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「だってインド社会はそれで成り立ってるから。」

[2019.3.17投稿記事]

"That's how it works."インドにいた時、よく耳にした言葉。インドではカースト制度というものがある。私はその制度がとっても興味深くて、「勉強しているから」という断りを入れた上で、失礼にならないように多くのインド人に話を聞いて回った。

そもそもカースト制度とはなにか。
とっても簡単に説明すると、生まれた時から身分が決められている制度のこと。例えば、親が経営者ならその子供も経営者。親が清掃員ならその子供も清掃員。という感じ。(カーストについての詳細は今回は端折ります。)

日本人の私にとってはそのシステムについて理解することがとても難しかった。でもこのシステムがなければ、インドの社会は成り立たないらしい。

どういうことかというと、カースト制度があるおかげで貧しい身分でも仕事が自動的に入ってくるから。逆に言えば、格差が激しいインドでは、カースト制度がなければ何の知識もスキルも学歴もない身分は働けないどころか生きていけないということ。

インドを歩けば、どこでもカースト制度を目の当たりにする機会がある。私が最も印象に残っている場面を2つ紹介したい。

①電車に乗っていた時のこと。
チャイ配りのおじさんがやってきた。彼は私の隣に座っている男性を無視して、私にチャイをくれて去って行った。「なんで私だけ?」と聞くと、身分の異なる者に物を売ったりあげたりすことは、ヒンドゥー教上禁止されているからなんだと。

外国人で非信者の私には関係ないため、彼は私にだけ渡したらしい。いくら心の優しい上層階級のインド人でも、「これはインドでは暗黙の了解というか、マナーなのよ」と言っていた。

②ガンジス川の焼却場でのこと。
(※ガンジス川については詳細を別途記事にする予定)
ガンジス川では24時間365日遺体が焼かれているのだけど、そこで遺体を運んだり、焼いたりしている中に小学生くらいの子供もいた。学校に行かず、朝から晩まで遺体を運び、燃やし、川に投げ入れの繰り返しなのだろう。その隣でその子の父親と思われる男性も同じように遺体を処理していた。きっと”遺体処理の階級”の人たちなのだと思う。 

こんなひどい労働を課せられるなら、差別されるなら、カースト制度なんて廃止してしまえばいいのにと思っていたけれど、実際にインドを目の当たりにすると、カースト制度がもしかしたら彼らを助けているのかもしれないと思うようになっていた。

インドの人口は凄まじく多く、仕事を得るのがとっても大変。彼らは常に小さなことでも仕事にしてお金を作ろうと毎日必死だ。
生まれた時からお金がないから学校に行けず、教育を受けていないが故に一生仕事を見つけることに苦労をするなら、生まれた時から仕事が決まっていた方がいいのかもしれない。少なくともそれで明日までは多分生きられるから。

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