stayhome一人芝居 脚本まとめ
皆様こんにちは。今井夢子です◎
こちらの記事では私が、「stayhome一人芝居」と題し、2020年の自粛期間中に俳優さんたちへ当て書きで執筆した、40本余りの短編一人芝居の脚本を、すべて読むことができます。
実際には2か月で44本を執筆しましたが、未公開の物などは除いた上で、全作品を掲載しています。
基本的にすべて、部屋の中で演じることができることを前提に書かれた20分程度の作品で、ジャンルはコミカル、サスペンス、ミュージカル、サイコ、シュールとさまざま。
上演可能な一人芝居の脚本をお探しの方、読み物として戯曲を読んでみたい方、今井夢子の頭の中を覗いてみたい方も、お楽しみください。
※掲載作品の全文、または一部を無断で複写(コピー)することは、著作権上での例外を除き、禁じられています。
※すべての作品は上演することが可能ですが、事前に使用許可が必要です。上演等に関するお問い合わせはこちらまで。manhattan96.info@gmail.com
●一人芝居の戯曲を読んでみる●
「胸に映る穢れ」
名もなき国。王妃の寝室を掃除する召使の女は、訪れた客人の男に「この国が滅びた」ことを知らされる。狂っているのは世界か?女か?それとも?やがて暴かれていく、女の正体と罪、そして男との本当の関係とは・・・?
「ライライラのアモンモン」
人間に新しい住まいを与えられた、眼には見えないはずの生き物、ライライラ。共通言語を持たない二人は、不器用に語り合いながらやがて、種族が違っても同じ「アモンモン」を大切にしていることに気が付いていく。
「コール・フロム・ブランチ」
大富豪の女は、誕生日の夜、パトロンとして全てを与えてきた若き彫刻家に「対等でありたい」と告げられる。
胸に空いた空虚な穴から逃げるように酒に溺れ、誰かの「神様」でいることに固執してきた女が、見つけ出す小さな決意とは・・・。
「ゆるしのおと」
かつての天才ピアニストは、娘のピアノコンサートに集まった観客に、家族の秘密を告白する。外面ばかりの夫、音楽の才能がない娘、人形のように生きてきた自分自身の歴史を。
バラバラの心はもう一度、家族という和音を奏でることができるのか?
「最初で最後の『またね』のキス」
女は、失ったかつての恋人と、超高性能AI機能によって画面越しの再会を果たす。永遠に触れ合うことのできないあなたと交わす、最初で最後のキスの意味とは・・・・?異色の近未来ラブストーリー。
「シュレディンガーのパン屋さん」
いつもパン屋で見つめていたあの子が、引きこもってしまった!女の部屋に侵入した男は、「君が幻でないか確かめたかった」と想いを語る。
世界の認識が揺らいでしまったとき、唯一信じられるのは、ここにいる私と、あなた。
「天地創造スタッフミーティング」
大スペクタルな舞台作品を創るため、演出家の「神」はスタッフ会議を始める。彼のイメージに、やがて対立していくスタッフの意見。面白いものとは?創造する意味とは?そして彼が創ろうとしている世界とは?
「Witch Audition」
売れっ子ミュージカル女優は、恋敵の演出家を蹴落とすため、オーディション会場で即興の歌を歌う。しかしその場にいた女性全員が、自分の恋人と関係を持っていたことを知り、女優はプリンセスから、恐ろしい魔女へと豹変していく・・・。
「反芻サンデー」
今見送ったばかりの男とのワンナイトを、女はひとり反芻する。上質なコーヒーを味わうように、何度も。インスタントに扱われるのは嫌!恋する女の、可愛らしく滑稽な姿は、反芻の中でやがて、残虐さを見せていき・・・。
「ハッピーエンド~旅する手首~」
淋しい小説家の女は人との関わりを求め、ホームレスの男を一晩の相手としてバスルームに連れ込む。しかし2人はかつて同じシナリオ講座で出会っていたことに気づき・・・。孤独な男女が選ぶ、優しいハッピーエンドとは?
「すべての名もなき脇役たち」
全ての物語の中で虐げられてきた脇役たちに、幸せな当たり前の人生を生きる権利を!
名もなき作家は運動を起こすべく、仲間と共に立ち上がる。彼が相手にする大きな力とは、そして言葉とは、一体・・・?
