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映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」 ボクに捧げてくれた母に捧げるこの映画


「ぼくが生きてる、ふたつの世界」

金は愛だ

絶対に金が入っていると思った
実家から送られてきた荷物
そこに添えられていた母の封筒

ボクもそうだった
いったい何度母から金をもらったことだろう

ボクから無心したこともある
いらないというのに渡されたこともある

今になってわかる
“金は愛だ”

金は母のボクに対する愛の具現化だったのだ

母に届いたと祈りたい

ボクは他人に意味なく100円だってあげたくない
でも親は苦しい生活の中で子どもにポンポンとカネを送ってくる

金はこの世でいちばん大変で大切なものだ
愛がなければ無償で与えられない
それを何度も何度ももらったボクは
母に無限に愛されていた自信が強烈にある

かくして手紙の入っていた封筒から5000円札が1枚出てきたとき
ボクは口を覆い身をかがめて咽び泣くのを防がなければならなかった

大の「俺は大丈夫だよ」という怒鳴りはきこえない母に届いただろうか
届いたとボクら観客は祈っている


劇伴のないこの映画は生活音と自然音と
それから場内で遠慮がちに鼻をすする音が
静寂を際立たせていた

ボクも他の観客と同じように

これは母の映画だった

どんなに反対されても産んでくれた母
イチゴパフェをお母さんはいらないよと言った母
ひどいことを言ってもじっと黙っていた母
東京行くときスーツを買ってくれた母
年老いて自分よりとても小さくなった母

ボクも同じでしたよ
名優忍足亜希子の後姿を見ながら
ボクもほかの観客や吉沢亮と同じように思っていた

お母さんごめんねありがとうと

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