射手座11度「寺院の左側にある物質的さとりをもたらすランプ」
射手座11度のマーク・エドモンド・ジョーンズのサビアンシンボルは、The lamp of physical enlightenment at the left temple.「寺院の左側にある物質的さとりをもたらすランプ」。
「寺院の左側にある」と訳すと、ある一つの寺院の中の左側という意味になりますが、at the left temple は「左側の寺院」という意味になります。つまり、これは、寺院はいくつかあって、右側の寺院や、ひょっとしたら中央の寺院などもあるかも知れない中での、左側の寺院を指していることになります。
そして、「左側」とは感性や直観、そして受容する性質をあらわします。また「ランプ」で照らされると影ができるわけですが、影ができるということは、そこに何らかの実態があることになります。
この「左側の寺院」の反対側にあるであろう、「右側の寺院」がどのようなものであるのかを考えてみると、それは、左側の寺院が象徴的に示していることとは対になる、言葉や理性の神殿であろうことが、予想されることになります。
ディーン・ルディアは、この射手座11度のサビアンシンボルを、
In the left section of an archaic temple, a lamp burns in a container shaped like a human body.「 古代の神殿の左側の部分で、ランプが人間の形の容器の中で燃える」と言い換えました。
ルディアは、自身の著書の中で、このサビアンシンボルの要旨を「 知性と客観的意識へのストレスのバランスを取るために、現代の思想家が提唱する『身体への回帰』の価値観」として、次のように述べています。
「このシンボルの元の表現は『肉体的な悟り』について語っていますが、現代の言葉で言えば、感性トレーニングやゲシュタルト心理療法で非常に重視されている『肉体の知恵』に頼る必要があることを暗示しているようです。」
ここに書かれている「このシンボルの元の表現」というのは、ジョーンズのサビアンシンボルのことを指していることになります。
この度数のドデカテモリーは牡羊座となります。牡羊座は、火のエレメントに属するサインですが、これは、とても根源的な火のエネルギーをあらわしています。このサビアンシンボルに出てくるランプの光や炎を、この牡羊座の火のエネルギーに照らし合わせて考えてみるのも、とても興味深いように思えます。
このサビアンシンボルの度数である11度を理解するときに参考になるのは、占星術の水瓶座や、タロットの古典版の「11.力の女神」、もしくはライダーウエイト版の「11.裁判の女神」になります。
これらの11という数字に共通している性質として、未来志向であることや、革新性などを上げることができて、そこにはテンションの高い実験性が内在しているといわれています。
つまり、射手座においては、アウェイな姿勢があって、はるかかなたのほうに意識が向いているので、足元のことや身体のことなどには意識が向きにくいという欠点があったわけなのです。それが、この11度においては覆され、逆に、身体のことや身近な物質的なことを大切にする、といった真理や姿勢が描かれていることになるわけです。
これらのことから、このサビアンシンボルを活用して行くには、身体性や感性が持っている叡智にも、目を向けると良いということがわかります。
精神性や理性に光がともると、肉体性や物質性が影になり、逆に、肉体性や物質性に光がともると、精神性や理性が影になりやすいのかも知れません。
この両極は、どちらかに偏りが起きるとその影も深く極まっていきますので、両方の価値を認めたり、そしてバランスを取ったりして行くことが大切です。