科学的・技術的に支えられた食品安全の設計や管理
これまでに、微生物学的な品質保証の責任者や研究者として、
・消費期限の短い和洋生菓子やパン、弁当、調理パン、惣菜
・日持ちの短い生クリームや生餡
・脱酸素材を用いた焼菓子、ガス置換包装のカステラといった長期保存製品
・PETボトル飲料や缶飲料、レトルト商品といった装置産業系の食品
・マヨネーズやドレッシングなどの酸性食品
・打錠品やティーバッグのハーブティーといった乾燥食品
など幅広く関わってきた。
一方で、食品微生物の検出や制御だけではなく、学生の頃には食品関連の化学工学を専攻し、殺菌工学などを得意としている。
食はコミュニケーションツールであり、思いやりそのものだと思うが、決して食中毒などの不幸な出来事を引き起こしてはならない。
だからこそ、食品開発において科学的な設計が求められるのだが、食品産業に長年携わってきて、経験や勘、実績を重んじることが多いと感じる。
ところで、国際的な衛生管理手法HACCPを通して食品事業者の支援をしている中で、管理項目のいくつかについて科学的な説明が足りていないと思うことがある。
例えば、重要管理点CCPとして設定することが多い加熱殺菌工程について、温度や時間の設定根拠を科学的に説明できない方がなんと多いことか。殺菌理論の解説講座を行ってみて関心の高さを痛感している。
その他にも、消費期限や賞味期限といった期限設定についても科学的な根拠に基づいていなことが多い。食品の期限設定は当然ながら命を守るためにも真正面から取り組むべきだ。
そこで、「科学的な期限設定の手法」について解説する講座を来年初めから行うことにした。一見すると難しそうな反応工学のアレニウスの式や予測微生物学モデルなどをなるべく平易に解説しようと思っている。
まだまだ他にも管理項目のいくつかについて、解説するような場を設けないといけないと考えている。