180日後に去る私 17

Jさんや工場長にも現場の状況を伝えて、協力を仰げば良かったのですが、2人とも配送や会議で社内に居なかったりが多かったので…現場の事は正直あまり見る余裕がなかったのでしょう。
思い過ごしかもしれませんが、工場長に至ってはあまり現場に興味がないというニュアンスも感じ始めていました。

この時、割と大きめの声を上げてNさんの味方になって安心させてあげるべきだったと後悔しています。
でも変な話、なんか会社に告げ口するみたいで嫌でしたし、仕事の内容が違う私が首を突っ込むのもなあ…
お互い、いい大人なんだしHさんNさん2人の間で着地点を見つけてくださいよ…
という気持ちもありました。

それから何ヶ月か過ぎた頃、私がグズグズしている内に、Nさんは退職の意向を会社に伝えたそうです。
理由についてははっきりとは言わなかったみたいですが、人間関係だったと思います。

ここでまた、弊社の入り組んだ人間関係を書かなければなりませんが…


私達の工場は、2階に事務所があるのですが、横にA社という会社がありました。
簡潔に言うと弊社の協力会社で、力関係で言えば請負会社という方がわかりやすいです。
オフィスも島を区切ってはいますが、同じ部屋ですし、ものすごく近い関係。
いわば兄弟のような、そんな会社だと思ってもらえれば良いと思います。

YさんやJさん、Nさんも元々はその会社の社員でしたし、今働いている工場も昔はA社のものだったようです。
しかし業績の悪化に伴い大人の事情があったんだと思います。右肩上がりで業績を伸ばした弊社が買取り、社長含む数名以外の社員ごとごっそり引き抜いたという…私も又聞きなのでそのような認識です。


そんな背景からA社の社長や営業マンもよく、私達の工場で自分の仕事を行っていました。
私やHさんは新参者なので関わりは薄かったですが、普通に挨拶もしますし雑談もしますし、同じ建物で働く仲間には変わりなかったです。
そしてJさんはいつも自分の仕事が終わると、私達を帰らせ、残業してA社の仕事を手伝っていました。

あまりにも率先してやるので、Jさんに直接なぜそこまで手伝うのか尋ねると

「(A社の)社長あっての、今の僕なんで」

今は別の会社にいるとしても、前の社長への恩を忘れないという気持ちが言葉に込められていました。


会社を去るまで
あと164日

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