予期せぬ出会い

先日、根津美術館に初めて足を運んだ。もっと早く来れば良かったと後悔した。

これぞ私の求める美の感覚、美の世界。

古き時代にすでに優れた抽象美術が生まれているのだ。この美術館で実感させられる。抽象度の高い作品が上手にまとめられ展示されている。極めて平易かつキャッチーに編集され、初心者が容易に理解した気持ちになれるテキストとその労力にも唸らされる。そして品良く設計され、手入れの行き届いた庭園まで。すべてが美のために存在している。至る所に美的感覚の優れた人々、気持ちを込めて仕事に邁進する人々の精神が宿っている。そう感じさせられる。とにかくすべてが清々しく格好良い。

海外から東京を訪れた作家が、都内の美術館を訪れた後、根津美術館が一番良かったと高く評価していた理由もわかるような気がした。その作家は非常に抽象度の高い作品や展覧会を制作するのだが、その感覚に相通じるものを今回根津美術館で感じた。

ここ数年、近現代美術の展覧会でイマイチと感じる瞬間が増えてきているような気がしている。展覧会を見過ぎなのだろうか。「こんなに大袈裟にしなくても、もっとシンプルに伝えられるはずなのに」と思ってしまう。抽象化にも個性や度合いがある。

良い意味で想定を超える展覧会、あるいは作品に出会いたいと思い、様々な展覧会に足を運んでいる。それが私の楽しみ。

予期せず古美術の展覧会でピンときてしまった。美の世界を見つけた。

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