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競馬は人生に大切なことを教えてくれる「チェリーメドゥーサ 2012年/秋華賞」~何かやれば何か残る~

3冠のかかった年の秋華賞や菊花賞は、その歴史的瞬間を見ることができるかどうか?というワクワクは確かにある。だが、本当に個人的な見解だが逆に何となく寂しさを感じてしまうのも正直な気持ち。

馬券的な妙味が少ないということもあるが、競馬場の空気も、実況も各メディアも番組もどうしても視点がその3冠に王手した馬にだけ集まるから「他の全頭だって主役だぞ。なんだかなあ」と感じてしまうのである。

「じゃあ3冠達成ならず!と波乱が起きてほしいか?」と問われると、その瞬間も見たいわけで‥感情が心地いい所に着地できないまま馬券を買い、レースを見ることになるのが常だ。

そんな中で、ジェンティルドンナの勝った秋華賞(2012年)は10年以上経った今でも興奮を忘れず見返すことに出来る3冠レースのひとつだ。今なお

「チェリーメドゥーサね!」

・・の言葉で何度も楽しくなる。

チェリーメドゥーサ。
ジェンティルドンナが3冠に挑んだ年、オークス・秋華賞と参戦した1頭。
チェリーメドゥーサ (Cherry Medusa) | 競走馬データ - netkeiba.com

たしかに世代の中では力のあった馬だが、いかんせん超一線級相手には苦戦していた。2歳のうちに2つ勝って、桜花賞に向けてのトライアルに出るも出走権は取れず。オークス目指したフローラステークスも最下位(18着)。後方のままの最下位。それでも抽選を突破して出走できたオークス、これも後ろ回ってきて15着。勝ったジェンティルドンナから2秒4差。これはもう「勝負付けが済んだ」という言葉では足りないくらい、圧倒的な実力差と思われても仕方のない結果だ。

だから秋華賞の前走、牡馬の古馬達相手の1000万下を勝利、中山の向こう正面でまくって、そのまま押し切るという根性入った勝ち方での1着だったが秋華賞は単勝200倍超えの15番人気だったのも仕方ない。

私自身、予想の段階で彼女について検討した記憶はない。分かりやすく
「ジェンティルドンナを差し切る馬は流石にいないだろうし・・」
「あったとして、ヴィルシーナを捕まえ損ねる。だよなあ」
「やっぱりジェンティルドンナ本命だよなあ」と予想した。
もちろん、その他いくつか波乱の展開を想像してみただろうが、
「⑥チェリーメドゥーサが‥」なんて考えた記憶はない。

だから、あの時も向こう正面でチェリーメドゥーサが一気に前を取りに行った時も「おーいったねえ」と程度の感想だった。

私に限らず「前走勝った展開を信じてそうするしかないか」くらいにしか見てなかったファンは多かったと思う。やっぱり視線は①ヴィルシーナの位置、⑭ジェンティルドンナの位置を見ていた人が大半だ。

チェリーメドゥーサが最後方から外を回って一気のまくり、前に出始めたのは1000mに差し掛かる手前、55秒あたりの地点だ。そして1000mを過ぎたあたりで10馬身ほどは前にいた。目立った動きなのでアナウンサーもチェリーメドゥーサの動向を実況し、いつもなら口にするであろう1000m通過タイムを言わないまま隊列を紹介している。

2012年 秋華賞(GⅠ) | ジェンティルドンナ | JRA公式 - YouTube

ふり返ってみると、この時1000m チェリーメドゥーサの通過タイムは62秒2。

最後の直線、二枚腰であれだけのレースを見せてくれるに十分な下地はここにあったわけだが、あの時はタイムのことなんて気づいてなかった。タイムより、チェリーメドゥーサより「どうせジェンティルドンナが勝つ。負けたとしてヴィルシーナだ」が自分の中で強いから仕方ない。

だから・・「大波乱になる!」
「チェリーメドゥーサすげえ!」
と、自分の馬券全ハズレを確信しながらもワクワクしたのは残り200mも過ぎた地点だ。

そこからの10秒に満たない時間だがあの時間、注目の中心は確かにジェンティルドンナじゃなかった。間違いなく彼女・チェリーメドゥーサが競馬ファンの注目の真ん中にいた。3冠馬から主役を奪った瞬間だ。

結果は5着でゴール。でも、彼女のレースキャリアの中で多くの人の心にその存在を強く印象付けた、多くの人が忘れない5着。あの100mほどのチェリーメドゥーサは破格にかっこいい。

勝てない試合でも、なんかやれば絶対誰か見てくれてる。どうせ無理だから・・なんて気持ちでなんにもしないんじゃなくて、なんかやってみれば、ずっと残る。可能性がある。そんなメッセージを送ってくれた1戦だと思う。

今日は秋華賞。今年はリバティアイランドが三冠達成に挑む。
過去、桜花賞・オークス共に1番人気で1着して、3冠目に進んだ3歳牝馬はメジロラモーヌ(1986年)とアパパネ(2010年)の2頭。どちらもしっかり三冠を達成している。リバティアイランドの三冠達成で間違いなさそうだ。

それでも・・今年何かしてくれる馬がいるかも???と思って予想が楽しめるのは、チェリーメドゥーサのおかげだ。

⑬ラヴェル。8番人気

チェリーメドゥーサほどの人気薄ではないけれど、他の前行くメンバーも人気薄が多い。オークスの時みたいに前行った中でただ1頭粘ってくれたら・・にワクワクを期待したいと思う。

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