ありがとうコルクラボマンガ専科&これから受講したい方向けメモ
歩です。半年間受講したコルクラボマンガ専科4期が終了しました。
終わってしまった…。
オンライン受講だったのに、なんだか本当に半年間学校に通っていたような楽しさと充実感、卒業の寂しさがあります。学校って楽しいなぁ…大人になってこんな経験ができるとは思ってなかったですね。
ひと言では言い表せない変化と学びの数々があったので、得たものを振り返ってみます。ざっとまとめてみましたが、コレでも全然書ききれてないくらい。
最後の章に、これから受講したい方向けのメモも書いてみました。何かしら次の人たちの参考になれば。
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(🖋9/8追記)
5期の募集が始まったみたいです。このチャンスお見逃しなく!
受講前の状況と悩み
マンガ専科は色んなスタンスの人たちが受講していたわけですが、僕はこんな感じでした。
歩(▶︎プロフィール)
漫画家/イラストレーター
・マンガ歴:6-7年くらい。独学。
・2016年商業デビュー(今は出版社から離れてます)
・自分で会社を作って漫画やイラストの仕事で食べている
・完全ひとり体制
商業デビューして連載までいったものの、紆余曲折ありBREAK THE BORDERという元々商業連載していたバスケ漫画を、現在はnoteで個人連載していました。
しかし編集さんも相談できる人もおらず、はじめての連載である漫画をそのまま1人で続けていたため、しだいに行き詰まります(そりゃそうだ;)。言い訳のしようもない、完全なる力不足。
受講前の悩みなど一覧
・漫画は独学だった。漫画を"習えるもの"だと思ってなかった
・短編1作(デビュー作含めると2作)しか描いたことないままデビューして連載していた(危なっかしすぎる!! w)。長編を描くことにしか興味がなかった
・↑そんな状況&頼る人もおらず行き詰まっていた
・漫画仲間が居なくて孤独を極めていた
・今の漫画の描き方でいいのか、判断基準もなくどんどん自信をなくしていた&成長が遅い
ちょっとこれは…負のループ感がやばいですね。このまま行ってたら漫画描けなくなってたのでは…??と思うとゾッとします。
並べてみると、主に人の繋がりが欠如していることが悩みの根源だったのがわかります。
とにかく、ひとりずっと悩んでいました。でもどこに信頼できる場所があるのか、どこで仲間ができるのかもわからず。
そんな時にTwitterで見つけたのがマンガ専科でした。
🍇収穫❶漫画は好きなものを描いていい
マンガは「好きのおすそわけ」!!
自分の好きなものを漫画にしよう。これは終始行き交ったワードでした。
僕はバスケ漫画を描いてますが、そういえば漫画の中に自分の好きなものをかなり入れてました。
でもまだまだ”入れてるつもり”にすぎなかったのでは?好きの入れ込み方が足りなかったな〜と今では思います。
「宇宙兄弟」の小山宙哉さんは、漫画のネームを全部自分の好きな要素(シーンとか、展開とかまで)で埋め尽くすようになってから、ネームを直されることがなくなったそう。そのくらい自分の好きなものがわかっているということです。
なるほどシーンや展開までもか…キャラクターの性格やデザイン、関係性には好きを込めていたけど、そこまでは考えられてなかったかも。全部の要素が好きと言えるほど磨き上げることができたら、描くのがもっと楽しくなるだろうな。
そのためには、自分の好きなものを解像度高く把握する必要があるんだなと知りました。もっと言えば自己理解です。
・どんなキャラクターが好きなのか?
・萌え(燃え)るポイントは?
・どういう展開でグッとくる?
・どんなセリフが好き?
・自分の感情はどんな時にゆさぶられる?
・好きと自覚するまでもなく好きなものは?
・どんな舞台やシチュエーションが好き?
・グッとくる演出は?…etc
好きを追求しだすと、果てしない。果てしないのだけど、間違いなくその先には"楽しい"が待っている。好きでなければ、作品に愛も込められない。
最後の講義で印象に残った言葉の中に、
「ダメなところを直せば商品として成立はするが、一流にはなれない」
「いいところ(作家の好きなもの)をより過剰にしていく。楽しみながら描き続けることができたら、超一流になれる」
そんな言葉がありました。好きに忠実になっていい、なんて中々言われない言葉。これは凄く勇気になりました。
今まではネームを描いていて、描けてるときは楽しいのだけど苦しんでいる時間も多かったように思います。それを楽しいに変換できたら…もっと漫画を描くことが好きになれる気がしました。
🍅収穫❷漫画づくりの基本の「型」を知った
受講前は、脚本術の本で得た知見を応用して漫画を描いてました。ザ・独学。果たしてこの描き方でいいのか判断基準もなく、本当に手探りでした。
半年間の間講義は12回ほどあって、最終的な課題は「32Pの短編マンガを作ること」。半年間かけて、漫画作りのポイントや手順を教えてもらえました。こんなに体系化できるもんなんですね。
(詳しくは、講義動画はYoutubeですべて公開されているので勉強したい方はぜひそこで!)
