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雨の日の傘のおはなし ♉♒

ある、雨ふりの日、
わたしは用事があって、
目白の小さな郵便局に行きました。

郵便局では、入り口のところに傘立てがあって、
そこにさしてきた傘を、差し込んだのですが、
用事がすんで、出て来てみると
わたしの傘が、ありませんでした。

局内を見ると、残っているお客さんは二人で、
明らかに見て、この黒い傘は、あの男の人のもので、
この赤い傘は、あの女の人のものだと、わかりました。

だから、わたしの傘は、
残りのこのピニール傘となるはずです。

わたしも確かに、ピニール傘をさしてきましたが、
それは、大きめのジャンプする傘で、
ここにあるものよりも、新しくピカピカしていて、
しっかりとしていて、価格も高いものでした。

けれどもここに残っている傘は、
同じピニール傘なのだけど、
手動で開く、小さくてくたびれた傘。

おまけに骨が一本
折れ曲がっていて
なんというかな~
ちょっとみじめな
感じなんだよね。

残念な気持ちとともに、
どうしてこういうことになったのか?と、
歩きながら考えました。

わたしと入れ違いに、出ていった人が
思わず間違って、持って行ったものなのか。
それとも、意図的にすりかえたものなのか。

それはどちらなのかは、
わかりませんが、

その日は、そのあと、
都庁まで、行く用事があったので、
しかたなく、しぶしぶと、
その傘をさしていました。

最初、その傘の取っ手のところが、
前の持ち主の手触り感が残って、
べたべたする感じがしたので、

歩きながら、ウエットティッシュで、
そのべとべと感がなくなるまで、
きれいに拭きました。

そうしているうちに、折れ曲がっている骨が、
どうしても、気になるので、
見たり触ったりしていたのですが、

なんとなく、その傘が、
かわいそうに思えてきて、

新宿駅から、都庁行きのバスに乗る頃には、
その折れているところを、指でつまんで、
物相手だけど、ヒーリングみたいにしていたら、

ある瞬間、何かエネルギーが満ちて、
今なら治りそうという、直観が働いて、
そっと力いれたら、ふにゃりと動いて、

まっすぐとまでは、いかなかったけど、
10パーセントくらいの曲がり方に、
治ったので、うれしかったです。

物というのは、空っぽな度合いが高くて、
だからいろんな、使っている人のエネルギーが、
入りやすいのだと、思いました。

最近は、ビニール傘などは、
個人の所有物と思わずに、
共有のものと考える人たちも
増えていると、どこかで耳にしたのは、
今からもう、10年以上も前のことだし、

シェアリングの世界が
より良く展開された世界を、
わたしは夢見たりも
しているひとりだけれど、

これは私のものと、所有して、
たいせつに使うことにも、
それはそれで、魅力があって。

前者のシェアリングの世界が、
水瓶座的なら、
後者の所有の世界は
牡牛座的といえるのだと、
思ったりもしました。

いずれにしても、
そのようなご縁で、わたしの手元に来た傘は、
もうすっかり、うちの子となって、

雨の上がった、翌日の朝には、
ベランダに広げて
日干しを、されています。

( 2011年10月06日 )

*星のエッセイ
過去記事を、12サインのいくつかに当てはめて、リライトしています。
題名の横に表記された12サインの性質に触れた内容が、テーマの文章となっています。