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ゆめうつつで生きていく

※タイトルは米津玄師「ゆめうつつ」より引用

今思うと、子どもの頃から思春期にかけて、おっさんを感じさせる本や音楽が好きだった。日本のおっさん特有の哀愁っていうか、クタクタのスーツ着て家族のためにエンヤコラみたいな、そんなのになぜか共感を覚える10代だった。

我が家はサラリーマン家庭ではないので、もしかしたら未知なる存在への憧れがあったのかもしれない。

小学生のとき「ビタミンF」「ナイフ」「エイジ」(順不同)に出会い、重松清にハマり。
まわりがモー娘。で盛り上がる中、兄の影響でMr.Childrenにハマり。親同伴の大人数のカラオケで「マシンガンをぶっ放せ」を歌い、親たちを固まらせたり。ジャングルジムのてっぺんで「名もなき詩」のちょっと早口になるとこ完璧に歌えることがイケてると思ってた小学生だった。

中学生の時は武士が好きだったし、大学生になったら浅田次郎にハマり任侠の世界も好きになったり。
見た目は自分でいうのもなんだけれどわりと女性的ではあるとは思うのだけど、なぜか精神性だけ「おっさんの哀愁」「武士道」ついでにいうと「ヒリヒリした思春期の少年」「男の友情」に共感するたちだったなぁ、と。(なのでヨネスダにも灰色と青にも弱いんですぅ)

(上記の方々をおっさんと言っているわけではありません、描いてるテーマのことです、念の為。)


前置きはこれくらいにして。
急になんでこんなことを思い出したかというと、赤とか黄色だとか色づきはじめてきた葉っぱたちを見上げながら公園を歩いていて。
米津玄師の「ゆめうつつ」を聴いて、「あぁ、これは、大人を励ます曲だ」とふと思ったのです。

※「ゆめうつつ」は「news zero」のテーマ曲として書き下ろされた曲で、2021年6月16日に11枚目シングルとして「Pale Blue」のカップリングとして2曲目に収録されている曲です。

お恥ずかしながら米津玄師沼に入ったのが今年の5月、なのでまだ半年くらいしか入っていないのですが、ちょうど仕事を辞めたタイミングでもあり、誇張なしに朝から晩までずっと彼の音楽を聴いていて。

10年前の曲を聴こうが全く色褪せない斬新さ、美しさがあるし、100曲のランキングをつけることができないくらい名曲しかないことに、なんて人と出会ってしまったんだ、素晴らしい宝物を手にしてしまった、という気持ちで毎日過ごさせていただいています。

ただその一方で、「あぁこの曲は、自分がもっと若い時に聴きたかった、そしたら世の中への見方が変わっていたのに」とか、惜しく思う気持ちもあって。

「人生5回目ですか?あ、1人ブラッシュアップライフ中でしたか?すみません」みたいな、魂の位がレベチな米津さんですけど、一応現世では同世代なんですね。むしろちょい年下なんですね。

今30代半ばの自分からして、20代前半の時の米津さんの曲は、(本当に✖️1億くらい素晴らしいことは大前提として)10代を励ます側面もあるなと思う歌もあって。

だけどこの「ゆめうつつ」は、「これは大人への歌!!わたしへの歌!ありがとう!!けんし!!!!(呼び捨て照れる❤️)」と思えた曲なんです。

30代にさしかかる米津玄師様の柔和な、セクシーボイスからはじまり、母音aの繰り返しによって引き立つ、成熟した包容力のある伸びやかなサビ。音楽の知識が無さすぎてよくわからんけど、米津様のお声を取り囲むとにかく美しいミュージック。笑

美!美!美!美!美!!!!!!!!!!

