宝物
古本屋で何となく手にとった本
表紙に一目惚れして
ウキウキしながら家に帰った日を
この本を読む度に思い出す
宇宙や神話、中々直に触れられないものに昔から憧れがある
良く宇宙人は本当にいるとか
UFOを見たとか
テレビ番組で放送される事も多くて、食い入るように見ていた
家族はどちらかといえば、現実的に物事を捉える人が多くて、否定も肯定もすることなく
流していたけど
そちらの世界にも住んでみたいと
本気で考えていた時もあった
でも実際には無理だ、そんな気持ちを解消してくれるのは
本、映画、プラネタリウム
体験した気持ちになれる、空想だけど今の自分にはその方法しか思いつかなかった
その中でも、ある一つの本が私に凄く刺さった
初めに書いた、一目惚れした本
『フェッセンデンの宇宙』
科学者のフェッセンデンという男が実験室に宇宙を創る
このあらすじだけで、もうドキドキしてしまう
宇宙を創るってどういう事なんだろうって
学生の頃の私は、興奮してた
SF短編集になっていて、色々な現実ではありえないだろう、みたいな物語が沢山詰まっているけど
最後のページの一文が私の心をぐっと掴んで、たまに思い出す程だ
ここでは言えないけど、最後まで読んだ時
もし、フェッセンデンが創った宇宙の中に私もいるなら、今現実で自分が立ってるこの世界も好きになれるかもしれないと思った
SFの本だった筈なのに、少し幸せな気持ちにも感じさせてくれた
私にとって大切な本
思春期真っ只中で購入した事もあって、思い入れも強い
上京する時に、これだけはと荷物に入れた
幾つになっても、眠れない夜がある
少し耳に集中してみる、不規則に車の音が聞こえるだけで
静かで心地いい、でもどこか一人ぼっちになった気分にもなる
そんな時に思い出す
フェッセンデンは、宇宙を創りながらどんな気持ちだったんだろう
孤独で周りからは厄介な変わり者と思われて、部屋に籠って、生命を誕生させて
夜は変なことばかり考えてしまうな
私も、フェッセンデンが創った宇宙の一部にすぎないのかもしれない
そう考えれば今生かされてる時間は、まだマシなのかもしれない
明日になるのも怖くないかもしれない
もう寝ないと
多分この先もこの本は私の中でずっと宝物だ
お勧めでした、また