バニラ味

学校を休める唯一の方法は
風邪をひくことだ

ベットの中で何度、体温計を摩擦させた事か
まあ、そんな事をしても秒で母にバレる

私は健康的な人間で、一年の中で体調を崩すことは滅多にない
『馬鹿は風邪をひかない』何てよくからかわれてたな
失礼な話だ

…馬鹿なのは認めるが

天井を眺めながら思う
世の中は上手く出来てる

私は学校をサボりたい
でもサボるにしても理由が作れなくて我慢しなければいけない
そこでの楽しみを見つけなければいけない
成長しろということだ

一方私の兄、小さい頃は風邪を引きやすく体調を崩しやすい方だった
でも私と違って、友達も多くて学校が好きな部類の人間だった
きっと家でじっとしているのは、退屈だったに違いない
変わりたかった、当時は羨ましかった

同じ母親から生まれたんだけどな、どうしてこうも真逆なのか
劣等感みたいなのってある
こういう些細なことが積もって、子供の頃は今より口を聞きたくなかった
一緒にいると自分がどれだけ未熟な人間か思い知らされるから

久しぶりに体調を崩してしまったからか、変なこと思い出してしまった

いいな人生楽しそうだな
嫉妬
くだらない嫉妬

行動力の塊だ
色んな事に挑戦して、色んな場所で戦ってた
恐れもなく、色んな出会いに触れて
一日をちゃんと生きようとしていた人だ

私は同じように生きているのかな
羨ましがるだけの、ただの傍観者だ

変わりたいと決意して
勢いで家を出た

ここで一人で戦おうと生きているのも
兄のおかげもあるのかもしれない

まあ、今は天井を眺めることしか力は出ないが

弱ってる時ほど、大切な人が頭に浮かぶものだ

とてつもない底に沈んだ時、連絡をする
いつも肯定から始まる前向きな人

私もそんな人間になりたい

小さい頃からの憧れは変わらないらしい