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8月第3週〜新潟、山形、宮城、福島〜

2日目

新潟県立自然科学館

 先週のnoteの続きとなるためいきなり2日目、新潟からのスタートとなる。新潟市内の宿よりも1日目の長岡の方が安かったためそちらに泊まり在来線で新潟県立自然科学館へ向かった。新潟駅からバスですぐの場所にあるという立地からか多くの家族連れがチケット購入の列をなしていた。ちなみにこの列は私が滞在していた約5時間の間一度も途切れていなかったので驚きだ。
 入るとまずは特別展であるホラーにふれる展に向かう。内容は映画美術の世界についてで普段触れないしそもそもすぐに壊されるものだから貴重なことが分かりやすくとても楽しめた。ホラーという名前から怖いものを想像したが実際は怖そうで怖くないと感じた。というのもセットはしっかり怖いのだが説明書きが思わずクスッと笑ってしまうような文もあり安心して見ることができたのだ。900円という値段は高いが技術料と考えれば妥当だろう。

この子の眼球を探すサブクエストがあった


 常設展は言ってしまえば一昔前といった感じであった。特にアレクサやSiriで話せるロボットに慣れている子供達が青い山脈を延々歌うロボットにぽかんとしている様子には笑うことしかできなかった。ただ規模は大きく充実しているので、昔から教科書に乗っているような炎色反応等の実験は大概あり科学館としては中学生がちょうど1番面白いと思えるだろう。もちろん児童館のようなおもちゃも他の施設に比べて沢山あるので小さい子も楽しめるようになっていた。恐らくこれが子供連れが多い理由だと思われるので大人は平日に行くことをおすすめする。

中学生の実験感満載

3日目

加茂水族館

 この日は水族館好きとしていつか行きたいと言い続けていた加茂水族館を訪れた。ここに行くためには鶴岡駅から本数が多いとは言えないバスに乗り片道40分程揺られる必要があるので、気軽には行くことができず今回は満を持して前泊をしての来館となった。なおこのバスはフリーパスを購入して往復するのが最安値となりおすすめである。
 着いてすぐに500円のバックヤードツアーに課金した。1人だとこういうときに微妙な枠にねじ込めるのが嬉しい。ツアーまでの待ち時間に展示を見ることにしたがここは圧倒的博物館タイプの水族館であった。魚それぞれの説明と共に庄内での呼び名があるところに個性を感じる。大きな水槽ではサケの赤ちゃんが沢山泳いでいて大人が口々に美味しそうと言っていた。私はその隣にあるコンペイトウにしか目がいかなかったのだが近くにはボウズイカも居てそこでは私含めニッチな需要を持つ客たちが溜まっていた。

1番好きな魚であるコンペイトウ

 加茂水族館といえばクラゲであることは多くの人が知っているだろう。私もそこを目当てで訪れたのだが大概の人がそうなのか展示に入る前にクラゲ缶バッジという名の課金コーナーが用意されていた。それぞれ種類で分けられておりそれを見比べるだけで十分面白かった。中の展示はあまりにも多くの種類がいて綺麗とか云々よりも多様性と狂気を感じてどきどきした。多くの種類を見ると個体差が嫌でも分かるので有難い。

細かく分かれている

 待ちに待ったバックヤードツアーは全部写真撮れるし好きに見れる時間が多いのがよかった。細かいことが気になる大人向け要素強めで質問はツアーが終わったあとにも受け付けてくれるので事前に用意した分全てを聞けた。個人的には梅酒の瓶が持ち運びやすくて赤ちゃんくらげの飼育に適しているという話があまりにも素敵でお気に入りである。ショーの調光の表や機械も見ることができたので好きな人は是非課金してほしい。

バックヤードツアーはかなり裏まで見れる

 加茂水族館は規模はあまり大きくないけれどクラゲという要素のおかげで施設が整っているし行って損はない場所だと感じた。水族館好きはここを目当てに旅行できるレベルであるだろう。

