「ミュージカル映画がつまらない?」それは見かたを間違えている!!
ミュージカル映画は映画の一つのジャンルとして確立されていて、いつの時代にも新しく制作・公開されます。
「レ・ミゼラブル」「ラ・ラ・ランド」「グレイテスト・ショーマン」「メリーポピンズ・リターンズ」など、記憶に新しいのではないでしょうか。
さて、その中で「メリーポピンズ・リターンズ」のレビューを見てみると、星が1つか2つという低評価のレビューも少なくありませんでした。
そもそも、「ミュージカルだと知らなかった」という感想もあれば、「関係のないところで歌が多い」「ストーリーが単純すぎる」というものもありました。
これらはすべて、「ミュージカル映画の見かたを間違えている」から出てくる感想です。
もし、「正しいミュージカル映画の見かた」を知っていれば、これらの人たちでももっと楽しく「メリーポピンズ・リターンズ」を観ることができたに違いありません。
(もちろん、「正しい」ということは存在しませんが、ここでは便宜的に「正しい」という言葉を使っています)
実際、「メリーポピンズ・リターンズ」はとても素晴らしいミュージカル映画だと私は思いました。映画館で観る前には、1作目「メリーポピンズ」をAmazon Primeで復習していきましたが、1作目と比べても格段の出来です。
「こんなに素晴らしい映画を作ってくれてありがとう!」と映画館で一人で感動していました。
また、「ミュージカル映画」だけでなく、実際の舞台の「ミュージカル」も同じ観点で見ると非常に楽しめます。
ミュージカルが苦手な方も、「ああ、そういう事なのか」と納得していただければ、ミュージカル・アレルギーもなくなり、楽しみの幅も広がることでしょう。
では、いったい、「正しいミュージカル映画」の見かたとは何なのか?
この記事では、じっくりと追及していきたいと思います。
1.ミュージカル嫌いの方のご意見
「急に歌いだすのはなぜか?必要あるの?」
これは多くのミュージカル嫌いのかたのご意見ですよね。
せっかく物語を楽しんでいたら、急に主人公が歌いだして、みんなも踊りだして、etc.
そんなことは現実世界ではありえないから、一気に気持ちが冷めてしまって感情移入できなくなるというものです。
「ストーリーが単純すぎる」
これもミュージカル特有です。
歌っていると物語が進みませんので、必然的にストーリーに要素を詰め込むことはできません。
ですので、ミュージカルはストーリーが単純になってしまうのです。
「歌詞がおかしい」
これは、英語のミュージカルを日本語に訳した時に起こる現象ですね。
たしかに、説明的な口調の歌詞は、英語の時には合っていたのかもしれませんが、日本語になると途端にまどろっこしくて、普通の歌謡曲ではありえないような歌になってしまいます。
これが気持ち悪いという人も少なくありません。
2.ミュージカルは普通の舞台や映画とは違う!
では、どのようにミュージカルを楽しめばいいかというと、、、、その前に、ミュージカルは普通の舞台や映画とは違うという事を言っておかなければなりません。
実は、「ミュージカルはつまらない」という多くの誤解はここから発生しています。
多くの人は、ミュージカルと他の舞台や映画を同じような見かたで鑑賞しています。
それが良くないわけです。
その鑑賞方法は何かというと、
「ストーリーを楽しむ」
という事です。
「当たり前じゃないか!舞台なんだから」
「当たり前でしょ、映画なんだから」
という声も聞こえてきそうですが、そうではないのです。
ミュージカルはストーリーを楽しむものではない!
ということを知っておくだけで、ミュージカルに対するアレルギーがかなりの割合で減っていくことでしょう。
ストーリを楽しむための娯楽ではありませんので、ストーリーが単純すぎても問題ないのです。
もちろん、中には「ラ・ラ・ランド」のように、ストーリーもかなり凝ったミュージカル映画もありますが、あれは特別なものだと考えておいた方が良いと思います。「ラ・ラ・ランド」の場合は、ミュージカルなのにかなりストーリーを重視してるよね、という理解のほうが良いかもしれません。歌の場面もあまり無駄な部分はないようになっています。脇役の登場人物が急に歌いだして歌のうまさをアピールしたり、ダンスを披露したりすることはありません。出てくるにしても、オープニングと、あとは劇中で演奏しているシーンぐらいです。
そういう意味で、広い層を意識したハイレベルな映画だと言えるでしょう。
多くのミュージカルはストーリーが単純です。
もっとも象徴的なのは、ラストで急にハッピーエンドになるパターンです。
なぜか、別れたはずの恋人が戻って来たりして、そのあたりの登場人物の心理描写も省かれていて、良く分からないけどハッピーエンドで「わー」っと拍手をして終わるという感じです。
日本で言うと、子ども向けのヒーローものの番組で、危機一髪の時に、なぜか味方がどこからともなく登場するというあっけなさです。
でも、ミュージカルなので、それは良いのです(笑)
3.真のミュージカルの楽しみ方
おまたせしました!
では、どのようにミュージカルを楽しめば良いのか?
それは、ズバリ!
「歌」と「ダンス」と「世界観」を楽しむ
という事なのです。
これに関しては、「メリーポピンズ・リターンズ」は素晴らしい作品でした。
夢と空想に満ち溢れた子どもの世界を余すところなく描いています。
お風呂に入ったかと思うとそこは海の中だったり、陶器に描かれた絵の中に入り込んだり、空想のままに自由に映像があふれ出します。
そのビジュアルの美しさ、音楽の楽しさ、歌の軽快さ、どれをとってもぴか一だと思いました。
「子どものころの自由な世界を楽しもう」と思って見ていれば、楽しくてワクワクして、本当に素晴らしい2時間を過ごせたのではないかと思います。
最後は、風船でみんなが飛ぶんですよ!
風船で浮かんで飛ぶなんて、日常生活の中では、あまり考えていませんよね。それより仕事のことを考えたりしていると思いますが(笑)
あの映画を見ると、「あんなことができたら良いな」という自由な気持ちが蘇ってきて、本当に楽しい気持ちになりました。
日本のマンガでいえば、ドラえもんでしょうか。
「タケコプターがあったら良いなぁ」「どこでもドアで遠くに行けたら良いな」「グルメテーブルかけで美味しい料理が食べたい」など、マンガを読んでワクワクしながら想像したものです
「メリーポピンズ・リターンズ」では、メリーポピンズが子どもたちのあらゆる夢を叶えます。もちろん、教育係なのでかなり厳しいのですが。
そのキャラクター設定と世界観を理解して楽しんだら、2倍も3倍も楽しい映画になると思います。
楽しみ方としては、1曲1曲をコンサートやショーのように楽しむという事です。
間違っても「この後はどういう展開をするのだろう?」とストーリーを追う事に必死になってはいけません。ストーリー展開の面白さで勝負する種類のものではありません。思考を使うのではなく、感情で楽しんで下さい。
もっと明確に言えば、ストーリーはおまけぐらいに思っておくと良いかもしれません。
歌を楽しむために、あえてそこにストーリー性もプラスした程度、という風に考えれば、ストーリーが単純でもそれほど気にすることがなくなります。
4.さいごに
もし、今までミュージカルが苦手だったという方は、一度見たことのあるミュージカル映画を、この観点で見直してみてはいかがでしょうか?
もしかしたら、けっこう楽しめるかもしれません。
ではでは!