えています。CITIZENさんとは他時計のプロモーションでもお付き合いがあり、本キャンペーンでは、グローバル展開していくパートナーとしてお声掛けいただきました。
圓島:私もイメージソース所属前よりCITIZENさんとお仕事させていただいておりまして、本キャンペーンでもご縁をいただきました。コンセプト設計・コンテンツ企画から、デザインビジュアル制作、全8言語に及ぶサイト内情報設計からフロントエンド実装まで、クリエイティブワーク全般をイメージソースで担当しております。『Save the BEYOND』では様々な自然の現実に立ち向かう冒険者たちの物語を伝えていますが、昨年と今年はPROMASTER」のなかでもダイバーズウオッチにフィーチャーするとのことで、キャンペーンサイトに登場するような人物や状況を象徴的に捉えつつ、更なるファンの醸成を行っていく為にどんなキャンペーンにしていくかがまずはじめの課題となりました。
金澤:時計のモデルごとに異なる、個性と機能。『Save the BEYOND』の世界観のなかでこの魅力を伝えるため、企画を私たちでつくりつつ、イメージソースさんにはその肉づけをしてもらいました。テーマやイメージビューの深堀りはHISTORY®︎とリックさん(※Richard Grehan。本企画のパートナー企業・imageMILL代表/クリエイティブディレクター)で進め、ユーザー体験の部分は各社で話し合いながら進めていきました。
圓島:HISTORY®︎さんとリックさんは、環境問題や気候変動といった話題に関して、沢山のの知見をお持ちで、私たちが向かう先の未来を含めた『Save the BEYOND』の在り方についてかなり初期段階でご共有いただいていたので、イメージソースもクリエイティブを描きやすく、商品とキャンペーンについての目指すべき想いや濃さのような部分に共感を憶えました。考えていただいた企画を、どういった文脈で、どうビジュアルに落とし込んでいくのか、どうキャンペーン全体の構成を組んでいくのかを我々が担当しつつも、決して一方向のコミュニケーションではなく、CITIZENさん含めた関係各社が非常にフラットないい関係で作り上げることができましたね。単なるサイト制作に留まらずキャンペーン全体のあり方などを念頭においた提案が心強かったと、CITIZENのご担当者さんにも仰っていただきました。
金澤:それぞれが「PROMASTER」というブランドと商品へ携わってきたことでの理解と共感はもちろんのこと、それぞれの会社の方々がそれぞれのポジションでプロフェッショナルだからこそできたコミュニケーションのかたちですね。大きな修正もなく進行し、お互いの領域を任せられる安心感をCITIZENさんにも同様に感じていただけたのでは、と思っています。
リアリティを体感できるクリエイティブ表現はどのように?
圓島:コロナ禍で言えば、海外で予定していた撮影を調整するなど影響がありつつ、最終的にはユーザーからしてみれば何事もなかったような、はじめからこんな企画であったようにまとめられましたね。
流動的で難航したスケジュールのなかフレキシブルかつ丁寧な対応であったとCITIZENのご担当者さんにもご評価いただいたように、リモートで行う撮影も、私の方からHISTORY®︎さんにリクエストしたり、スチル撮影のディレクションをご提案させて頂いたりして、ドキュメンタリーだからこそ取材内容のトリミングが、臨機応変にリアルタイムで変わっていったりと、HISTORY®︎さんも私たちも、変化する状況のなかでリアルな物語を追求するアプローチを自然と共有していました。
制限があったなかでも、ブランドやHISTORY®︎さんのつくる『Save the BEYOND』のエモーショナルな世界観を落とすことなく、何ができるかを具体化していくのが私たちの役目ですが、単なる分担作業にならなかったこの協業関係は、結果このようなセンシティブなテーマにアジャストできた要因であると感じています。
デザインについても調整を重ね、ユーザーにより深く感じていただくための、ビジュアル的な意味の語り口には配慮しました。昨年、今年と同じ「MARINE」「海」の世界がテーマにあり、ダイバーズウオッチというジャンルの製品を扱っていますが、今年は昨年よりも深海のリアリティがありつつ、暗くなりすぎない重さもちょっと出るようにしたりとか。
金澤:デザインの温度感が絶妙ですね。クライアントであれヒストリーチャンネルであれ、やりたいこと・なりたいことといった要望をデザインに落とし込むって、デザインする方にとっては毎度苦労されていることだと思うんですけど、かなりの精度で反映されてくる。その年のテーマと時計のファンクションもしっかり押さえつつ。
