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同志ではないが仲間ではあることがわかりあえると、関係性をつなぎなおせる

人と人との関係性がうまくいっていない間に入ることが仕事柄よくあります。

その時は両方の感情と発言内容を受けとめることをします。

NPOは市民活動や地域福祉、制度からこぼれ落ちた人たちの支援など多様な背景や役割があり価値観が独特なので、一般的な理解が難しいことも多いです。

この独特の価値観があるからこそ、困難を抱える人たちを救えるプラスの面と、本人たちが気づかないうちにハラスメントが起きたりといったマイナスの面の表裏があるものです。

関係性がうまくいっていないのは、この裏の面が出ているのです。

関係性を回復するには、双方に自分とは異なる多様な価値観を受けとめる精神的な余裕が必要です。

そして、その余裕は次に挙げる3段階で生まれます。①自分の価値観が受け入れられていることが体感できることで、②理解に必要な情報がうけとめられるようになり、③お互いの思いが循環する。

多くのうまくいっていない関係性では、②のお互いが理解に必要な情報をどんどん相手に送っているのですが、①を飛ばしているので、お互いの心にそれらが響かずスルーされていきます。

だからこそ、言い合いの中で、『何度も言っているのにわかっていないし、わかろうともしない』と相手を評するセリフが出てくるのです。

第三者としてみていると、確かにそれぞれがそれぞれの立場を表す情報提供はしているのに、双方がそれらをスルーしていることがわかることが多いです。

周りの人たちはそれを『〇〇と△△は仲が悪いから』と片付けてしまったり、『私は〇〇側だわ』とか、『〇〇が言っていることは意味不明だよね』など言ったりします。

間に入る時は、片方ずつお話を聞くのですが、感情的なものをまず受けとめることが大切です。

『打ち合わせの時の、あの態度は威圧感を感じませんでしたか?』とか、『あの打ち合わせで、何か言いたいことを言わずに我慢していたように見えたのですが、そんなことないですか?』と促す問いかけをすることもあります。

その上で、相手が伝えた情報をまとめたものを改めて伝えます。『先日の打ち合わせでは、相手の団体は、××について説明し、あなたの団体に◻︎◻︎をしてもらうことを依頼していましたが、それについてどう思われていますか?』と。

そうすると『え?そんなこと言ってましたっけ?』とか『そんなことやりませんよ』、『やるしかないんですよね』など反応を聞くことで、情報をどう捉えているのかを確認します。

それを終えたら、次はそれぞれの価値観を持つに至った思いを聞き取っていきます。すると『残された時間は短いので早くやり遂げないといけない』とか『自分がいつまでやれるかわからないので多くの人に関わってもらってオーナーシップをもってらいたい』などの思いが出てきます。

人は相容れない価値観は受け入れがたいですが、それに至った思いには耳をかたむけるものです。

このように、お互いの感情的な捉え方や、情報の理解度がわかった上で、次に私なりに聞き取った相手の思いを、受け手の感情が動かない程度に丸めて伝えていきます。

その上で、『こうした思いが相手にはあって前回の打ち合わせでああした発言につながっているのではないでしょうか』と伝えるのです。

そうすると、『あの人はやる気がない』『あんなやり方は間違っている』『誠意がない』など断じていた双方が、相手の立ち位置を認識することで『同志ではないが仲間ではある』とわかりあっていきます。

それによって、お互いの情報がお互いの心に届いて、受け入れられないことがあっても交渉することができるようになります。

それがお互いの関係性をつくりなおすスタート地点になることが多いです。

団体間、個人間の関係性を修復したいと思われている方は参考にしてみてください。

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