180日後に去る私 3
「結局は社長が決めたから」
この時だけではなく、Tからも他の社員からもしばしばこの言葉を耳にしましたが…その体制自体がもう破綻しているんですよ。
まず、私たちの会社でもあるんです。それに気がつかないといけない。
社長は確かに偉いんでしょうし、上の指示には従わないといけないと思いますけれど…会社ってみんなが働く場所なんですよ。
社長あるいは上司が舵を取り間違えた時、間違えそうな時
「それは違うでしょう、考え直しましょう」
と意見が言えない会社、イエスマンの集まりでは、よっぽど社長が優秀で全ての社員に目が行き届いていなければ無理でしょう。
だから側近が必要で、管理職が必要で、我々一般社員が必要なのではないでしょうか?
お前たちの意見は要らないと言うなら、じゃあ全部1人で社長やってくださいよって事になります。
そして大概イエスマンしか集めない社長というのは優秀ではなく、一般常識も持ち合わせていないばかりか法律すら守れない。
人を上手く使う為のパフォーマンスだけは上手く、言葉と行動に矛盾が見られる。
こんな会社に居ちゃいけない…
と薄々は感じ取っていた私ですが、社長の暴走と社員の迎合ほど最悪な組み合わせはありません。
話をTに戻すと、何故こんなに無能というか辻褄が合わない行動を取るんだろう?
言葉に責任が持てないのだろう?
怒りと同時に、不思議だとずっと思っていました。
曲がりなりにも大学を出て、新卒で入った会社がブラック企業で苦労したと笑い話をしてくれた事がありました。
しばらく耐えたが親の勧めもあってすぐに転職。弊社に入り営業職で4、5年のキャリアを積み、今の部署の管理職に抜擢。
営業時代に、難しい海外の案件に関わらせてもらった事を
「非常に良い経験を積ませてもらった。会社に感謝しているし恩返しをしたい」
と言っていました。
実際に私の面接をしてくれたのも彼だし、2次面接では彼と彼の上司U課長。
このU課長に面接で
「私と同い年で親近感が湧きますね。仮にあなたが入社された場合、上司のTは年下と言う事になりますが…それに抵抗は感じませんか?」
と聞かれたのが印象に残っています。
もちろんありませんと答えましたが、このU課長は部下であるT係長がやり易いようにその質問をしたんだな。優しい人なんだなと感じました。
この予感は間違ってなくて、私が入社してからもU課長とは度々関わりがあったのですが、本当に人間が出来ている人で…いつも朗らかで優しく、下の人間に対しても絶対に偉そうにしなかったです。
T係長はまだ若く、面接で初めて出会った時は28歳くらいだったと思います。
経歴を聞いてもきっと優秀なんだろうし、素晴らしい上司がいるから信用できそうだ。年収も悪くはないし、昇給の幅は大きいとの説明がありました。
ちょっと体力的にはキツイ仕事だけども、私は未来を信じ、入社を決めたのでした。
会社を去るまで
あと178日