バンシュのジル ♌♒
ベルギーのバンシュという街で行われているカーニバルの光景を、だいぶ前にテレビの旅番組で見たのですが、とても印象に残っていたようで、いまだに思い出すことができます。
このカーニバルは、2003年にユネスコの無形文化遺産にも登録されてたそうで、ヨーロッパの数あるカーニバルの中でも、かなり古くから続いている歴史あるお祭りなのだとか。
ユニークなのは、このカーニバルの主役である「ジル」たちのいでたちです。ジルたちは全員が同じ服装を着ます。服装ももちろんユニークなのですが、服装がというよりも、ジルたちかぶる仮面のほうに独特さがあります。
ジルたちは全員が同じデザインの仮面をかぶります。その仮面は鼻の下には髭を生やしています。そしてメガネが描かれ、そのメガネの中は緑色に塗られていますので、ちょっとサングラスをかけているように見えます。
このジルの仮面には、水瓶座的な印象があります。眼鏡をかけているからでしょうか? あまり表情が豊かではないからでしょうか? 人によっては、ジルの顔つきは優しそうにも見えるとも思うし、淡々としているようにも見えるとも思います。
通常「メガネ」という象徴は、「知的であること」や「賢さ」のシンボルとされますが、どうしてジルたちにメガネが描かれているのか?は、その見たテレビ番組によると、かつてメガネをかけることができたのは裕福な人たちだけだった時があって、豊かさへのあこがれからメガネが描かれている、というものでした。
このカーニバルの起源などは現在も調べられているけれど、なかなかわからない、という情報も、ネットで調べていたら出てきました。
でも中には、カーニバルの起源は14世紀に遡り、当時ヨーロッパではペストが流行していて、領主や貴族は我先にと逃げ出してし待ったのだけれど、このお祭りは、残った地元の人々が自分達で街を守り抜こう!という決意のもと始まった、と書かれているサイトもありました。
もしそうだとしたら、ジルたちがかけているメガネは、「真実を見抜くぞ!」と言っているようにも、「真実を見ることは難しい」と言っているようにも思えてきます。
カーニバルやお祭りというのは、獅子座サインとシンパシィのあるものごとです。獅子座の中には15度に「山車」という、お祭りの盛り上がりをそのまま表したサビアンシンボルがあったりします。
そしてまた、このカーニバルの「主役」であるジルに扮することができるのは、バンシュに住んでいる男性だけで、彼らは伝統あるこの衣装を身にまとうことにとっても「誇り」をもっているとのこと。この「主役」や「誇り」というのも、獅子座の象意となります。
ただ、このカーニバルで一番ユニークなポイントは、主役が一人ではないというところにあります。毎年千人くらいの男性がジルに扮するそうで、映像で見るとユニークな同じ格好をしたジルたちで、街中が埋め尽くされている感じです。このことが、何よりも水瓶座的に感じられるのだと思います。
ですので、このバンシュのジルのカーニバルは、とても獅子座的であると同時に、とても水瓶座的でもあるということができるのです。
ジルたちの全員が同じ仮面を被るというのは、とても匿名性が高いということができます。もともと、仮面(匿名性)というもの自体が、水瓶座的なものと言うことができるのかもしれません。サビアンシンボルの中には、水瓶座の18度には「仮面がはがされた男」というがあったりもします。
水瓶座の象意のひとつであるインターネットの世界にはハンドルネームが存在し、また同じく水瓶座の象意のひとつであるオンラインゲームの世界にはアバターが存在します。これなども、水瓶座が持つ仮面や匿名性を良く表しているといえます。
でも、それだけではないところが、このバンシュのカーニバルの面白いところです。実はジルたちは、仮面を被ったジルになっているときもあれば、仮面を被らない、実際の顔を丸出しにしたジルのときもあるのです。
3日間のカーニバルの間、最も盛り上がるのが最終日なわけですが、この日は大きなダチョウの羽飾りを頭に付けたジルが街を行進します。ジルは太鼓の音に合わせて踊り、棒で悪霊を追い払うのですが、このときのジルは仮面を被っていません。
とても大きな羽根飾りを頭に付けるということは、自己アピールにもなり、かなり目立つわけですが、この時はちゃんと「顔出し」していて、これはとても獅子座的なジルということができます。
そしてそのあと、仮面を被った水瓶座的な「みな一緒」のジルになって、最終地点の広場に到着するまで、オレンジを観客たちに放り投げます。オレンジを手にした人には幸福がもたらされるという言い伝えがあるので、観衆はかなり本気でオレンジをキャッチするそうです。このオレンジという果実も獅子座の象意となります。
また、水瓶座は、奇抜であることを厭わないサインです。このバンシュのジルたちも、かなり奇抜ないでたちをしています。そして、皆が同じ格好をする、ということが作り出す連帯感というものにも注目してみると、日本のお祭りなどでも、そろいのハッピ姿などで連帯感が強まっていることがわかります。
お金持ちの人もそうでない人も、男性も女性も、お年寄りも子どもたちも、そろいのハッピを着ると、みんな同じ仲間たちになります。これも水瓶座精神のひとつの表れといえるでしょう。
(2021.08/14)
*星のエッセイ
過去記事を、12サインのいくつかに当てはめて、リライトしています。
題名の横に表記された12サインが、テーマの文章となっています。