「地獄で産婆」
地獄から生き返った女!彼女が地獄で与えられたのは、「人を永遠にいたぶりつづける罰」。しかし、彼女は百戦錬磨の産婆だった・・・
「そりゃあんた、だって死ぬ前には生きなくちゃならないし、生きる前には生まれなきゃならない、生まれるときにはやっぱり、産婆さんの力だって必要なんだから。地獄だって元を正せば、産婆さんから生まれているようなものに違いないのさ」
責め苦地獄にて、悪魔と産婆の全面対決が始まる・・・!
「タクロウへの手紙」
「センセイへ。・・・・・知っていましたか?あなたは、私のことを知っていましたか?私がどのくらい、あなたのことで頭がいっぱいだったか、知っていましたか?」
書き綴られた手紙から溢れ出すように明かされる、恋心と崇拝、信頼と裏切り、そして人間の在り方への問い・・・
「夜空を詰め込んだ小説家の習作」(朗読劇)
新しい家族との生活に馴染めず、物語の練習に没頭する少年。
唯一の友人である少女は、ある日、一番星を見つめて涙を流す。
「私の涙に触らないで・・・」
少年と、名前も知らない少女は、やがて生命と宇宙の旅に迷い込んでいく・・・・
「理由なき共存」(二人芝居)
理由なき行動、理由なき孤独、理由なき別れ・・・
自粛生活の中で時間を持て余すふたりの男女。折り紙を折ったり、連想ゲームをしたり、たわいもない時間を過ごすなかで、少しずつ変化していく二人のこころの距離・・・・
はっきりさせたい女と、孤独を恐れる男、二人が見つける共存の在り方とは・・・?
「旅支度」
戦後の時代。自分の生き方を求め、これまで縛られていた生活や関係から、新しい世界へ旅立とうとする女は、沿い続けた男に暇を乞う。
その中で明かされていく、女の本心とは・・・
「あなたは本当に私が、恩義や感謝や、愛の為にここまであなたと連れ立ってきたと、そう思っているのですか?なんて愚かなんでしょう。
私があなたと連れ立ってきた理由は、ただひとつ、あなたに復讐をするためです」
「この窓から見下ろす、真実」
「・・・・それじゃあ私がちょっとだけ、面白い真実、を教えてあげましょうか。あのお隣さんのことで。
真実ですよ、もちろん。私がずっと、この目で見てきたことだもの」
ゴミ屋敷、に隣接する家で暮らす女の元に、取材のテレビクルーが訪ねてくる。この国で真実起きていることを伝えたい、と話すディレクターに興味を持った女は、今まで誰にも話してこなかった真実を話し始める・・・。
「カウントダウン」
愛人契約を結ぶ「先生」に、浮気現場を目撃されてしまった女。
求められる通りの方法で、反省の意を示そうとする女だったが、「先生」からの要求は次第にエスカレートしていき・・・・・。コミカルな時間は徐々に不穏な空気に。そして女の反撃が始まる・・・。
「鏡よ、鏡」
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだあれ?
それじゃあ、鏡よ鏡。世界でいちばん、ずるいのはだあれ?」
見た目の美しさに絶対的価値を持つ女は、裏切ってしまった人のかつてくれた言葉を想い、自問自答する。本当の美しさとは?世界で一番美しいものとは・・・?
