「はたらきびとに聞く」黒にんにくの魅力 ~ 青森の製造現場から
青森県発の黒にんにく製品が持つ魅力とその発展を、約1時間のセミナーを通して語り尽くした内容の要約をお届けします。
黒にんにくの特徴と誕生
青森県の黒にんにくは、生のにんにくを高温(約70℃)で2~4週間熟成させて作られます。
一般的な発酵とは異なり、メイラード反応によるもので、微生物を介さないため、長期保存が可能です。
青森県産の「福地ホワイト六片」という特有の品種が用いられ、糖度と大きさが特徴です。食後のにおいも気にならない上、健康に良いとされる成分が多く含まれています。
歴史と拡大
黒にんにくは青森県内で加工用にんにくの価格を引き上げるための取り組みとして、2006年に弘前大学の研究結果が一面で報じられたことをきっかけに知名度が上昇しました。
この研究によれば、黒にんにくエキスが癌抑制効果を持つ可能性があることが示唆され、注目を集めました。
その後、青森県内の7社が共同で黒にんにく製造に乗り出し、異業種からも参入が相次ぎました。
黒にんにく協会の設立と推進活動
2007年に協同組合青森県黒にんにく協会が設立され、翌年には法人化されました。
地域の名産品として「青森の黒にんにく」という地域団体商標を取得し、黒にんにくのブランド化を推進しています。
協会の活動として、毎年9月6日を「黒にんにくの日」とし、黒にんにくサミットを開催しています。
黒にんにくが地域経済に寄与し、地元農家の収益向上にもつながりました。
輸出と国際展開
青森の黒にんにくは現在、アメリカ、フランス、スペインなど25カ国に輸出されており、特にアメリカ市場で成功を収めています。
地元の代表的企業、有限会社柏崎青果は、元々長芋の輸出で培った海外ネットワークを活用し、各国の嗜好に合わせたアプローチを行っています。
例えば、欧米では健康食品よりもソースの材料として重宝されていることから、黒にんにくは幅広い調理に利用されています。
機能性食品としての黒にんにく
黒にんにくは抗酸化物質やギャバを含むことから、血圧低下などの健康効果が期待され、ギャバの効能を機能性表示として取得した日本初の黒にんにく製品となりました。
この表示により、健康を意識する層への販売促進が図られています。
さらに、青森県の産業技術センターが協力して4つの機能性成分をスコア化するシステムを導入し、品質向上に取り組んでいます。
HACCP対応と認証制度の導入
黒にんにく業界では、HACCPの義務化に伴い、品質保証体制の強化が求められています。
2018年には「黒にんにくの安全認証制度」が設立され、定期的な機能性成分の検査や官能検査をクリアした製品に認証マークが発行されています。
黒にんにくの製造技術は各社が独自に開発したものであり、製造工程には一定の品質を維持するための試行錯誤が繰り返されています。
コロナ禍での取り組みと未来
黒にんにくの健康効果が注目される中、コロナ禍では売り上げが約2割増加しました。
また、医療機関に対して黒にんにくを無償提供する活動も行い、地域貢献を果たしました。
今後は更なる機能性表示の取得や、輸出拡大のための戦略が計画されています。
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