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『横山 睦の楽しくない話 vol.1』③

「文学フリマに参加して-書くこと-」

前回、文学フリマ京都の申し込みが済んだところまで書きました。

順調に一歩ずつ前に進んでいます。
次に、どういう内容の小説を文学フリマに持っていこうかと考えました。
新しく書こうか、それとも今まで書いた小説を手直しして出そうか…。
正直めちゃくちゃ悩みました。
だって、自信作は文学新人賞に出したいから。
(ほとんどの文学新人賞は、同人誌やネット上で発表した作品は選考から除外されるからです)

だからと言って、
自信がない、手抜きみたいな小説を持っていきたくない!
そう思ったからすごく悩みました。
どうでもいいと思っていたら、そもそも悩んでいなかったと思います。

ボクは箇条書きにしてみました。
・読みやすい話にする
・「面白そう」と思ってもらえる話にする
・名刺代わりの話にする


これに全て当てはまるネタ、卒業文集を設定にして書いた話をボクは持っていくことにしました。


1つずつ詳しく説明していきます。
まず、読みやすい話にしようと思ったのはボクが初参加だからです。

例えば、メタファーやオマージュ、いろんな要素をぶち込んだガチの小説を書いて、文学フリマに持って行ったとしても、何を書いているかわからない無名で初参加の人の作品を買いたいと思わないと、ボクは思ったからです。
少なくとも、ボクがお客さん(一般参加者)だったとしたら、よほどのことがない限り買わないです。お金も節約したいし…。

だからボクは、ガチな本(便宜上そう言っています。語彙力がなくてすみません)は初参加の時ではなく、2回目以降に出そうと考えました。
「こういう本もありますよー」という感じで。

えっと、あくまでもボクはこう思っていましたというのを書いています。
絶対にこうした方がいいよっていうアドバイスではありません。
だって、文学フリマのホームページにもこう書かれてあります。


文学フリマでの〈文学〉
「自分が〈文学〉と信じるもの」が文学フリマでの〈文学〉の定義です。
既成の文壇や文芸誌の枠にとらわれず〈文学〉を発表でき、作り手や読者が直接コミュニケートできる「場」を提供するため、プロ・アマなどの垣根も取り払って、すべての人が〈文学〉の担い手となれるイベントとして構想されました。


だから、「自分が文学と信じるもの」でこれを出したい! という明確なものがあれば、文学フリマに出すことをおすすめします!


2つ目の、「面白そう」と思ってもらえる話にするというのは、文学フリマが即売会だからです。

それぞれのブースの前に導線(お客さんの通路)があり、興味を示してくれたお客さんが自分のブースに来てくれます。立ち止まってくれます。
『興味を示してくれる』行為の中には様々な理由があると思います。ここでは、小説の内容の視点から話をします。
(別の視点からについては、次回以降に書きます)

統計のデータを取ったわけではなくて、完全にボクの感覚ですが、暗いだけの話や悲しいだけの話ではなく、面白そうな話が手に取ってくれやすいと思うからです。
たとえ暗い話でも、「話のベースは暗そうだけど、何か面白そう」だったり、「悲しい感じが漂っているけれど面白そう」と、『面白そう』というのが重要だとボクは思っています。

細かいニュアンスの違いですが、『面白い』ではないです。
だってこの段階では、まだお客さんは小説の内容を全部読んでいないから。
試し読みや、作者と内容についての会話をすることによって、『面白そう』と思ってもらって、買ってもらえればいいので。
そして、読んでもらった感想として『面白かったです』と言ってもらえれば最高ですよね!


ここで、ボクが文学フリマ京都に参加して実際に体験した話を。
「試し読みをしてもいいですか?」
お客さんがボクのブースに、ふらっと来てくれたんです。
「はい、どうぞ」
ボクは試し読みの本をお客さんに渡して、様子をうかがっていました。
パラパラっとページをめくって試し読みをしているお客さんの邪魔にならないように、それでいて興味を失って試し読みの本を机に戻さないタイミングで、ボクはお客さんに声を掛けました。
「今回、卒業文集という設定で書いてみました。クラスの36人、言ってみれば36個分のショートショートです。でも、全部読むとそれで1つの話になっている小説です」
「面白そうですね! じゃあ、これ1つください」
「ありがとうございます!」

実際に、このお客さんは買ってくれました。
営業の実技コンテストの模範解答かよ! っていうくらい完璧な流れで本当に買ってくれました。
何が言いたいかというと、短い時間で、少ない情報量の中でも「面白そう」と思ってもらえる話かどうか、それが重要だとボクは思うからです。


3つ目の、名刺代わりの話にするというのは、そのままの意味でボクはこういう感じの小説を書いていますよと示すことが出来るからです。

ボクは、ジャンルを問わずに小説を書きます。
文体もその小説に合わせて変えたりします。(得意な文体はあるけれど)
でも、横山 睦という作家の普遍的なものはあります。

例えば、このAの場合と、

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このBの場合、

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内容は一緒なんですが、全然違います。
ボクはBを書く人です。

例文だとわかりづらいかもしれませんが…。
ボクは、文字数や行数のフォーマットに合わせて書く人です。
この場合、Bのフォーマットがあり、それに合わせて内容を書きました。
だから、Aのフォーマットで書けと言われた場合は、それに合わせて内容を少し変えます。単語のチョイスだったり、言い回しを変えたりします。

ボクがAのフォーマットで書いたCの場合

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フォーマットが同じAとCの場合を比べると、一目瞭然だと思います。
ここで誤解してほしくないのは、どちらが良いとか悪いという話をしたいのではありません。

ボクは、細かいところまでこだわる変態ってことが言いたいだけ!(笑)
本によってジャンルが違ったとしても、その作家の普遍的なものは何も変わらないとボクはそう思っています。

ちなみに、このnoteも工夫しています。ボクはiPhoneですが、スマホで見た場合とパソコンから見た場合、どちらでも見やすく見えるように書いてあります。変態なんで!

あと余談ですが、噂に聞いたところによると作家の京極夏彦さんは雑誌掲載時のフォーマット、単行本化のフォーマットなど、フォーマットが変わると既存の小説を書き直すらしいです。まさに、ド変態ですね!(笑)


えっと、話を元に戻しますと、
普段こういう感じで、こんなところにこだわりを持っている作家だよということがわかる話が良いかなぁと思いました。

書くことについては、これぐらいですかね。
何か書き忘れたことがあるような気もします…。
でも、あんまり書くと企業秘密な部分もあるので。



次回のvol.1④は、-作ること- についてです。
それでは、また!


P.S.文学フリマ京都でボクが書いた『ほんのしるし -卒業文集- 』から、
目次と、1人目、5人目をどうぞ。

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ボクの書いた本を読みたいと言ってくれる人がいて、うれしくて。
通販や電子書籍など、いろいろ考えて悩んでいる今日このごろ。

なるべくこれからもnoteは無料で公開していきたいです。けど、一部の記事だけは有料にしてあります。すみません…。もしよろしければサポートをお願いします。