本気で遊ぶ
タモリさんの
「真剣にやれよ!仕事じゃねぇんだぞ!」
という言葉が割と好きです。
「そうだよなぁ」と改めて実感したのは、BAR BOSSA 林さんに誘っていただき、こちらの同人誌に参加させていただいたからでした。
執筆陣には林さんをはじめ、普段からnoteで有料記事を書いている方、仕事としてnote 以外で記事を書いていらっしゃる方、創作活動をされている方も少なくありません。いわばプロとして創っている人達です。
そんな21人の様々な角度から切り取った「東京」が、今回の同人誌には納められていて、クスリと笑ったり、キュッと切なくなったり、21通りの東京の表情が楽しい。でも、きっと皆さん、これを「仕事」としては書いていないと思うんですよね。だって、仕事で書いたほうが儲かるもの(ボソッ)
(まちがってたらゴメンナサイ!)
だからといって手を抜いていない。誰も。本業と同じか、それ以上に気合いが入っている。言ってれば「本気の遊び」なのではないでしょうか。
「遊び」と「仕事」のちがいって
本気で遊んでみて分かったのは、遊びと仕事の決定的な違いは「自由」だということです。
今回の同人誌の唯一のルールは、テーマが「東京嫌い」ということだけ。役に立つことを書いてもいいし、何の役にも立たなくていい。笑わせてもいいし、泣かせてもいい。
そんな「もの作り」、なかなか仕事ではできません。
「お笑い番組」では笑わせねばならないし、「情熱大陸」では感動させねばならない。ニュース番組の情報は新しくないといけないし、料理番組ではちゃんとカレーができあがらなきゃダメ。
おいしい寿司を期待してきたお客さんには、どんなに自信があってもカレーは出さないのと同じ。それをやっていいのは、お寿司に満足して仲良くなったあとです。それはもう、遊びかもしれません。
でも、この「自由」というやつが難しい。
「正解」が分からないから繰り返し書き直し、推敲する。
それは真っ白な茫漠とした砂漠の中で、迷子になるような感覚でした。
すり切れるくらい書き直して分かったこと
ふだん僕はテレビ番組を作っていますが、放送前には何度も繰り返し見返します。全編を通して見て、作り直して、もう一度見て・・・それでも、その作り直しのプロセスはせいぜい5,6回です。
でも、今回の記事はたぶん30回は書き直しました。
たぶん仕事ではここまでできない。「遊び」だからこそだろうな、と思います。
朝起きて読んでみたり、酒が入ったふわふわした頭で読んでみたり。カルボナーラを食べながらや、コーヒーを淹れながら。スマホで読んでみたり、パソコンで読んでみたり。
書けば書くほど、迷子になっていく。果たして良くなっているのか、ひょっとしたら、第一稿の方がよかったのではないか。そんな不安が募る。
修正の多い日には段落をごそっと落としてみたり、少ない日は「を」を「が」に直してみたり。投稿の直前にも、5文字くらい削りました。
でも、そのプロセスが楽しくて、どこか懐かしい。
幼い頃、ひとりブツブツ言いながら LEGO で宇宙船を作り台所を暗黒星雲と想定し、母親を悪の帝王に見立てていた、あの日のような。
そして、本気で遊び、限界まで推敲を重ねてみて分かったことがあります。
「あぁ、今の自分の力量って、このあたりが天井だな」と。
いまの私が100万回書き直しても、同じ東京をテーマにした江國香織さんの『東京タワー』や、吉田修一さんの『東京湾景』には届かないことを確信したのです(あたりまえ)
同様に、一緒に書いている皆さんの作品が、いかに練られ、磨きに磨いた作品であるかということもよく分かるようになりました。
書くこと、それは読むを磨くことでもあるのかもしれません。
そんな小さな発見ができたのも、本気で遊んだからにちがいありません。企画してくださったふみぐら社さん、Yuki さん、林さん。ありがとうございました。
あ、そんなかんじで書いた文章もコチラに置いておきます。