目線は出口
歯医者は嫌いだ
機械音も
無駄に優しい声色の先生も
隣にいた小さい女の子が
連れていかれた
可哀想に、涙で顔がぐしゃぐしゃだ
あの子は一人で逃げられない
お母さんにしっかり捕まってる
何処に行こうが必ず捕まる
もう耐えることしか出来ない
私は、逃げれる
まだ治療を受けてないし、道徳は守れてないかもしれないけど
二度と会わなければいい
私は、いつだって逃げれる
あの子とは違う、自分の意思でここから逃げる事も出来る
きっと誰も追いかけては来ないし、
居なくなった瞬間に
「おかしい」なんて言葉が出てくるかもしれないけど、もうその場所に私は居ないんだから、耳に入らなければ、その言葉は存在しないのと同じだ
でもきっと後悔はするんだろうな
今、逃げてしまったら
何処の場所に行っても同じことを繰り返すんだ
最期までやり遂げないときっと自分のことも信用出来なくなってしまう
あの子とは違う
自分の事は自分で捕まえておかないといけない
ああ、、、やだなあ、歯医者
「今永さん〜」