特殊印刷と宇野亞喜良の世界-「宇野亞喜良 万華鏡印刷花絮」展レポート
イメアカラボスタッフです。
季節が夏に向かっているのを感じますね。
今回は、新緑がまぶしい市谷の杜に位置する本と活字館で開催中の「宇野亞喜良 万華鏡印刷花絮 Aquirax Uno Kaleidoscope -Behind the Scene-(前期)」についてお伝えしたいと思います。
本展は、2023年1月までggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)で開催されていた「宇野亞喜良 万華鏡」展の裏側を見せるような企画展でした。タイトルの「花絮(かじょ)」とは、「こぼれ話、裏話」という意味だそうです。
宇野亞喜良さんのイラストに対して、様々な印刷手法での表現を試みており、その過程を垣間見ることができます。
特殊印刷設計を手掛けているのは、雑誌『デザインのひきだし』(グラフィック社)編集長の津田淳子さん。
『デザインのひきだし』といえば、あの分厚さとデザインの圧倒的な存在感で、書店でもひときわ目立っていますよね。毎号楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
今回も、そんな印刷や紙がお好きな方におすすめの展示です。会場の写真とともに、展示の一部をご紹介していきます。
蛇の衣(UVオフセット印刷+エンボス加工)
「蛇の衣」というこちらの作品には、UVオフセット印刷+エンボス加工が施されています。写真だとちょっと見えづらいかもしれませんが、凹凸で見事に絵柄を表現しています。
エンボス加工をするのに必要なエンボス版も展示されていました。
この凸版と凹版の間に用紙を挟んで圧をかけて凹凸を出すのですが、大きなサイズになるほど加工は難しくなるそうです。
津田さんがチェックを行った際のコメントからも加工技術の素晴らしさが伝わってきますね!このような実際のコメントや指示を随所で見ることができるのも、この展示のポイントです。
風神(大洲和紙+ギルディング)
こちらは「風神」というイラストへ、和紙+ギルディング加工です。
ギルディングとは、もともとヨーロッパの伝統技術で、腐食させた箔材を糊で定着させるという手法。
この作品の特徴は、和紙にギルディングを施している点です。和紙を漉くところから加工まで手作業で、これができるのは株式会社五十崎社中だけなのだそう。
三日月夜(本の小口への印刷)
そして、会場奥には本のタワーが。
よく見てみると・・・
少しずつずらしながら積み上げられている本の小口に絵柄が印刷されていました。正面から見るとイラストがきれいに表れるように計算されています。
このオブジェのための、わざとイラストをずらした印刷データなども展示されていますので、ぜひ会場でご覧ください。
また、会場には作品の解説パネルがあり、それぞれの印刷手法について詳しく知ることができるようになっていました。
ご紹介した以外にも様々な作品が展示されていますので、ぜひ、特殊印刷と宇野亞喜良さんの世界に浸ってくださいね。
印刷体験コーナーと限定ドリンク
2階には、卓上活版印刷機(テキン)の体験コーナーがあります。
期間限定で、宇野亞喜良さんのモチーフを印刷できます。どちらの絵柄も素敵で、どっちにするか悩みますね。
作ったしおりはお土産に持ち帰ることができます。
また、1階にあるカフェコーナーでは期間限定のコラボドリンクが販売中です!
どれも可愛くてとっても美味しいので、訪れた際はぜひご賞味ください。
※売り切れの場合はご了承ください。
前期の展示は6月25日(日)まで!
「宇野亞喜良 万華鏡印刷花絮 Aquirax Uno Kaleidoscope -Behind the Scene-(前期)」は2023年6月25日(日)までです。
その後、2023年6月28日(水)からは、作品を入れ替えての展示が始まります。詳しくは公式ウェブサイト(https://ichigaya-letterpress.jp/index.html)をご覧ください。
それではまた次回、アート情報をお楽しみに!