何処にいても
少し不安を感じる
でもそれ以上に
期待に胸を膨らませていた事を思い出した
「やらなければいけない事を先にやり遂げなさい」
良く母が口にしていた言葉だ
周りと比べるのは違うのかもしれないけど厳しい方だったと思う
同じ時間に起きて、好きでもない学校に行く、同じ時間に家に着いて、宿題を終えて、明日の準備をして、ご飯を食べて、お風呂に入り、そして同じ時間に寝る
当たり前の生活は幸せな事だと思う、でもどこか息苦しかった
時々、ここから逃げてみようか何て考えたこともあった
そんな私が中学生の時、やりたい事を見つけた
勿論、嘘ではない
本当に夢というものを初めて見た
でも当時の私は浅はかな考えで、チャンスだと思った
高校に進学せず、上京を許してもらえればこの町からも全てから逃げ出せるんじゃないかと
大切な夢を理由にして、母に伝えた
怒りもせず、否定もせず、冷静に今何をやらなければいけないのか考えてみて
と言われてしまった
そうだった、小さい頃から答えを教えてくれない人だった
何故怒られてるのか、何故相手に不快な思いをさせてしまったのか等、理解するまで廊下に立たされてた
今回もだ、やらなければいけない事とは何だ
分からない、やりたい事を見つけた
そこにいち早く向かうべきではないのか、時間なんて限られてるのに
気づいたら、タイムリミットが来て演劇部がある高校を選んで進学した
やっぱり学校は嫌いだ、馴染めないし同級生何て苦手だ、と頭から決めつけ孤立していた
こんな思いするなら上京したかったと落ち込んでいたが
唯一私を救ってくれた物がある
部活だ
ずっと夢だった演劇に初めて触れた時、こんな楽しい事があるんだと思った上に、同じ夢を持った仲間と沢山出会った
一つの物を夜遅くまで皆で作りあげていく事に喜びを感じて、急に学校が毎日楽しくなった
少し前向きになった私は、授業をちゃんと受けようと思った
学年で一位をとってみたら、どんな感情になるのか気にもなったし、今まで勉強もまともに頑張って来なかったので、ここで気合いを入れてみた
そして、本当に一位を取った日、母の顔が浮かんだ
やらなければいけない事、十代の私がやらなければいけなかった事
この時間でしか味わえない、規則、勉学、人間関係、その中で本当にやりたい事を少しずつ身につけていく
外の世界に触れる前に、目の前の世界でどう生きていくか
母のあの言葉は
未来をみる力を持ったなら、今を感じて生きてやり遂げなさいという大切な意味だった事に気付いた瞬間だった
あんなに憧れていた割に、いざ一人で立ってみると足が震えてる
ここからは、自由な選択が出来る
でも責任が伴ってくる
大丈夫、逃げずに乗り越えた過去がある
その力を持たせてくれた時間もある
私は大丈夫
二十歳を過ぎた今、さほど中身は変わらないし
まだ成長し続けてる所も沢山あるけど
改めて毎日を感じていかないと未来に繋がらないという事を思い出せた
ありがとう。
、、久しぶりに帰ろうかな