4コマで大まかな構成を作る▶︎今度は8コマに分けて構成▶︎32Pの配分表に文字でストーリーを書く▶︎文字を書いたら今度はページごとの1番見せたい絵を描いてみる
…の工程を踏んでからやっとネーム!というのは最初は手順多くない?と思ったんですが、描く前に構成(骨組み)をちゃんと作っておくってめちゃくちゃ大事だな…と最終課題を描いてみて思いました。
↑この、ページごとの一番見せたい絵を構成の段階で決めてしまうの、絵から入るタイプの自分にはやりやすい手法でした。ネームの時のコマ割りもしやすかったです。
漫画を読む時にも、その漫画がどういう構成で描かれているのかに注目して読むと、描く力も上がっていくし、引き出しも増えるとのこと。
とにかく半年間「型」「構成」「構造」!的な言葉が行き交ってました。
型、型、型と言われすぎて気づいたんですが、思えば世界はほぼすべてのものが型でできている…!
たとえば洋服だってそう。スーツや制服、デニム、靴…どの会社の、どの商品でもベースのカタチはほぼ同じですよね。家電や乗り物、建物だって。
そういえば、人物を描くときの体の比率だって。あれも型だ。
絵を描く時にもそういう基本の型さえ暗記してしまえば、わざわざ資料を探して描く時間が減る=のびのびと描くことに没頭できる時間が増えるわけです。
「型」という言葉にものすごく不自由なイメージを抱いていたけど、型があるからこそその中を思い切り自由に泳ぎ回れたり、アレンジできたりする。そんなイメージに変わりました。
🍊収穫❸ネームを描く時のポイントがわかってきた
漫画ってひとりで映画を作ってるようなもんだよなと常々思います。気にかけなきゃいけないポイントがいっぱいありすぎる!
・感情が描けているかどうか
・キャラの求めるものは何か
・キャラの演技はできているか
・セリフで説明しすぎずなるべく絵で見せる(これは映画とかもそう)
・演出で何か工夫できないか
・どんな人に読んで欲しいのか
・一番伝えたいことは?…etc
果てしなく色々あるわけですが、漫画の描き方講義(講師:佐渡島さん・ごとう隼平さん)でも、ポイントは教えてくれますが、他にもヒントになるような講義がいくつもあって助かりました。
・自分の根本思想をさぐる表現実習(山田ズーニーさん)
・画力の上げ方を超実践的に教えてくれるイラスト講座(???さん*身元非公表)
・演技指導からキャラ演出を学ぶワークシップ(演出家/遠藤環さん)
僕の作家としてのテーマって何なんだろう?と考えるきっかけになったり、自分の描く漫画は、今までキャラクターが弱かったんだという課題感も見つかったりしました。漫画を描くということを、多角的に見つめられたのが良かったです。
教えてもらった参考図書がありすぎてまだ全部読み切れてないんですが…今のところ一番読めて良かったのはこの、キャラクターづくりの重点をまとめた本。
これは漫画を描き始めたころに読んでおきたかった…!!(前回の記事でも書いてしまったけどw)
でも今だってわりとキャリアの最初の方だし、まあ今読めて良かったのか。
🍓収穫❹漫画を読むのも好きになった
好きじゃなかったのかよ!って思いますよね。
僕は「漫画を読むのが好き▶︎漫画家になろう!」タイプではなく「描きたい物語がある▶︎絵が描けるから漫画を描こう!」となったタイプなので、漫画を読むことは人並みくらいにしか好きではありませんでした。影響を受けてきた媒体もゲームやドラマの方が多いくらいです(*どんなタイプがいても良いと思います)。
しかしマンガ専科で「漫画を描く力と読む力は表裏一体」的なことを教えられ…とにかく色んな漫画の第1話を読んでまわるようになりました。
(🎬参考:【バスの行き先理論】いい1話目はゴールが分かる)
そしたら10年ぶりぐらいに心を奪われる漫画に出会えたり…
漫画を読むことに対する根本的な抵抗感に気づいて克服したり…▼
今までより短期間で色んな作品を、構造面の観察も含めて読んだので、心なしか頭の中の引き出しが増えた気がします(Evernoteに読んだ作品のメモを溜めてます)。
僕はBREAK THE BORDERの1話目で、作品の行き先を示せていただろうか?と振り返る良い機会にもなりました。もし今の自分でもう一度第1話を描き直すとしたら、絶対に全く別の始まり方・見せ方をするだろうなと想像が止まりません。
それは後悔とかネガティブな話ではなくて、違う視点を持てたということが本当に収穫でした。
読む習慣と観察は、これからも続けます!