クラッセ

 水族館を離れ次の場所までの移動の乗り換えで余目駅を訪れた。ここ自体は整えられた田舎の駅といった感じなのだがすぐ側にクラッセという道の駅的なものがある。絵葉書探しのつもりで寄ったのだがこじんまりとした施設の割に商品が多くついガトーショコラを買ってしまった。手づかみのつもりがフォークくれたからフリースペースの机と椅子をお借りして丁寧に食べることに。こういう場所のスイーツは値段以上に幸せになれることが多いのでつい買ってしまうし実際とても美味しかった。余目駅から先がバスでの運行となっている関係で待ち時間が長くなりやすいのでその際はエアコンが効いているこちらに寄ることをおすすめする。

美味しいガトーショコラ

4日目

山形県立博物館

 4日目は山形駅近くの山形県立博物館を訪れた。ちょうど私が訪れたタイミングで何か新しい展示の準備を行っていたのか手際よく組み立てられている様子が見えて面白かったのだが時間が沢山ある訳では無いので常設展を見に行く。
 常設展は古いながらも自然史について丁寧に展示が組まれていた。日本大陸ができる流れと共にそのときの山形がどんな状況なのかが書いてあり、火山の噴火に関する資料や化石が置いてあるのでいかに身近に感じさせるかを考え抜いたことが伝わる。有名な化石は同じ時代として並べはするが山形では出てこなかったという事実も含めて書いてあるのも丁寧だ。県の歴史としては最上川が中心となるのかそこは別で展示があった。個人的には前日の加茂水族館にもあったケサランパサランが置いてありひっそりと置かれているこの子達が白粉を摂取出来ているのか気になった。そもそも何なのかよく分かっていないので詳しい展示をどこかで見てみたい。

既に2度目の目撃となるケサランパサラン

5日目

東北歴史博物館

 この旅行も後半戦となり、この日は泊まっていた宮城の快活CLUBから東北歴史博物館へ向かった。以前仙台を訪れた際には改装中だったので今回は見ることができてとても嬉しい。またこの施設は駅に隣接しているといっても過言ではないほど近いので公共交通ユーザーとして有難い。
 入ってまずは特別展の和食を見る。展示の中で山菜の標本があるのだが実際に小学生の私が登下校の道でとっていたものもあり懐かしくなった。食がテーマということで博物館にある食品サンプルや模型を美味しそうと思えるのが良い。遺伝子レベルでの発酵食品の作り方や関係性について説明があった。そこでは遺伝子の遠さをチーターとイエネコで比べておりその分かりやすさに感動した。

Twitterでもみた大根達


 常設展はとにかく広く綺麗という印象であった。本当に広いので歩くだけで疲れるけど平面移動だから我慢して歩く。特別どこかの時代が多いっていうこともなく、強いて言うなら現代に近くなればなるほど減っているような気がしたがそこは仙台市博物館が強いので問題ない。東北というか宮城のお話は多いけれど量はあるのにあっさり見れた。

祈り関係は圧が強い

 この日のお昼は善次郎の駅弁を購入した。しゅーっという具合に蒸気で温めるのは想像以上にな楽しかった。結構時間おいてから食べたが炊きたてご飯くらいあつあつでこれは他の弁当にも使ってほしいと感じた。2500円という値段もありしっかり美味しかったがこれはたまにの贅沢だ。

とてつもなく美味しい弁当

6日目

東京電力廃炉資料館

 この日はずっと気になっていた東京電力廃炉資料館へ行った。これまでは強制ツアー形式が多かったのだがついに部分的に解除されたのでゆっくり見れるのが嬉しい。行くまでの道のりで街が不気味な程に新しく綺麗な様子に少し怖さを覚える。
 入ると本当は時間が決まっている映像を私のためだけに上映してくれた。この映像に全てが詰まっておりどのような経緯でこの事故が発生したのか、今はどういう状況なのかが分かりやすくまとめられている。この映像に限らず展示全てが反省文を映像にした感じで見ている側は常に謝られ続けた。できなかった、やらなかったをここまで丁寧に伝えられることは無いので貴重な経験だったと言える。注目してほしいのは2階の起こったことについての説明では男性ナレーション、1階の現在の様子では女性ナレーションで意図的に印象を変えている様子なことである。知っているけれど知らないことが多いと実感させられる。

