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あなたはだれ

引きずり込まれた、その人の世界に

学生の頃初めて観劇をした、一時間四十分たった一人で、会場全体を巻き込んで釘付けにする姿
その人は別に目を合わせてくれる訳でもない、きっと決められた台本がある事も分かってる
でも何故か私だけに訴えかけられているみたいで、何とかしたいこの人の言葉を聞きたいと体までうずうずしてまう
あの日は、恐怖とか楽しさみたいな、沢山の感情を動かされた

私はここで舞台に興味を持ち始めた

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デビューしてすぐ違いを感じた、アイドルはよりお客さんを近くに感じるということ
ステージに立って、表現をすることには変わりないが目線をわざと合わせたり、手を振ったり屈んでみたり、自ら相手の立場に寄り添う
そして会場を一つにする

初めはそこに戸惑いを感じていた

そのようなアプローチをした事が無かった事と歌・ダンス一度も経験が無くて大切な自信という面でも
心が追いつかなかったのかなと思う

私にとってアイドルは当たり障りのない言葉しか抱けなくて
「常に笑顔を持って、夢を与える事」

感情を上手く隠せない私にとって、不安な部分

良い意味で嘘をつく、人を楽しませたいなら先ずは自分から楽しんでみる
この原理と同じで、一日の中で落ち込む事があってもステージに立ってる時は自分に嘘をつく

これはアイドルだけに限った話ではないけど、特にここの世界は目立ちやすいなと思った

私はこの世界で
学生の頃のような誰かの感情を揺さぶる
夢みたいな事が出来るのかな

そう考えていたある日、一人の方が
涙目になりながら、「感動した」
と伝えに来てくれた
私はきっと観客からみて、寄り添ってくれるタイプのアイドルではないのに
私の言葉が感情が一人でも届いたんだと思えた瞬間だった

嬉しかった、幸せだった

もしかしたらこの世界でも、私は表現が出来るのかもしれないって勇気を貰えた
全員じゃなくてもいい、ただ見てる貴方一人が感じてくれたらいいんだって
そしたら自然と観客席に少しずつ目を向けられるようになった

別物なんだと距離を置いていたのは私なのかもしれない
私が届けたいものはまだ届けられるのかもしれない

後二週間程で、一年が経とうとしている
数字だけ見ると、まだ一歳だけど
学びが多かった
そして一番理解出来て良かった事は

アイドルは表現者でもある

という事
この世界に触れられて良かった
まだまだだけど、もう少し学びたい
そう思えた

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