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『ツイクストをめぐる冒険』#5 大ゲイマの手筋

■はじめに

前回の『#4ツイクスト上級者の「思考の省略」と「手筋」』で色んな手筋を紹介しました。それもあって今回はツイクストの中でメジャーな「大ゲイマ」の手筋を解説しようかなと思います。全く出ない対戦もあると思いますが、覚えておかないとどうしようもない局面もあるので取り上げようかとなりました。

今回の記事は無料記事となります。この記事はアナログゲームマガジンの連載記事の一つとなります。月額500円でその月の記事が見ることが出来ます。また初月は無料で読むことが出来ます。有料記事は単体として100円で購入して読むことが出来ます。


■大ゲイマ

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基礎的な情報を説明しておくと大ゲイマは上記の図のようなケイマの場所の一つ向こう側に配置して作る基本形の一つです。

■大ゲイマの形への展開


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大ゲイマの形を形成する展開としては上記の図のように黒のシングルリンクの部分を作った所に白①と押さえて、その結果で黒②と白の進行方向を潰す目的で挿します。

そうすると黒は2つの大ゲイマが形成されます。こういう風にシングルリンクを潰すと大ゲイマが多用される展開になりやすいです。

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そして、大ゲイマが多用される展開だとその後も大ゲイマが出がちという事も起こりやすいです。そのため、大ゲイマの手筋に慣れておいてスキが生じた時に攻められるように手筋のパターンを蓄積しておくと良いです。

■突破するための大ゲイマ

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進行方向のリンク場所が押さえられている時にこの様に大ゲイマを使用して突破を図ることが出来ます。黒にリンク先を押さえられたら「ああ、もうブロックされて通れないな」と判断して諦めてしまう人がいますが、こんな風にすり抜ける発想があることを覚えておいてください。

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黒の左右の大ゲイマのどちらに繋いでも白の大ゲイマは繋ぐことが出来ます。これでひとまず白は突破の手を作ることが出来ました。

こういった手筋は実戦で繰り出せなければそこで終わりです。黒が白のリンク先を潰した段階で白が諦めてしまえば敗北へと大きく傾いてしまいます。いくつかひっくり返す手筋のパターンがありますが、全て繰り出せなければ敗北へと向かいます。実戦の思考の中で発見出来れば問題ないですが、手筋のパターンを覚えとくと実戦中の思考の負担が減ることとなります。

■裏取りへの返しは一歩下がる

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白①の様に黒ペグの後ろへ大ゲイマなどの基本形で回り込む手を裏取りと呼んだりします。裏取りは大体が大ゲイマだと思いますが、場合によっては他の基本形での裏取りもありえます。

裏取りへの対処法は基本的に上記の様にリンクをしつつ一歩下がることです。この手の特性を詳しく説明すると一つは基本形の2つの接続のうちの一つを分断していることです。もう一つは後ろへ下がる、これは白の進行方向にリンクを張りつつ下がることで白の未来の手に対応する壁を作っていることです。

別の側面も説明します。中央上部の黒M8が白①の手によって攻められました。ツイクスト初心者の方の人には「どこに手を付けたらいいかわからない」という人がいます。ですが、基本的には直前の手しか攻め手はなく、せめられているペグはその直前の手に関連するような自ペグなのです。つまりは今回は黒M8のペグです。

攻められているペグを守るのに有効なのは、攻められてるペグからリンクを伸ばして壁を作ることです。攻められているペグがあるのにリンクを作らず隙間をあけて守ろうとする人もいます。よほどの妙手出ない限りはリンクを張って対応されてしまうので、まずは攻められているペグからリンクして対応出来るかどうかを考えてみることをおすすめします。

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その後の手筋がこんか感じです。白は基本形を作ったからには白③と繋げなければいけません。それで対応出来ないならば別の手を考えなければいけないですし、そもそも対応出来ないのならば白①という攻め方をするべきではなかったということです。ただ、ツイクストは必ずその時々で最善手が挿せるゲームでもありません。間違いに気づいた瞬間に傷を広げずに方向転換すれば良いのです。

上記の図では白③と大ゲイマを繋げましたが結局はシチョウの流れで一歩及ばずに上辺へと至れませんでした。1穴分のラインで防がれてますので本当にギリギリで入れないって感じですね。

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黒の一歩下がる方向が違うとこのようになってしまいます。どちらに下がるのが有効なのかは相対的な位置関係によって決まります。どちらにするかはその時の位置関係の中で読んでから決定することが重要です。

