鬼も仲間だよ

自分にとって、衝撃的な体験は覚えている物なんだろうな

平和な筈だった
どうしてこうなってしまったのか、分からないけど
私達の穏やかな日常は一瞬で崩れたんだ

急に机や椅子を片付け始める先生
私も含めて皆、何が始まるんだろうってワクワクしていたに違いない
豆を渡された、次の瞬間

鬼が現れた

あれは、本当にリアルだった
年長さんだったから、当時五歳とかだ

動きも人間の動きしてなくて、思い出すだけで
泣きそうだ

保育園の記憶何て
ほとんどないけど、節分の事だけはちゃんと覚えてる
そんなに怖かったんだな私

今でも、お化け屋敷とか怪奇現象とか苦手
驚かされたりすると、心臓がギュッとなって
涙が出そうになる
車のクラクションは特に怖かったりする

その日も豆なんて投げれなかった
ここで終わるんだと、絶望していたに違いない

視界にも入れたくなくて、先生にお願いだから抱きしめてくれと
泣きながら訴えかけていただろう

皆のおかげで、鬼が退散した
ありがとう、あの時の同級生の皆
鬼に連れて行かれなかったのは、皆のおかげだ

…そういえば、もう一つ
思い出した

実家のベランダから駐車場が見える、そこからお父さんが帰ってくるのを
ひたすら待ってた

あ、帰ってきた

急いで、貰った豆を準備して
『ただいま』

と同時に豆を投げた
笑顔で返してくれた、どんなに仕事で疲れても
飽きずに構ってくれたな

楽しかった

今年は沢山、豆を投げれて
また新しい思い出が増えた

良い月の始まりだね