菅田将暉沼の入り口について②
我が家が車を所有していた時期がある。東京から郊外に引っ越した一年間。
車といえばBGMである。
そのとき何気なく流れた「さよならエレジー」
夫「これ誰の歌だっけ?」
私「菅田将暉だよ。」
夫「いい声してるな」
私「うん、まぁ、うまいっていうか、俳優だけあって、なんか味がある声だよね。(あくまでまだ認めないぞスタンス)」
そこから週末ドライブに行くときの私たちのBGMリストには菅田将暉が加わった。
そんなこんなで映画や音楽でジリジリジリジリ私の生活に入り込んできた菅田将暉。
そして決定的な入り口があった。
2019年の年末、珍しく息子が早く寝て、夫と2人で映画をみれる時間がとれた。
選んだ映画は「あゝ、荒野」
寺山修司原作、昭和の香りがぷんぷんする、死語かもしれないけど非常にエモい映画である。
(もともと昭和の香りがするものが大好きなのです。山口小夜子とか。ネオンとか。モノクロとか。)
今思うともうこのときから夫は菅田将暉のことが好きだった。(そしてきっと私も)
夫は出演俳優で映画を選ぶので、夫が認めた俳優が出ていないと2人で観ようとはならない。そして私たちはとても男性の趣味が合う。
前編後編あって、合計なんと5時間超え。
確かそれを二夜でみた。とまらなかった。
この役のために10キロ増量したという菅田将暉。見事な身体。まさにボクサーの肉体。
今をときめく若手俳優がここまでやっちゃっていいの?という体当たりな演技。
孤独とヒリヒリとしたエネルギーを爆発させている、まさに新次(菅田将暉演じる主役の名前)そのもの。
さすがカメレオン俳優。コウちゃんのときの線の細さはそこにはなく、ボクサーとして、己の肉体で孤独や社会や理不尽や、いろんなものと闘う、そんな新次を見事に演じてた。
菅田将暉は昭和が似合う。(追記 映画は2021年を舞台にしているらしい。)
(この映画は主題歌であるBRAHMANの「今夜」も素晴らしい。この歌ほどあの映画の雰囲気に合うものはないと思う。あとポスターも素晴らしい。森山大道が撮影している。)
前編を観終わる頃にはもう認めるしかなくなっていた。
「ねぇ、菅田将暉ってさ、めちゃくちゃよくない?」
そしてその年の大晦日、京都で迎えた年越し。
旅行先で胃腸風邪で倒れる息子と夫。
最悪な気持ちの中でも観た紅白歌合戦。
もちろんお目当ては菅田将暉。
「まちがいさがし」を精一杯歌う彼を見届けてから、1人床についたのであった。(このあと夜泣き地獄に見舞われたのも今はいい思い出)
ここから3年間、幸せな沼にズブズブと、高速スピードでハマっていったのである。
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