「赤い泥の村で」
「なあ、許せるんだよな?おい?おい?悪口を言ったやつ、ほんの少し嘘を吐いたやつ、果物を盗んだやつ、ただ他人とは違う意見を持っていただけの人間だって・・・許せるんだよなあ?笑って、頭に口づけて、肩を叩いて・・・。やっぱり、俺も磔台か?」
時代の中で拓かれていく町のそばに、ひっそりと閉ざされた村。この村ではかつて、封印したしきたりがあった・・・。
「捨てないでハッピーキューティドール」
「私はハッピーキューティドール 生活という牢獄の中で
夢の影 探してみる
私はハッピーキューティドール 生活という永遠の中で
少しずつ 汚れていく
擦り切れていく ぼろぼろの ハッピーキューティドール・・・」
女性の心の隙間にふっと忍び込む影。私の人生は本当にこれでよかったのだろうか?誰にでもあるような小さな想いを歌う、人形劇風のミュージカル。
「召し上がれ劇場でいただきます」
自粛要請の影響で、小料理屋を畳むことになり、落ち込んでいる夫は、自堕落な生活から抜け出せない。そんな夫を励まそうと、女は毎日料理を作り続けるが・・・・
「ああ、そうね。そうなのです。瀕死のニンジンは、今気が付いたのです。自分が闘っていたものはなんだったのか。怪物ポテチとは仮の姿でしかなかったのです。それは、私たちすべての心の中にある、弱さの化身でした」
「植物との白昼夢」(二人芝居)
女が共に暮らす植物は、最近やたらとふてぶてしい。高級な水をねだり、叙々苑の焼き肉弁当をランチに所望する。あきれた女は、主従関係を見せつけようとするが・・・・
「離れられないんだよ、一緒に生きているんだから。わかった?全ての生き物が繋がって、共存しているんだということを、忘れない方がいいよ」
「ころころことば」
言葉を司る精霊は、捧げものの美味しいことばを探すことに余念がないが、その心には、生まれてはいけないひとつの疑念が生まれてしまい・・・
「裏返しの言葉が、愛を語るということもあるのですね。ではあのトゲトゲした言葉たちだってもしかしたら、愛を語りたいはずのに、間違えて選ばれてしまっているだけなのかもしれませんね」
「お父ちゃんに8888」
初めてのリモート授業を受け持つことになり、緊張気味のお父ちゃん。
自宅勤務になってからというもの、お母ちゃんとの仲は、やや不穏な空気である・・・。
不器用なお父ちゃんの考える、理想のコミュニケーションとは?
「みなさん。今、ここに何十人かの人間が集まって、植物のコミュニケーションだなんて普段は語りもしないようなことについて考えている。もしかしたら、こんな内容でつながりあっている人間は、今この瞬間、世界中で私たちだけかもしれない。そのことを、大切にしてほしいと思います」
「ブラッディ・スペッツァティーノ」
想いを寄せる人との、最後のバースデーパーティ。来週には遠く旅立ってしまう人を前に、女は不安定に平静を装おうとするが・・・・
「あとそういえばさ、赤ちゃんの飲む母乳って、あれお母さんの血液で出来てるらしいよ?知ってた?不思議だよね、私たちは血を飲んで育ったんだよ。どんな気分だろうね。飲み込まれたタン、飲み込まれた血液」
「その檻」
動物園の片隅で、檻に入れられて生活をする女。彼女は、今はなき民族の唯一の生き残り。そこに今日、ひとりの少年が訪ねてくる。根絶やしにされたはずの民族の言葉を喋る少年と、女の奇妙な交流の中で、明かされていく真実とは・・・・
「ねえあなたもしかして、羨ましいと思ったの?それで一日中あたしのこと見てた、違う?・・・あたしが、うらやましいの?」
「遠い日の歌」
高校の音楽教師であった女は、過去のある事件を境に、家に閉じこもるようになってしまう。そこに訪れるかつての教え子。閉じられたドアを隔てて、ふたりの交わす会話の先に明かされる、事件の真実と、想いとは・・・。
「人の声と声が合わさって、ひとつの歌が出来ること。音と音が合わさって、ひとつの音楽が出来ること。それが、聞く人に伝わるっていうこと。背中を押してくれるっていうこと。人と一緒に何かを創るって、素敵なことなのに」
「欲望デッドヒート」
自殺サイトで出会った女と男。さあ今日これから、というときに、待ち合わせの仲間はやってこない。気まずい時間の中で、溢れ出し始めるふたりの欲望とは・・・・?
「なんにも思いつかなかったんですよ。欲しいものが。
うん。なかったんです。欲しいものも、行きたい場所も、見たいものも、触りたい人も、食べたいものも、なんにも」
「さあ、永遠の道行きを」
心中の果てに、別々の「箱」の中の閉じ込められてしまった徳兵衛とお初は、お互いを求め、世界に物申す。二人の道行きの行く末とは・・・?
