学振DCに3回不採用通告された件について
こんにちわ、いまいです。
博士論文発表会から約1年が経過しました。
大学院時代と変わらずに毎日実験し、論文を読み、アニメを見て、自炊する生活であります。
違いとしては、バイトをする必要がなくなったので土日がまるまる自由であり、大変QOLが高い生活を送っております。
日本学術振興会の特別研究員(DC1・DC2)に関してTwitterで話題になっていることを目にしました。毎年5月が提出期限なためそろそろ準備する時期ですね。
Twitterで回ってきたアンケートに答えたらなんか少し反響ありました。
学振DCは月20万円+研究費年間100万円を支給していただける制度です。採択の有無は、博士課程での研究活動だけでなく精神的安定などの健康面を左右することになると思います。
僕は薬剤師免許を使って働くことができたため生活費的には問題なかったですが、平日実験&土日バイトは非常にハードな生活でした。
現在は海外特別研究員として資金の援助していただいていますが、大学院の際はDCに3回申請して全部落ちたのでぶっちゃけ学振とは縁がありませんでした。
せっかくの機会なので、自分の申請時の業績やその結果、今思うことに関しての記録に残しておこうと思います。
研究室・テーマ
教授から許可を得ることができたので以下にと応じ所属していたラボについて書きます。
僕は岐阜県の公立単科大学である岐阜薬科大学の薬効解析学研究室に在籍していました。
眼(加齢黄斑変性・緑内障)、脳(認知症・脳卒中・精神疾患)、脊髄(脊髄性筋萎縮症)などの中枢神経系疾患を対象に研究しており、研究室には学部生・院生合わせて毎年30~40人程度が在籍しております。
学部生・修士・博士問わずに学生が筆頭著者として論文を公表することができ、年間30報ほど研究論文を公表していることから、非常に研究に力を入れている研究室だと思います。
博士課程の学生も毎年10人程度が在籍し、これまで多くの人がDC1/2や長井記念薬学研究奨励を獲得しておりました。(僕はどっちも取れなかったけどね!)
申請に関しても過去の先輩の申請書を参考にすることができ、教授・准教授・講師の先生方によるチェック体制も整っていると思います。(僕はDC取れなかったけどね!!!)
要は、努力次第で業績も積め、参考資料も豊富にあるということです。
僕はこの研究室で【脳卒中の病態メカニズムと新規治療薬の探索】というテーマのもと研究活動を行い、DC1・DC2・海外学振に申請を行いました。
DC1 (平成29年年度)
【申請区分】
審査領域:医歯薬学
分科:薬学
細目:生物系薬学
専門分野:脳神経化学
【業績】
論文 筆頭著者1報(IF:5)、共著2報(IF:5.8、3.3)
学会 2回 (口頭1回、ポスター1回)
受賞 優秀発表賞1回
【結果】
不採用B (不採用者の上位20%~50%に位置する)
① 将来性 3.6、② 実績 3.8、③ 計画 3.2、④ 総合評価3.4
採用状況
医歯薬 335人中70人が採択 20.9%
全体採択率 20.7%
ぶっちゃけ筆頭著者で1報持ってるから少なくとも面接にはひっかかると思ってました (笑)。浅はかで甘い考えでした。
学部生で行っていた研究結果を纏めた論文が2月にアクセプトされ、若干やり切った感があり、今後の検討を詰め切れてなかったことが敗因だと思います。(調子乗ってました)
その証拠に研究計画の点数が非常に低かったです。
タイトルも漠然としており、何が言いたいか簡潔には伝わらなかったかもしれません。
DC1はまぁ優秀な奴がとるし仕方ない、という風に自分を誤魔化しました。
DC2 (1回目)
【申請区分】
審査領域:医歯薬学
分科:薬学
細目:生物系薬学
専門分野:薬学
【業績】
論文 筆頭著者3報(IF:5、1.8、1.1)、共著3報(IF:5.8、3.3、3.2)
学会 3回 (シンポジウム1回、口頭1回、ポスター1回)
受賞 優秀発表賞1回
【結果】
不採用A (不採用者の上位20%に位置する)
① 将来性 4、② 実績 4.83、③ 計画 3.33、④ 総合評価3.3
採用状況
医歯薬 526人中108人が採択 20.5%
全体採択率 20.3%
業績部分は非常に高評価でしたが、計画性が足を引っ張り、まさかの総合評価は前年よりも0.1ポイント低い結果に。(どうゆう計算で総合評価決めてるだ???)