■裏が駄目なら表、表が駄目なら裏

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少し、図の位置関係を変更しました。これに関しては後述します。

裏取りが出来なかったら表攻撃を考えます。別の言い方をするとリンクしないハンマー攻撃です。ハンマー攻撃についてはそのうち解説することとして今は説明を省きます。白①のように裏取りとは逆の場所に配置するのが表攻撃です。

実は、裏取りも表攻撃もほんのちょっとの違いしかありません。個人的にはこの2つはワンセットの手筋として覚えていてだいたい両方の手を確認して手を決めています。

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このような流れで通っていくのが表攻撃の手筋です。表攻撃の特性としては一つは裏取りの流れよりも深く切り込めるということです。上記の図は位置関係的には先程の裏取りの位置と同じです。そして黒の対応の仕方も同じですが、裏取りの流れよりも2穴分だけ深く切り込めていることがわかると思います。

もう一つの特性としては裏取りではリンクしているのに対し、表攻撃は基本形のコスミの形を使ってはいるもののその間がリンクしていないということです。利用できるかどうかは別としてこれは明確な弱点です。

そして表攻撃に対応する手としては基本的に裏取りの対応と一緒の一歩下がるを基本に考えます。今回は位置関係的に守れない流れになっていますが、全体的な攻防が2穴ぶん下側で発生すれば受けきれるものだと考えます。

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黒の初手を抜いた形で設定しましたが、黒の初手をそのままで使うと黒②のような手で対応出来る形があります。このようにペグの配置が近い場合なのどは細かく影響してパターンの中に収まらない事があります。むしろこういう時こそが手筋のパターンを覚えている長所ができます。一般的なパターンを軸にそれ以外の流れを考えられるからです。

これにどう対応するかは類型的な大ゲイマの手筋のパターンからは外れていくお話になるので割愛します。そもそも表攻撃をせずに裏取りで行くべきだったというのが一つありますね。

■一歩下がらず、前へ出る。

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一歩下がらずに前へ出るという対応の仕方も出来ます。この対応の仕方もよく活用出来る手筋で覚えておいて欲しい流れです。

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本来であれば伸ばしていった先にシチョウアタリを配置しておいて使う手筋ですが、今回の形では黒の初手と黒③が一間ビラキの基本形の形に出来て白の流れを捉えることが出来ています。

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■シチョウアタリを利用する

シチョウアタリは黒①みたいな場所に置けばいいかなと思います。

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シチョウアタリを配置すると一手ぶん相手に余裕を与えます。例えば黒①と挿すとその進行方向を邪魔しようとして白②のように挿すかと思います。それ以外にも白に選択肢を与えることになるので自由度高く手を挿してきます。

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例えば先に上辺での黒の流れを断つために大ゲイマを繋いでしまうという手筋も考えられます。その時はその都度でどの流れが強いのか、最終的に自分の道を通せるのかを算定し直して対応することが必要です。

■おまけ

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夜中にふっと置きて「そういえばアレ説明してなかったな」と思いついたのでおまけとして書いておきます。

上記の図のように相手の出した大ゲイマの形に気づき「なら繋がるここを押さえればどうにかなるかも!」と白①のように挿すケースがあります。特に大ゲイマを出したことには気づいたが、解決するすべを思いついてない初心者プレイヤーが出しがちです。

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そういう場合は上記の図のようにリンクを繋がれてしまいます。大ゲイマの形で繋ぐことは出来ないですが、黒の流れは右辺へと至ることが出来そうです。安易な手ではありますが、やりがちな手でもあるので効果が薄いということを留意しておくと良いでしょう。

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むしろ、新たに白が左辺から道を通す時に利用する為に利用する形を取った方がより効果的になると思います。このように左辺で上から下に行く流れと、左から右へ繋げる流れの二択を強いる形として利用するのが良いかと思います。上記の図は詳しく検討したわけではないので白にとってどれだけ有効なのかはわかりません。

■終わりに

大体、以上がツイクストにおける大ゲイマを含んだ手筋の考え方です。大ゲイマは基本形の中では角度があって切られにくく、距離もそこそこ伸ばせる形です。そのため、よく使われる基本形です。また、始めたてのプレイヤーにとってはなかなか発見しづらく繰り出し難い形です。ですので今回の記事を読んで意識して覚えて言ってもらえればと思います。

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