忘れ物
高くなるにつれて、少し怖くなってきた
おかしい、昔はこの高さに興奮していたのに
遊園地には欠かせない、乗り物
「観覧車」
遊園地以外でも広い公園にポツンと佇んでいたり、中にはサービスエリアに作られている場所もあるらしい
私も昔からずっと好きだった
必ず乗らないと気が済まなかったし、絶叫系に乗れない分、私にとって唯一の楽しみでもあった
町全体を一望出来て、見慣れた世界なのにどこか初めて見るような新鮮な気持ち
夜は更に綺麗で、時が止まったような気分にもさせてくれる
久しぶりに乗った
あの頃みたいにウキウキした気持ちで
でもあの頃と同じような気持ちにはなれなかった
下を覗いて、落ちてしまうのではないかと不安が大きくなったのは何故なのか
落ちることよりも、見た事のない景色に胸を高鳴らせるだけの、あの時間にはもう戻れなくて
少し寂しい気持ちにもなった
よく、人は変われないとか言うけど
こういう繊細な部分は強くなっていくものなのかな
起きてもない事に、急に不安になって
悪いことばかり考えてしまうようになったのも
いつからなのか
思えば上京した時もそうだった
夢だけ持ってたのに、絶対に叶う事しか見えてなかったのに
今は目線も変わって、怖いものになってしまっている
上から見る景色は綺麗で、沈黙の時間さえも楽しいけど
それと一緒に、恐怖という感情も追加されてしまった
好きだった観覧車でもこんな風に見方が変わるのかな
あ、もうすぐ終わる
次また乗る時は、違う見方も出来るように、、