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定期購読マガジン「歩の制作部屋」オープンしました

こんにちはこんばんは、バスケ漫画「BREAK THE BORDER」作者の歩です。

なんだこのファンシーなヘッダー画像は…
そうです、以前お伝えしていた通り、僕もついに定期購読マガジン(月/500円)を始めることにしました。

最初にざっくり箇条書きするとこのマガジンでは
・BREAK THE BORDERの最新話先行公開
・制作の舞台裏や作りながら考えていること
・キャラクターのスケッチや設定画など
・表では書かない内容の記事
・その時水面下でやっていること
・とりとめのない話
(気合の入った記事ばかりでも続かないので)

などなど、ここでしか読めないコンテンツを、時にゆるっと時に真剣に制作現場からお届けしていきます。基本的に月に3〜4回更新します。ほんとに、このマガジンのイメージはこの絵のとおりです(60%くらい僕の仕事部屋がモデル)。

有料マガジン_ヘッダー_歩の制作部屋


ファンクラブのような、pixivファンボックスのようなニュアンスのものと言えば伝わりやすいでしょうか。最近はファンが直接支援する形のツールが増えてきてますよね。

BREAK THE BORDERが好き、または歩の活動を応援したい!という方はぜひぜひよろしくお願いします。

(*この記事は全文無料公開です!*)

有料マガジンをはじめるわけ

ひとことで言うなら「ちゃんと連載を続けていきたいから」です。
かつて出版社で連載していたこの漫画は、今現在僕の会社のメインコンテンツとして連載しています。そこに対して、ちゃんと責任を持ちたいというのもあります。

ここからはちょっと切実な話になりますが、大事な話なので正直に書きますね。

noteに連載場所を移してからこれまで、BREAK THE BORDERはとくに若い人、それこそ主人公の青たちと同世代くらいの子に読んで欲しいという想いが強く、"完全無料連載"にしてきました。

今でも若い人に読んで欲しい気持ちは変わらないのですが、自身で1年あまり無料連載を続けてみて思うのは、「このままじゃ作品と自分が死ぬ」でした。

出版社での連載とは違うので、当然ながら原稿料はゼロ。
この春までずっとホールドされていた権利がようやく手元に戻ってきたので、夏に電子書籍版が出せたり、今自社で紙の単行本も作ろうとしてますが、その収入が入ってくるのってけっこう先のことです。

去年2巻執筆のために開催したクラウドファンディンググッズ収入を除けば、BREAK THE BORDERを描くことで発生したお金は打ち切り後のこの2年ゼロでした。(*それとは別にイラストなどのお仕事もしてますが)


ちょっと、わかっていたけど文章にしてみると自分でぞっとしてしまった… 笑(いや、全然笑えないんだけど😂)
いくら自分が描きたくて描いている作品とはいえ、これは本当にまずいし、連載を続けていくには非現実的すぎる状況です。言うなれば「セルフやりがい搾取」「セルフブラック企業」みたいなことになってしまっていたのです。

noteに移籍した時点で何かしら有料にしても良かったのではと今なら思いますが、当時の自分には「とにかく無料で、若い人に読んでもらうこと」が大事だった。でもそれって、作品が続かなかったら意味ないですよね。今はまずちゃんと続けていくことを選びたいです。

漫画って、僕が今までしてきたどんな仕事よりも労力を使います。
労力というか、命を削ります。

描き進めるほど思うのは、漫画で描く絵って"絵"ではなくて命なのだなってこと。キャラクターはストーリーが進めば進むほど、より命を持った個の存在になっていく。

漫画の原稿を描くのがすごく疲れる理由って、単純に脚本からカメラアングル・役者の演技・演出・背景…ひとりで映画を作っているようなものだから、消費カロリーが多いのだろうな…くらいにしか思ってなかったのですが、前途の通り「あ、命を吹き込んでるからなんだ!」と最近気づいて腑に落ちました。

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自分で言うのもなんですが、こんな絵やあんな絵を、無報酬で描き続けるのって無理にも程があります。しかもこの子たち、10代のムチャクチャ元気なバスケットボーラーですから…より一層描くのに体力がいります 笑
僕がまず元気じゃないといけないし、「まあこんなもんでいいか」で描いた絵じゃだめなんです。