あぁ気を抜くと彼の美しさについて語ってしまうクセが。。

で、歌詞です。聴いたことない方はとりあえず一回歌詞をググって読んでみてください。
曲聴いたあとだと米津様の美しい声を思い出して涙目で歌詞がみえなくなっちゃうからさ。。

特に大人へのメッセージだなぁと思ったのは

声が出せるような喜びが君に宿り続けますように
革命家の野次も届きはしない
夜の淵で踊りましょう

君が望むならその歌は誰かの夢に繋がるだろう
あんな人には解らない
物語の裏 隠れたままそれじゃ
また明日

米津玄師「ゆめうつつ」より引用


からの

疲れたら言ってよ
話をしよう

米津玄師「ゆめうつつ」より引用


😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭

けんし、、、ぃ😭(2回目。照れる。)

けんちゃん(!)が横にいてくれる感覚

けんちゃんは、大人たちに隙間を用意してくれるんですよね。
白でも黒でも無い隙間。

全体を包みこむ優しさ、の中で
「あんな人には解らない」と守ってくれる騎士のような優しさ。なんだろうな、「いいよ、あんな奴の言うことなんてほっときなよ、おやすみ。」とふわっと毛布をかけてくれる優しさ。

え、さらに話聞いてくれるんすか?!?!!😭出血大サービスすぎる。

なんか、「バチバチ一緒に闘ってこうぜ!!」という戦士モードでも、「まぁ世の中こんなもんだぜ」という諦めモードでもなく、
「ええやんええやん、君は君の大事なものを守ればええやん」という関西弁チックなスタンスを、めちゃくちゃ雅で美しい日本語に直した感じというか。(わかります?!)

ちなみにROCKIN'OJAPAN 2021年8月号でのインタビューでご本人は「ゆめうつつ」について

「正しくあろうとすればするほど、いろんなものを取りこぼしていく。多様性を尊重するあまり、翻って多様性を否定していく。そういう流れに、やっぱりどうしても気味の悪さを感じて。(中略)うつつが大事なのはそりゃあたりまえの話だけれども、その反対側にある夢というものをもっと大事にしたほうがいいんじゃないかと」

ROCKIN'OJAPAN 2021年8月号 
発行 株式会社ロッキング・オンより引用

とのことなのです。インタビュアーの方もおっしゃってますが、報道番組からオファーをうけて、「うつつではなく夢の方を書く」(上記インタビュー記事より)っていうところが、米津さんらしさで、素敵なところですね。すき。


で、前半のおっさんのくだりはなんだったのか、ってことなんだけど。
米津さんの歌って性別がないなっていう、ただそれだけが言いたかったことです。笑

別に女性的な歌い方ではなくむしろ低音爆イケセクシーボイスだけど(「恥ずかしくってしょうがねぇ」って曲聴いてみてください、子宮もぎとられます)
男って感じがしない。

時代的な背景もあるかなーとは思うけど、本人も一人称にかなり気を遣ってらっしゃるみたいなので、そういうところがあるのかなぁ、と思いつつ。

小学生の時に想い描いてたおっさんならぬおばさんの年齢になったわけだけども、なんか意外にそんな哀愁漂う感じもなく、むしろキャッキャキャッキャやらせていただいてますけど。

先ほど述べましたけど、ゆめうつつって母音aが多くて、aがあると、どうしても首が上を向いたほうが歌いやすくて。だからなんかゆめうつつを聴くと、空を見上げたくなるんだよねぇ。
そんなとこも考えてくれてるのかなぁ、とか。

兎にも角にも、おっさんくささが微塵もない、成熟した、美しい、才能を持った同世代(と勝手に呼ばしていただく)の作る作品たちがこれから先もすごく楽しみだし、一緒に歳をとっていきたいな、と思わされたわけです。

今までは年上の音楽とか作家とか、そういう影響を受けていたけど、同世代(とよばせて)と歩んでいけるのがとても嬉しいことだ。

まとまりなくなっちゃったけど、とにかく米津玄師さんと同じ時代に生きている幸運に感謝したい。

PS. 新しい曲も聴きたいなぁ〜なんて。。米津さん。


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