「お前さんたち、わっちらはね、必死に生きて、必死に死んだんですよ。真実ただ、恋のもとに、生きて死んだのです。お前たちはどうせそこで、それをただ、握り飯を喰ったり、酒を呑んだり、大声で笑い散らかしたりしながら、羨ましく見ているだけだろう。安全な場所から、他人面で。目に浮かぶようですよ。憂さ晴らしに見物はしても、決して自分たちは行動を起こさない。当事者にならないようにいつもビクビクと、周りを伺っているんでしょう」
「SHOOT」
新しい日常を受け入れられず、自問自答を繰り返す女のギリギリと、そこから小さく光を見出す決意の姿。
「普通ってなに?新しい普通ってなに?
それって異常じゃないの?
異常の中で、ああこれは異常だねって、自分たちは異常の中にいるんだねって、認めるなら、なんかわかる。それを、普通っていう言葉で、ごまかしてしまって、普通ぶる。それが、わからない。普通じゃ、ないのに」
「初恋」
盛り上がらないライブ配信を続ける女。唯一毎日配信を見に来る相手が、幼馴染だったことが分かり喜ぶが、幼いころのショッキングな事件の真相が徐々に明らかになっていき・・・。
「そこにあったはずの気持ちが、なかったものみたいにされてしまう」
「水をかけられた砂の城が、崩れていくみたいに」
「あのときの僕の気持ちも」
「あのときの君自身の気持ちも」
「公表」
とある事件から団員が皆辞めてしまった劇団。その座長の元に訪れた唯一の劇団員の女は、自分が書いた一人芝居の稽古を見てほしいと申し出る。一国の不正を暴こうとするその物語は、やがて劇団の過去と重なっていき・・・
「不正は、あったんです。隠しようがない、そしてそれにもう皆気が付いているんです。あなただけが、なかったことにしようとしているんですよ」
「風車の向こう側」
『「ここは本当に、あんたの信じているのとは別の世界なのかもしれないよ」って。私は聞いたの。「それはどんな世界ですか?」って。
あの風車の道はね、人の心を狂わせる世界、への道なんですって・・・』
夏祭りの夜。女心の機微が揺らめきながら、風車の向こう側で起きた不思議な出来事とは・・・?
「行動する想像」
頭の先からつま先まで監視され続けて、機械のようになってしまった人間たち。閉じ込められた部屋の中で男は、自由に人間らしく生きる方法を探し問い続ける・・・。
「想像力。どんなに優れたカメラで覗いてみたって、俺の想像だけは、誰にも監視できやしない」
「恋の奴隷」
弱みを握った男を部屋に呼び込み、奴隷のように扱う女。女が隠し持つ箱の中に、大事に集めていたものとは?そして二人の関係の行く末とは・・・?
「へー、うつくしー。自分はクビでも奴隷でもなんでもいいけど、相手を困らせるのは嫌だってか。愛ってうつくしー・・・・」
「世界の終わり」
まもなく訪れるかもしれない世界の終わりに向けて、防災訓練をする女。彼女が立ち向かう、世界の終わりの意味とは・・・?クレイジーで哀しい女の姿を滑稽に描きます。
「これはねマイダーリン、世界の終わりが近いのではないかと、わたくし考えました!危惧!とっても危惧しております!そこで世界の終わりに向けての、防災訓練を行っているわけです!」
「内なるLSD」
病を抱える女は、学生時代に通っていた絵画教室の先生にビデオ電話をかける。彼女が発見した、人間の世界、そしてその色彩を伝えるために。生きていく力、生み出す力を再発見する女が見る、極彩色の世界とは?
「もしもし?もしもし、聞こえる?
先生!あたし、世界を発見した!」
「美しいマルガリータへ」
文字を読めない鉄くず拾いの男は、美しいマルガリータに恋をした。
懸命に彼女に手紙を書く男だったが、マルガリータは訳あって、手紙を憎んでいた・・・。
手紙の視点から描かれる、愛の言葉にあふれたミュージカル。
「今、私は知る。私はだあれ。私は、愛の言葉。」
「はこ、から、こつん」
「柔らかく蓋を閉めた、この箱の中に、私は永遠を閉じ込めている」
部屋中に箱を集め、それらと踊る女は、想像の中で復讐をする。かわいくて少し怖い、stayhome一人芝居番外編、短編小説です。
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※掲載作品の全文、または一部を無断で複写(コピー)することは、著作権上での例外を除き、禁じられています。
※すべての作品は上演することが可能ですが、事前に使用許可が必要です。上演等に関するお問い合わせはこちらまで。manhattan96.info@gmail.com