蠍座29度「酋長に自分の子どもたちの命ごいをするインディアンの女性」
マーク・エドモンド・ジョーンズの蠍座29度のサビアンシンボルは、An Indian squaw pleading to the chief for the lives of her children.「酋長に自分の子どもたちの命ごいをするインディアンの女性」。
ディーン・ルディアの蠍座29度のサビアンシンボルも、もともとのジョーンズのものと同じ、An Indian squaw pleading to the chief for the lives of her children.「 インディアンの女性が酋長に自分の子どもの命乞いをしている」です。
このサビアンシンボルを、映像としてリアルに思い描くとすると、子どもたちが殺されそうになっている母親が、命乞いをしているわけなのですから、なかなかに深刻な状況が描かれていることになります。この「深刻な」というのは、蠍座の象意の一つとなります。
しかし、サビアンシンボルはシンボルなわけですので、基本的に、すべて象徴として扱う必要性があります。その場合には、「子ども」というシンボルは、「未来への可能性」を表わすことになります。
この29度という度数においては、もうすでに次のサインに移行することを十分に意識しているので、旧来のサインが持っている価値観と、これから向かう次のサインが持っている価値観との間で、比較が行われることになります。これは持っていこう、これは捨てて行こうという、取捨選択がなされているのが、この29度という度数ということになります。
このサビアンシンボルのサインである蠍座は、水のエレメントに属するサインですので、対象に対してくっつく性質を持っていることになります。そして、蠍座は固定宮ですので、そのくっついた状態をずっと継続しようとするわけです。
それに対して、次に来る射手座は、火のエレメントに属するサイン。太っ腹で豪快な気質を持っていて、エネルギーをどんどん自分の外に出して行く、「陽」の性質を持っています。もし、ベタッとくっついてくるものがあるとすると、ポンポンと弾き飛ばしてしまう、射手座はそんなエネルギーに満ちていることになります。
そして、また、この度数のドデカテモリーは、天秤座となります。蠍座では、固定された一対一の深い関係が大切なわけですが、風のエレメントに属する天秤座は、不特定多数の人たちとの広い関わりをするサインです。
じいっと、二人きりで閉ざされた密室に居ることを好むような蠍座にあって、ドデカテモリーが天秤座になるということは、その部屋の壁が全て開け放たれて、風通しが良くなってしまった状況ということができるでしょう。
つまり、この蠍座29度ののサビアン劇場で、インディアンの女性が酋長に自分の子どもたちの命ごいをしているとして、その後どうなったか?を、自由に連想するとしたら、この母親と子どもたちは、外の世界に逃げ出すことも、十分に考えているといえるでしょう。
今は、まだ、その時ではないので、母親は酋長に命乞いをしていますが、ここにおいては、もはや、このまま留まることと、ここから飛び出すことは、同等の価値を持って存在しているのだということがわかります。
これらのことから、このサビアンシンボルを活用して行くには、過去ではなく未来を見て、柔軟に対応して行くことが、大切です。次に来る射手座は、臨機応変をその象意に持つ、柔軟宮でもあるのですから。
誰もが、このような重たくて深刻な状況は避けたいと思っています。しかしながら、断腸の思いで、大きな決断をしなくてはならないことも起きてくるかもしれません。
変化を拒み、旧来のワールドにしがみつくことは、いつまでも抜け出せない、泥沼のような腐れ縁を招くことにもなりかねません。
明日は、今日と全く違った風が吹くことだって、あるのです。柔軟性を取り入れれば、「これしかない」のではなくて、いろいろな可能性が見つかって行くはずです。