建物の中は基本撮影禁止

とみおかアーカイブ・ミュージアム

 せっかく富岡という町に来たので訪れることにした。中は綺麗で明るく音もあるので怖くない。そして街の歴史として十分な量が展示されているので博物館としてお金をとっていないのが不思議なくらいだ。展示では震災前と後で簡単に分けられており廃炉資料館を訪れたからには事故を起こされた側のことも知ってほしいという意図が透けて見えた。といっても何かを責めるのではなくどんな対応をしたのかや震災前のものに対する展示パネルに町民の声が貼ってある部分から感じ取れるようになっている。当時の生活や震災が無かったらこうだったのかなといった声の生々しさの記録も貴重なものとなるのだろう。全町避難を行い展示としても区切りがくる部分でナレーションを「みんな川内村へ、の紙を残して」で終わるのはこの土地から人がいなくなったことを端的に表していて上手いなと感じた。
 ここで1番見てほしい展示は時計に関するものだ。よく事故や戦争の博物館ではその時間で止まった時計の展示があるがここはそれだけでなく最終的になんでもない時間に止まった時計に対して、全町避難によって電池が変えられなかったこで止まりこの時計の被災はその止まった時間なんだという説明書きがなされていた。事実を分かりやすい形に落とし込むのがとても上手い人がいるのだろう。他にも多くの興味をひく展示があるので実際に訪れてほしい。

時計それぞれにストーリーがある

7日目

アクアマリンふくしま

 実は6日目は台風の影響で電車が止まり足止めを食らったのだが、この日は電車が無事動いたので予定通りアクアマリンふくしまに向かうことにした。残念ながら同様の理由で近くにある御船印を置いてある船には乗れなかったので行く前からまた行こうと決意した。
 このアクアマリンふくしまは博物館タイプの動物園といった感じで広いし外を沢山歩かされた。展示パネルは新しいし読みやすい。何気に文量が多いのも情報がたくさん仕入れられて嬉しい。
 水族館の建物の中ではテーマ展示が行われておりこちらはほとんど魚がいない本当に博物館のような展示があった。分かりやすく資料を用いて捕鯨に関する説明がありその丁寧さと意見の主張も素晴らしかったのだが、近くにいた家族が子供に鯨って食べちゃダメなんだよと教えていて思わずずっこけそうになってしまった。
 大水槽では潮目が再現されており本物のキハダマグロを見ることができる。それだけでも貴重なのだがなによりこの黒潮水槽の前には寿司屋があり命を眺めながら命を食べることができるようになっているのだ。思想によっては発狂しそうな状況だが悪くない取り組みだと私は思う。ちなみに価格は銀座の寿司屋の安いものくらいだ。

水槽の目の前の寿司屋

 今回も無料のバックヤードツアーに参加することにしたのだが1枠7人ととても少ないのでかなり激戦であったのでシングルなのをいいことに有難く参加させてもらった。内容はボランティアだしタダなら十分といった感じであった。裏舞台の広さと沢山のパイプを見てワクワクできる人向けである。恐らくこのツアーの見どころは待機水槽で今後展示される個体が見れることだ。私が訪れた際には搬入予定のイワシや保護された右後ろ足のない亀を愛でることができた。

おわりに

 規模が大きいところから小さいところまで見ることで自分の中に基準ができるのを感じる。いつでも行けるはすぐに崩れることを能登半島地震で感じたので好きになるかもしれない場所には積極的に行くべきだということを軸にしたのが今回の旅行である。最後、noteに書き切るところまでこの旅行を楽しみたい。

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