描いた対価がゼロなのと、いくらかあるのではやっぱりモチベーションも違います。正直なところ。

貢献精神だけでは成り立たないんですよね、何事も…

そんなわけで、この有料マガジンをはじめます。
それはこの漫画のために。ちゃんと続けていくために。
僕には連載を続けていく責任があるからです。

この漫画が僕の一番やりたいことであると同時に、人にギブできる一番大きなものだとも思っているので、これで食っていけるような体勢を作っていきたいんです。

noteを本拠地にしていきたい

なんだか切実でやべー理由から書いてしまいましたが、もう一つ、というかマガジンを始める一番大きい理由がこれです。

自分の本拠地をつくること。

これはIMAZINEの開設理由でもありました。僕はWEBサイトもあるし、ツイッターもInstagramもやってますが、いずれも"本拠地"という感じではないなとずっと思ってました。そして、マルチタスクが大の苦手なので「どこか1つに思い切り注力してやっていく」のが本来自分には向いているはず。

SNSはアーカイブ性がなかったり、深い情報を載せるには向いてない。かと言ってWEBサイトは陸の孤島すぎて、見つけてもらいにくい。仮にブログで漫画を連載しようとするならば、収入源の確保の仕方は漫画の途中によくわからない広告を挟むことになる。どれも違うなと思ったんです。

移籍先をnoteに選んだのは、
・広告がないので集中して漫画や記事を読んでもらえる
・漫画を読みに来た人だけでない色んな人がいる(偶然の出会いがある)
・課金システムがある
・クリエイターが尊重されていて、秩序が保たれている
書ききれませんが色々な面で優れているからでした。

ここに来たら漫画も読めて、最近の活動もわかって、漫画以外の記事でもじっくり物事を伝えていける、そんなホームのような場所にしていきたいんです。緊張感を持つという意味でも完全無料より、少しでも収入になったほうが良いと思いました。

ツイッターやnoteで有名になった作家さんの成功像の一つといえば、「出版社から声がかかって本が出る」なのですが、僕が目指しているのはそこじゃありません。

自分のスタジオ(会社)から作品を連載・出版していくのが、どういうわけか僕が10年近く前から思い描いていた将来像でした。もはや何がきっかけでそう思ったのか覚えてないんですが、自分の道はそっちだなと直感的に思うのです。

今の時代、クリエイターの発信手段が多様化したと話題になってます。それならば成功像自体も、もっともっと多様化していくんじゃないかと僕は思います。

新しい道を作っていくその過程や奮闘みたいなものも、このマガジンの中でリアルタイムで書かれていきますので、漫画だけでなくそんな過程も含めて、誰かの勇気になればと願うばかりです。

最後に


最後にもう一つだけ。クラファンの時にも少し言及しましたが、トランスジェンダーが主人公の作品…の中でもトランス少年が主人公の作品て、世界的に見てもものすごく希少なんです。

現実世界、とくにスポーツ界にはかなり沢山いるのですが、今までフィクションの中では居ないことにされてきた、描かれてこなかった存在でもあります。

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バスケ漫画の主人公がたまたまトランスジェンダーだっただけ、というのがこの作品のスタンスです。

最近はやっと変わってきましたが、今まで物語の中で描かれてきたLGBTQキャラクターって悲しい結末を迎えたり、なんだか壮絶な運命を背負わされたり、感動ポルノを被せられたりするものが多かったように思います。伝えたいことがあるからこそそう描かれた作品も沢山あるので、それが悪いとは決して言いませんが、もっと普通の登場人物として描かれても良いのではないかと僕は当事者として思ってます。

そういう意味でもこの漫画は新しい道を切り拓いていく、絶対に続けていきたい作品なのです。ただのバスケ漫画ではない文脈があり、色々な可能性を持っています。

ジェンダー関連の話題に興味のある方は、ぜひ↓の作品を観てみてください。トランスジェンダーの人物が、今までメディアやフィクションの中でどう描かれ、侮辱されてきたか…という話や、近年の変化がよくわかるドキュメンタリーになってます(日本語字幕あります)。

▶︎トランスジェンダーとハリウッド:過去、現在、そして(Netflix)


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そんな感じです。手短に済ませるつもりが、思ったよりもずっと長くなってしまいました(言わなきゃ伝わらないんだもん)。お付き合いいただきありがとうございます。

マガジンをやる理由をまとめると…
・連載をちゃんと続けていきたいから
・自分のやっていることに責任と自信を持ちたい
・noteを本拠地にしていきたい
・トランス少年及びLGBTQ主人公の作品は貴重。その糸を切らせたくない


ひとつでは収まらない理由がいっぱいあるんだからな!というのだけ伝われば幸いです。

月500円が高いのか、安いのかはそれぞれの感覚やご事情によるかと思いますが、今後もBREAK THE BORDERが読みたいのだ〜という方はぜひぜひよろしくお願いします。僕と作品が元気になりますし、やれることが増えます🌻

ではまた次の記事で!

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*2021/9/30マガジン停止予定* バスケ漫画「BREAK THE BORDER」の最新話先行公開のほか、漫画やイラストを作りながら考…

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