🌽収穫❺過去作の電子書籍を出すことになった
変化球すぎる出来事としては、6年前に描いた作品の電子書籍を出す流れになったこと。これは受講前の自分に言ったら「は、はぁ????」って言われそう。封印していた作品だったからです。
発掘したついでにTwitterに載せたところ、佐渡島さんに電子書籍にしないかとお声がけいただき、コルクさんで電子書籍として出していただけることになりました(いま作ってます!)。
「昔の作品はSNSに載せるもんじゃない」という固定概念があったのだけど、「過去作もどんどん再放送しよう!」というのもマンガ専科で教えられたことでした。
昔の作品だって、大事な財産なんです。
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(🖋9/8追記)
電子書籍、無事出ました!
🥕収穫❻心から好きな作品を生み出せた
冒頭に書いたとおり、僕は受講前までは短編作を描くことに本当に興味がありませんでした。
だから最初は最終課題の漫画のことをあくまで"課題作"と捉えてしまっていた。それほど乗り気じゃないところから始まったんですが、講義が進むにつれて「作るからにはちゃんと自分の作品ライブラリに追加できる作品にしたい」と思うようになりました。
卒業したのにまだ途中までしか出来てないわけですが、、すでにめっっちゃ好きです!大好きな作品が生み出せたことが嬉しかったです(最後まで描いてね)。作者がその作品を好きかどうかって、本当にめちゃくちゃ大事…!!!自分の好きな要素をどう組み込んでいけばいいかも、少しだけ掴んできた気がします。今んとこ全部のシーンが好きです。
バスケ、バスケでやってきたけど、自分の中にある他の扉を開けられたのも新鮮でした。こういうのも描けるんだ。
ちなみにこの作品にも型を使っていて、とある探索系映画の構造部分をベースにしています。もちろんストーリーは全く異なりますが、感情の流れや情報が出てくる順番などはけっこう参考にしてるかも。好きな作品をまるごとコピーするのではなく、"構造部分を"「型」として使って自分の描きたいものに置き換えて描いてみる。そうすると一番力がつくらしいです。何作かそんなふうに短編を描いてみたいなと思いました。
BREAK THE BORDER命!!的な感じでずっとやってきたけども、たとえ短編であっても自分が作る作品にはすべて、平等な愛を持たねばなと学びました。そうでないと、人には伝わらない。
この変化も、何気にものすごく大きいです。
🥦収穫❼はじめて漫画仲間ができた
何より嬉しかったのがこれ…
僕はオンラインで人と仲良くなったことがほぼなかったので本当に繋がりができるのか懐疑的でしたが、フタを開けてみれば序盤の方でその余計な心配は吹き飛びました。
「作品を通してその人を知っていく」というのはイラストを学んでいた専門学校時代も経験したことがあることですが、約10年ぶりに学校的なコミュニティに身を置いてみて、自分の人に対する目線の変化・解像度の変化(深くなったという意味で)も感じました。
みんなそれぞれに強みがあり、それは自分自身では気づききれないのだけど、人に言ってもらえて初めて強みだと自覚できる。同じ型を使ってストーリーを描こうとしても、人によって全く違う表現手段が出てくる。そんな、コミュニティだからこそ生まれる化学反応みたいなものが面白かったし、刺激になりました。
漫画の主人公のキャラクター性は、他のキャラクターとの関係性ややりとりによって浮き彫りになっていくものですが、まさにそれを自分自身がコミュニティに身を置くことで再確認。やっぱり人は人の中で成長していく生き物なんですね。ものすごく当たり前なことだけど、本当に今まで漫画仲間が居なくて、孤独を極めていたからこそそう思います。どんだけ孤独だったんだよ 笑
今年達成したいこととして、決めていたことがありました。ひとりで活動するのをやめること。それはフリーの編集さんとかマネージャーさんを見つけるとか、ざっくりそういう構想だったんですが、"漫画仲間ができた"ということで気持ち的には半分くらい達成されてきた感じがします。今後も定例会をやろうよなんて話も出てきたりして、この繋がりは続いていきそうです。
僕が受講前に感じていた行き詰まり感は、実力不足云々の前に漫画の相談をする相手や場所がなかったことが大きな要因だったと今ならわかります。ひとりでの成長ってものすごく限られているし、発展していかない。
本当にこの場所に出会えて良かったです。
漫画を描く楽しさを思い出させてくれる場であり、表現者特有の痛みや悩みをわかってくれる、そして誰も否定しないやさしい場所でした。
講師陣の皆さん、運営の皆さん、
そして同期の皆さん本当にありがとうございました!!