圓島:単純に合わないものって嫌で(笑)。それにドキュメンタリーなどファクチュアルエンタテインメントがすごく好きなんです。このキャンペーンサイトがそのひとつとしてユーザーに見てもらえたらと思い制作しました。HISTORY®︎さんの映像と「PROMASTER」が最もマッチングするポイントをギリギリまで追求していくことを基本としながら。
金澤:共感します。ヒストリーチャンネルは歴史のなかでもヒューマンストーリーに特化したファクチュアルエンタテインメントですが、「人」の物語を前面に推していきたいHISTORY®︎の意思をも汲んでいただいたデザインだと感じました。今回コンテンツ内にご出演いただいた世界中の環境活動家たちも、圓島さんのデザインを見て、自分たちの活動や背景、想いといった世界観を大事にしてくれていると評価していました。
圓島:嬉しいですね。撮影に参加していたビデオグラファーさんから「グローバルクオリティ!」との言葉をいただいた時なんて特に。CITIZENさんにも「企画の規模に負けないインパクトあるビジュアル、デザインに仕上げていただき満足しています」とのコメントもいただき、光栄に思っています。デザイン表現では、時計の世界や海の表現で定番的な見せ方や語り口でなく、「PROMASTER」が打ち出す『Save the BEYOND』のリアリティさ、誠実さ、苛立ちのようなものを抱えつつも尚進歩することの大切さ、といった内容や言葉がきちんと伝わるよう意識しました。表現傾向のリサーチにもかなり時間をかけましたね。例えば海といえば、青く澄んで綺麗な世界としてまとめてしまうところを、現実の海はそうではない場合も多くて、そのようなリアルを伝えつつも成り立つような画づくりをしました。世界中で活躍する活動家さんたちの現場感や感情の揺れまでもが、ユーザーさんに伝わって欲しいなと思います。
金澤:制作内部にいるコピーライターさんもすごく喜んでくれたし、自分たちが参加できたことを良かったと思ってくれています。我々にとっても嬉しい瞬間です。深海の表現は難しかったのではないでしょうか?
圓島:はい、本来であれば深海って光が落ちてこない暗闇で、何も見えるはずないんですが。海を深く進むにつれて可視光線の色と波長が失われてくるように、うっすらと背景色から赤みが消えてモノトーンに近い青に変わっていくようデザインしました。“MARINE” や “海” の表現のしかたで、光が差した水面にポコポコと空気が浮かぶ、といったものがお作法的にあるんですが、深海とは違いますよね。ダイバーがフィジカルに感じる部分をサイトのディティールに表現し、映像コンテンツが見たくなるよう演出を仕掛けました。
金澤:制作のタイムラインはいつも大変なことになりますが、世界で起きている事実を遠くの出来事ではなく、身近な事として伝えていく本キャンペーンのような仕事はとても意味のあるものだと思います。伝えられてこなかったことをどうストーリーテーリングしていくか、また歴史をつくる「人」という存在にフォーカスして伝えていくことは我々HISTORY®︎としてのミッションであり、それがWeb表現であっても何であっても、リアリティを持ったものとして落とし込んでいくべきだと思っています。
未だ眠っている事実をグローバルに伝えたい
圓島:HISTORY®︎さんとは、今後もファクチュアルエンタテインメントやリアリティを求めるグルーバルなサイトなどで、ぜひご一緒させていただきたいです。
金澤:日本の様々な文化や観光資源をグローバルな視点からコンテンツ化していきたいです。日本に居住する外国人からみた日本って日本人の感覚と切り取り方が異なっていて。日本在住10年になる外国人も、日本ってまだまだワンダーランドだと言います。いつまで経っても日本のコンテンツには驚きがあるようです。実は日本の文化にこんなものがっていうような事実を伝えたいですね。視点を変えるだけでいつもの風景が違って見えてくるって我々日本人にとっても新鮮でもっと日本が好きになるのではないでしょうか。企画はあるのでご賛同いただける方がぜひ集まればいいですね。
圓島:例えば戦争や歴史的な出来事などについて、海外ではエンタテインメント感のあるコンテンツサイトが多くありますが、日本にはあまりありません。Web GLを使ったりと凝った演出でリアリティが伝わる、そういったサイトを日本でも作ってみたいですね。歴史的な事柄に関して、もしそれが悲しく残酷な歴史であっても、きちんと目を向け、知り、次の世代に続くようなものにできるのではないかと思います。