DC1からDC2になると人数が一気に増えるからまぁ仕方ないよね、的に考えました。
提出時期付近でややあって病んでたので、前年とほぼ同じ書類を提出したのが敗因だと思います。先生方のチェックもそこそこで提出してしまいました。
ちなみにこの結果を知ったとき、トイレで泣きました(笑)
DC2 (2回目)
【申請区分】
書面合議・面接審査区分:医歯薬学
書面審査区分:腫瘍学、ブレインサイエンスおよびその関連分野
小区分名:病態神経化学関連
専門分野:薬学
【業績】
論文 筆頭著者3報(IF:5、1.8、1.1)、共著4報(IF:5.8、4.0、3.3、3.2)
学会 4回 (シンポジウム1回、口頭2回、ポスター1回)
受賞 優秀発表賞1回、学会奨励賞1回
【結果】
不採用C (不採用者の上位50%以下に位置する)
① 資質 3、② 計画 2.83、③ 遂行能力 3、④ 総合評価2.83
採用状況
医歯薬 643人中126人が採択 19.6%
全体採択率 19.8%
過去最低の評価じゃねぇか!!
この年は少し申請書の内容が変わりました。出す分野をどうするかいろいろ悩んだ結果、『ブレインサイエンス=脳科学だし、脳卒中もいけんじゃね??』っという考えでブレインサイエンスに出しました。
完全に分野違いでした。神経ネットワークとか高次機能とかやってないし(笑)。敗因は確実にそこです、普通に薬学系に出しとけば結果は違ったかもしれません。(負け惜しみです)
この年は非常にしっかりと研究計画を練り、先生方にも度々チェックしてもらいました。
やるだけやって過去最低の結果だったので、感情の変化はあまりなく、『あ、そう...』っという乾いた言葉が漏れました。
まとめ
このようにDCには3回申請しましたが、箸にも棒にも掛からぬ結果となり、見事に不採用評価ABCをコンプリートできました(笑)
以下に、学振申請を振り返って思うことやアドバイスとして耳にしたことを列挙します。
・申請分野をしっかりと見定める・指示された通りに書く、書き方にオリジナリティは出さない
→図表は必ず含める、分かりやすく書く、何をどこまで明らかにするかなどちゃんと書く
・白黒でもわかる図表にする?
→審査員によってはカラーではわざわざ見ないことも多いとかなんとか
・自分にしかできない、他の研究者に対するアドバンテージを何とかひねり出す
→独創性と自分の研究の立ち位置はアピールできないとやばいです
・漠然としたタイトルよりも検討や明らかにすることがわかりやすいタイトルにする
→○○に関する検討よりも因子の名前を入れたりしたほうがいいかもです
・年次計画表は文字+図で示す・要所要所の言葉をつなげるだけで実験内容や計画をざっくりわかるようにする
→知人曰く、審査員は多くの申請書を見るため一枚あたりにかける時間は少ない。5~10分くらいで興味をひかなければやばい
・指導教員、先輩後輩、他分野の研究者に読んでもらい意見をもらう
→独りよがりの申請書にならないようにすることが大事
・準備期間はしっかり設ける
→チェックしてもらう時間を含め、少なくとも2カ月程度
・一貫性のある業績を稼ぐ
→雑多な3報よりも関連性のある2報
*上記は個人的な見解であり、DCに採用されなかった敗者の戯言です。
色々書きましたが、業績0で採択された人も同期にいます(旧帝大のラボ所属)。書類審査は学歴フィルターが働いているという説もあります(あくまで説です)。
審査基準がそこまで明確でないため、対応する審査員が門外漢でない+自分の専門分野と敵対しない+好意的である、という運ゲー要素も強いかもしれません(個人的な負け惜しみです)。
以下のような言葉も耳にしました。
『審査員が家族と喧嘩した日や会議で疲れており非常に機嫌が悪かった場合、または普段から快く思っていない娘/息子の交際相手が君と同じ名前だった場合などは、もしかすると君の申請書はちゃんと読まれないかもしれない。何故なら審査員も感情を持つ人間であるからだ』
審査される側としては上記のように機嫌で左右されるのはたまったもんじゃないですが、審査員が感情を持った人間である以上はこういった可能性も捨てきれないですね。
そのため、審査員の側に立って自身の申請書を見直し簡潔かつアトラクティブに作成することは非常に重要だと思います。
最後に、留学の際に申請した海外学振を含む助成金に関しては以下のnoteに記載してあります。
では!
(^▽^)ノシ
追伸
最近はエクソソームがキテる!
組織再生・病態悪化・多臓器間との相互作用と多岐にわたるため非常に面白い。
研究生活の糧にさせていただきます。