180日後に去る私 69
今思えば当時の会社には、まだまだ勢いというか、活気がありました。U課長が指揮を取っていた頃は、工場長も営業マンも私達も希望を持って働いていたのです。
一体どこでおかしくなったのか?
振り返るとやはりこの時、U課長が退職された時からでした。
工場長と2人で話していた時に、退職についての説明がありました。
「ずっと言えんかったんやけど、U課長と〇〇営業所のRさん退職されたんやわ」
理由や経緯を聞いて、さらに工場長は続けました。
「まーRさんはずっと精神的に病んでたみたいやし、しゃーないにしてもUさんの事はキツイですわ…」
「結局僕も最後は会えてなくて。電話かかってきて喋っただけなんよ、これからの事を。まーコロナが落ち着いたら、またメシでも行こうって約束して切ったんやけど」
「もう新しい所決まってるって言ってたから、応援せなアカンし、言葉でエールは送ったけど…ホンマは僕、ずっと兄貴と一緒に仕事したかったですわ。」
「まあ言うてももう、全部しゃーないしUさんおらんでもどうって事ないんですよ会社は。僕らで回していくしかないし、何とでもなる。そこはIさんや皆は心配しなくても僕が何とかするから、約束します」
黙って工場長の話を聞いていました。
付き合いの浅い私よりも、そりゃあ辛いだろうなって思いましたが、相槌と気休めの言葉しかかけられませんでした。
「U課長おらんでも大丈夫、どうにでもなる」
それは完全に強がりですし、この言葉を聞いた時から、ずっとそんな訳がないと思ってました。
どうにでもなるなら、じゃあ今までの課長は何やったんや?という事になります。
平社員ならまだしも、管理職が抜けるなんてなかなか無いですし、経営陣抜いたらトップですよ、U課長は。絶対ヤバいですよそんな会社。
絶対にこれから悪くなっていくだろうという確信から…今は2年くらい経ちましたが、あの時が全てにおいてピークでした。
今はもう、下降の一途を辿る会社になってしまったので。
その後、工場長からU課長に何度か会ったと言う話は聞きましたが、私は2度と会える事もなく、最後の挨拶すら出来ずじまいでした。
それを思うと、今でも寂しさが込み上げてきます。どうか健康で、素敵なUさんでいて下さいと願うばかりです。
会社を去るまで
あと112日