180日後に去る私 36

次の新しい人が入ってくるまで、ひと月半後くらいの期間があったと思います。
この時間を使って、私達はマニュアルのほとんどを完成させていきました。

あとは工場長に渡して細かい部分を添削してもらうだけです。
しかし…結果から先に言えば何年経っても、マニュアルについてOKの返事をもらえませんでした。

これは私やHさんの作り方が悪いとかそういうのではなく、ただ単に
「仕事を振っといて、答えを出さない」
という事でした。

我々が2人とも現場を相方に任せて、ちょこちょこと抜けたり残業したりして、コツコツと完成させたものです。
エクセルやワードを使い、全てのレシピや作業の手順、必要な資材、完了までの目安時間まで、荒削りですが、それを見れば仕事の要点がわかるように作った代物です。

工場長が
「マニュアルを作ってほしい」
と言うから、私とHさんの2人で作り上げたものです。それぞれの持ち場を誰にやらせてもできるよう、まとめました。

そもそも現場がマニュアル作るってどういうこと?
マニュアルなんて普通は管理者が作るもんやないの?

そんな事を2人でブツブツ言いながらも、工場長からの指示の中で1番大きな仕事だったので…ああでもないこうでもないと、懸命に取り組みました。
延べ何時間ほどかかったでしょうか…? 
感覚ではありますが、100時間はかかってないくらいでしょうか。


もう一度書きましょう、おおよそ100時間です。かなり少なく見て、80時間だとしましょう。
1日8時間労働だとして、他の業務を一切せずに取り組んでも10日かかる仕事です。

仮に私の1日の給料が1万5000円だったとしましょう。
10日で15万円です。Hさんと合わせたら30万円。

どれほどの時間と人件費、やる気が無駄になったのでしょう…ちょっとこれはシャレにならないと思いました。
しかし、これはほんの氷山の一角なのです。
何度も書きますが、私達の会社はこのような無駄な仕事や時間を発生させて、社員を消耗させている事にすら、気がついていないのです。


あの話は一体何やったんや?
というのが毎度毎度なのです。誰もが全く気にしていない、言ったら言いっぱなし。予定を立てて、計画通りに事を進めることができない。


全くもってお遊びです。
これはかなり先になってから、工場長に言いましたが。

「はっきり言って会社ごっこです」

何度も何度も手を変え品を変え、言い続けました。
しかし、当たり前の事ですが…工場長や会社が変わる事はありませんでした。

「じゃあ、俺が変わろう(この会社を出ていこう)」

と思いはじめるのは、もうちょっと先の話です。

会社を去るまで
あと145日

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