蠍座12度「大使館の舞踏会」
マーク・エドモンド・ジョーンズの蠍座12度のサビアンシンボルは、An embassy ball.「大使館の舞踏会」。
ディーン・ルディアは、この蠍座12度のサビアンシンボルを、An official embassy ball.「公的な大使館の舞踏会」と言い換えました。これは、もともとのジョーンズのサビアンシンボルに、 official「公的な」という言葉を書き加えたことになります。
ルディアの著書を見てみると、 official「公的な」という言葉を書き加えた、その理由がわかります。ルディアは、このサビアンシンボルの要旨を、「支配階級のエリートの代表者間の文化的交流において最高レベルで開花する集団意識」とした上で、次のように書いています。
「喚起されるのは、日常的な意識や行動ではなく、可能な限り最高の文化的交流レベル(つまり「正装」)で他の人々と出会うことの価値となります。前のシンボルで示した救助活動の自然な自発性とは対照的に、ここでは権力、名声、富の儀式化された表示のイメージがあります。関係は階層化され、制度化されています。」
ルディアが、ここで「前のシンボル」と書いているのは、この蠍座12度の一つ前の、蠍座11度「救助される溺れた人」のサビアンシンボルのことを指しています。ここでは、みっともなかったり、情けなかったりする、むき出しの姿がさらされ、そして救済されることが描かれていました。
それに対して、この12度のほうでは、正装で出会うことの価値を示すために、ルディアは「公的な」という言葉が書き加えたことになります。11度においては、カッコなんかつけてられない、あらわな姿が、そして12度においては、せいいっぱいカッコをつけている姿、背伸びした姿が、それぞれ描かれているといえるでしょう。
このサビアンシンボルの度数である、「12」という数字が持っている性質を理解するために参考になるのは、占星術の魚座サインや、タロットの大アルカナの「12.吊られた男」のカードとなります。
この「12」には、未知の探求という意味があります。「12」は、予感や直観に従って動くという姿勢を持っていて、内的な模索をしながら、新しい生産性を外界の未知の領域から引き出してくる、という性質を持っています。
つまり、この蠍座12度の場合には、まず自分自身の内側に目を向けて探してみると、そこに上流階級に所属するという、予感や確信のようなものがあることになります。
蠍座12度にとって、「公式な舞踏会」に居る自分は、もともとは、外界の未知の領域にあることになります。「公式な舞踏会」に居る私は、まだ自分の内側にだけにしか、存在していないものであるのです。しかし、それは、確かな予感や確信でもあるので、外界の未知の領域から新しい可能性を、どんどん引き寄せてくることになるわけです。
蠍座12度のドデカテモリーは、魚座となります。ここにおいては、魚座サインが持つ特質の中でも、「夢のような世界」ということが、強調されているといえるでしょう。
舞踏会といったときに思い浮かぶのは、ヨーロッパの王室やシンデレラのお話し、そして明治時代の鹿鳴館などでしょうか。いずれにしても、そこは、ハイクラスなセレブ達が集う場所で、玉の輿や引き立てなど、ワンランク上の人脈を掴むための、上昇志向が満たされる夢のような場所ということができそうです。
これらのことから、このサビアンシンボルを活用して行くには、背伸びをして上昇して行くことに価値を見い出すと良い、ということがわかります。
見栄を張って、自分の一番良いところを引き出すこと。そしてそのことによって、ランクアップをして行き、正装して行くような凄い場所や、夢のような場所に出入りすることが、ここには描かれていることになります。
そこには、国家を代表するようなすごい人たちや、ひとかどの人物たちが居て、その人たちとのつながりができることで、その人たちからの引き立てや薫陶を得る可能性ができて行くことになるのです。