ありがとうマンガ専科!いや、むしろこれからもよろしくお願いします 笑
収穫が沢山ありすぎて農家になりそう👨🌾🥑🍄🌽🍏🍅🥦🍌🍆🍊👨🌾
余談:これから受講したい方向けのメモ
最後に、勝手ながら次期のコルクラボマンガ専科を受講したい方向けにメモを書いてみます。回し者じゃないですが、受講生の生の声として何かしら参考になれば。
これから受講する方が不安に思いそうな部分を解説してみました。
・課題、めっちゃ大変そう
┗大変でした!生活と両立しながらは中々大変だけど、提出できれば必ずフィードバックをもらえるので、それが一番勉強になります。他の方の課題へのフィードバックを聞いていても参考になるものばかり。ちなみに、課題は未完成状態で出しても大丈夫です。僕も卒業課題だけは未完成状態で出しました。とにかく出して、フィードバックをもらう。これが大事&醍醐味です…!!
・コミュニケーションが苦手でござる
┗グループワークや1対1ワークもたまにありましたが、基本的に講師陣の講義を聞いている時間が7~8割ぐらいでした。講義後に毎回懇親会が開催されますが、参加・不参加自由なので、コミュニティへの関わり具合は自分のスタンスで大丈夫です(懇親会に参加するメンバーはだいたい固定化されていきます 笑)。参加しないからと言って何か言われることも絶対にありません!
ただ、個人的には出来れば沢山交流しておくと、得られるものは多いし、楽しかったです。そういう意味では仲間が欲しい人に特におすすめしたいです。
・ほんとに仲間できるの?
┗オンラインですがコミュニティ設計がものすごくちゃんとしているので、交流が生まれやすい設計になってました。毎回懇親会があったり、有志で昼の作業会があったりなど。それもありますが、何より作品を読んでいたら作者の人となりがわかってくるので、作品きっかけでの交流が一番多いかもしれません(Twitterでコメントし合ったり)。
・漫画描いたことない or 描き始めたばかりだけど大丈夫?
┗ぜんぜん大丈夫です。描き始めたばかりだったけど、卒業の頃にはバズ漫画を生み出すやり手に進化を遂げた方もいました(末恐ろしい)。描きたい気持ちさえあれば大丈夫だと思います!
・どんな人が受講してるの?
┗漫画を描き始めたばかり/SNSメインで活動中/兼業で描いてる/子育てと両立しながら/すでにデビューしてる/長年漫画描きたい気持ちを燻らせていた人…などなど様々でした。漫画に対してどんなスタンスの人も受け入れてくれる場です。
・受講料が高い
┗受講したらわかると思いますが、、めちゃくちゃ破格です!得られるものの多さに対して安すぎる価格…!!
・あやしい組織なのでは?
┗僕も初めてマンガ専科の存在を知った時は「なんだこのあやしいハッシュタグは…」と思ってました。でもジャンプも漫画学校をやってるような時代なので、こういうオンラインスクール的な場はこれからスタンダードになるんじゃないでしょうか。あと、バズが全て!みたいな信条の場では絶対にないです(そんな場所だったら1ヶ月でやめてる)。そんなことよりもっと本質的なことを教えてくれます。
・どんな基準で選考されてるの?
┗全くわかりません😇フォロワー数や実績、年齢は全く関係ないというのだけは確か。作風含めなるべく多様な層が混ざり合えるように選考されているのかもなーと体感では思いました。
そんな感じです。僕が探し求めていたように、またこの場所を必要とする漫画家さんたちに、ご縁が巡っていけば良いなと心から願ってます!🙏
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